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『イビルアイ』目は口ほどに物を言う。邪悪な視線から始まる物語の結末には、もう目も当てられない・・・

◆今週公開の注目作

『イビルアイ』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

「言霊」という概念がある。言葉には霊力が宿るとする考えだ。では、「視線」にはどうか。スーパーマンのように目からビームは出ずとも、我々は時折他人の視線を実際に感じる。タイトルの「イビルアイ」とは、邪悪な意思のこもった視線のことだ。世界的に不吉なイメージがあり、魔女が持つ呪いの力とも言われている。本作では意外にも、老婆の目の部分が不気味にくり抜かれたポスターのように邪視そのものがフィーチャーされているわけではなく、描かれているのは邪な人物に見入られたために起こる恐ろしい出来事だ。

主人公となるのは、治らない病を宣告された幼い妹ルナを持つ少女ナラ。ナラは年頃である上、両親がルナに付きっきりで全く構ってもらえず少しいじけている。ルナの体調は入院しても改善しそうにないので、母親の提案で田舎にあるナラの祖母の家で静養させることになり、ナラはそこで初めて不気味な祖母ホセファに会う。両親は治療法を探すと言い残してどこかに行ってしまい、姉妹は祖母とともに暮らす羽目になる。この田舎には不吉な言い伝えがあり、ナラはだんだんとそれが本当の話ではないかと疑い始めるが…。

どの国にも、ホラーなど特徴がハッキリしている、いわゆる“ジャンル映画”ばかりを作り続ける監督がいる。例えば、アメリカで言えばM・ナイト・シャマランだ。メキシコも例外ではなく、本作を撮ったアイザック・エスバン(イサーク・エスバンと表記される場合も)もそのような人物と言えよう。メキシコのシャマラン…は言い過ぎかもしれないが、エスバンもこれまでかなりユニークなホラー・スリラーばかり監督してきた。1作目『パラドクス』は、永遠に抜け出せないループ空間に迷い込んだ者たちを描く不条理スリラー。2作目『ダークレイン』は、豪雨のため駅に取り残された人々が雨のもたらす怪現象のせいで狂っていくパニックスリラー。3作目『パラレル 多次元世界』は、屋根裏部屋の鏡からパラレルワールドに行けることを発見した若者たちが暴走していくSFスリラーだった。

3本ともSF要素を含んでいたが、4作目である本作にはそれがない。全編を支配するのは、同郷の大先輩ギレルモ・デル・トロのようなダークなおとぎ話テイストだ。子どもが田舎の祖母の家に訪れ恐怖を味わうというプロットは、それこそシャマランの『ヴィジット』にも少し似ている。本作は冒頭から違和感のある描写が少しずつあり、中々それが説明されないので多少モヤモヤしながらストーリーを追っていくことになるが、最後にはそれらが気持ちよく氷解する。基本的にはメキシコ映画らしく、生々しく気持ち悪いホラーシーンが続くが、そういったものを期待する筆者のような邪な心を持つ方々の視線にもきっちり応えてくれるのが本作だと言えるだろう。

【ストーリー】
都会に住む13歳の少女ナラは、妹の奇妙な病気を治すため、家族とともに母の田舎であるラスアニマスという村を訪れた。田舎には年老いた祖母が一人で住んでいた。しかし、次第に不穏な空気が漂い始め、ナラは祖母の不可解な行動から、彼女が人間ではない何者かであると疑い始める。どんどん容体が悪くなる妹、家政婦の突然死……。この村と祖母に隠された秘密とは一体…

【キャスト】
オフェリア・メディーナ、パオラ・ミゲル、サマンサ・カスティージョ 他

【スタッフ】
監督:アイザック・エスバン
脚本:アイザック・エスバン、フニオル・ロサリオ、エドガル・サン・フアン
音楽:カミラ・ウボルディ『アメリカン・アニマルズ』
撮影:イシ・サルファティ『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』

© FILM TANK, CINEPOLIS, CINEMA MAQUINA All Rights Reserved. 
配給:AMGエンタテインメント
公式サイト:https://evileye-movie.jp

2023年7月28日(金)ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開

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