『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』カッコ悪いのがカッコ良い！　“リアルデッドプール”ライアン・レイノルズ主演作の続編が待望の劇場公開！

2022.04.06

◆今週公開の注目作

『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』

新年度開始早々、映画ファンにとって嬉しいサプライズがある。本作『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード』が劇場公開されるのだ！　「どの映画でも公開されたら嬉しいものだろう」と思われるかもしれないが、本作は少しばかり特殊である。なぜなら、前作『ヒットマンズ・ボディガード』はNetflixのみの配信作品だからだ。

主演は変わらずマーベル映画『デッドプール』でおなじみのライアン・レイノルズと、同じくマーベル映画にニック・フューリー役で出演しているサミュエル・L・ジャクソン。本シリーズはヒットマンのダリウス(サミュエル)と、意に反して彼の護衛を任されたボディガードのマイケル(ライアン)のバディものだ。前作はこの黄金コンビを誕生させた上、『デッドプール』に近いコミカルかつバイオレンスな作風ながら、いつものライアン映画ほどギャグを全面に押し出さないことで新鮮な味わいをもたらした楽しい作品だったが、ひとつ欠点があったとも言える。ダリウスの妻ソニアの登場シーンが少なかったことだ。

タイトル『ヒットマンズ・ワイフズ・ボディガード(ヒットマンの妻のボディガード)』の通り、今回はソニアがフィーチャーされている。演じているのは、またもやマーベル映画『エターナルズ』に出演したサルマ・ハエックだ。ソニアはもしかしたら殺し屋のダリウスよりクレイジーな人物である。ダリウスは、酒場で客にセクハラされたソニアがブチ切れて男どもにやり(殺り)返すのを見て一目惚れした。殺し屋ではないのに暗殺より目立つ殺人を平気で犯しているソニアだが、かなり口が悪く、ダリウスとケンカとイチャイチャを交互に繰り返す彼女は実に魅力的なキャラクターだった。本作では夫婦でマイケルをウンザリさせてくれる。

「ゲイリー・オールドマン演じる独裁者を裁くため、証人であるダリウスを守る」という設定の前作から、キャストの豪華さはそのままでストーリーの規模はかなりスケールアップ。今回の敵は、ヨーロッパを巻き込むテロを企むアントニオ・バンデラスだ(スペイン人の彼がギリシャ人を演じるというのがまずツッコミどころだろう)。その上、マイケルの義父で伝説のボディガードとしてモーガン・フリーマンが登場する。とは言え、やっていること自体は前作とさほど変わらない。ひたすら不憫なマイケルが心身ともに傷だらけになりつつ、ダリウスと観客に笑われながら善良な一般人を守るのだ(念のため、「善良な一般人」とはソニアのことではない。ヨーロッパの皆さんのことだ)。

ライアンは、出演作を酷評され続けた自分を救うため『デッドプール』に出演し、壮絶な体験をしながらもそれを茶化し明るく生きているスーパーヒーロー、デッドプールと今や一体化した存在だ。本作でマイケルが巻き込まれる事件自体はデッドプールが介入しても良さそうなレベルだが、彼ははただの人間にすぎない(なんだかんだ言って不死身なのはデッドプールと同じ)。しかし、もはや自分で茶化すまでもなく、死にそうな顔で奮闘しているだけで観客を喜ばせる笑いの神と化している。ホンモノのスーパーヒーローであるライアンに任せれば、万事上手く行くだろう。笑いこそが映画も世界も救うのだから。

【ストーリー】
超⼀流ボディガードのマイケル・ブライスは、殺し屋のダリウスと、かつてとあるミッションでコンビを組んでいた。時は経ち…。休暇中のマイケルの元に、ダリウスの妻ソニアが現れ、マフィアに捕まった夫の救出のためにマイケルを拉致する。ダリウスの救出には成功するが、なぜか謎のサイバーテロから世界を救うはめになってしまうマイケルたち。新婚旅⾏気分のダリウスとソニアに対して、心も体もボロボロのマイケル。果たして、3人は世界を救うことができるのか？そして、ひたすら打ちのめされ、神経をすり減らすマイケルの運命は？！

【キャスト】
ライアン・レイノルズ、サミュエル・L.ジャクソン、サルマ・ハエック、アントニオ・バンデラス、モーガン・フリーマン、フランク・グリロほか

【スタッフ】
監督︓パトリック・ヒューズ『エクスペンダブルズ3 ワールドミッション』、『ヒットマンズ・ボディガード』

原題『HITMANʼS WIFEʼS BODYGUARD』
配給︓REGENTS
提供︓REGENTS／ハピネットファントム・スタジオ
(C) 2020 Hitman Two Productions, Inc. All Rights Reserved.

公式HP︓hitmanswifesbodyguard.jp
公式Twitter︓＠hwb_movie

4.8(金) TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー

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屋我平一朗

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