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『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』どんなロケットにもたどり着くべき終点がある。ありがとう、そしてさようなら!ガーディアンズ!ジェームズ・ガン!

◆今週公開の注目作

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

始まりがあれば終わりがある。誰も知らないヒーローしか出ていない1作目が抜群のロケットスタートを決め、2014年で最高の成績を叩き出してから9年。MCUは今年2月の『アントマン&ワスプ:クアントマニア』から新章のフェーズ5が始まったばかりだが、ここでひとつの終わりを迎える。この『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3』で、全3作の『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズが幕を下ろすのだ。

かねてより、監督のジェームズ・ガンから本作がヘビーな内容になること、登場人物の誰かが死んでしまうことが示唆されていた。実際、ネタバレにならないほど序盤ですでに、主要人物のひとりは失われているとも言える。主人公ピーター・クイルと恋人だったガモーラだ。厳密に言うと彼女は今も生きているが、1作目『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と2作目『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』の時とは別人のよう。ガモーラは『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で最強のヴィラン、サノスのせいで一度命を落とし、『アベンジャーズ/エンドゲーム』でピーターに出会う前の状態として再登場したので、本当に別人と表現しても間違いではない。失意のピーターは冒頭から、『エンドゲーム』時のソーのように酒浸りになっている(あそこまで太ってはいないにせよ)。

今回ガーディアンズと敵対するのは、過去にアライグマのロケットを高度な知能を持つように改造したハイ・エボリューショナリーと、『リミックス』のミッド・クレジットシーンに初登場し、ソヴリン人の女王アイーシャから「アダム」と呼ばれていたアダム・ウォーロックだ。その中でも、特に人生で最初にできた異形の仲間たちを奪われ復讐に燃えているロケットと、ハイ・エボリューショナリーの対立に多くの時間が割かれている。そもそも、完璧を是とするハイ・エボリューショナリーと問題児だらけのガーディアンズが相容れるはずもないが、不完全であることを受け入れようとするロケットがシリーズ最後のテーマを担うのは必然だったと言えるだろう。

ガン自身、過去にツイートした倫理観に欠けるジョークを問題視されて一度本作の監督をクビになっている。しかし、ドラックス役のデイヴ・バウティスタはじめガーディアンズのキャストたちが一丸となって支えたために復帰できたのだ。まさに彼らは血の繋がらないファミリーであり、大きなミスを犯してもセカンドチャンスを与えるべきとの精神を実践しているかのようだ。いつもの景気の良いCGバトルにかまけず、ガンは本作でそういったメッセージを余すところなく伝えきってみせた。

先日、ガモーラを演じるゾーイ・サルダナが本作でMCUを卒業すると発表した。どんなエキサイティングな宇宙旅行にも終わりはある。寂しいが、それはガーディアンズの場合も例外ではない。しかし、終わりはいつでも何かの始まりだ。ガンもまたMCUを卒業し、今後はマーベルのライバルであるDCの舵取りをしていかなければならない。我々観客も、10年近く彼らに付き添ってきた家族のようなもの。ここは潔く、彼らの旅路を祝福するべきだろう。ありがとう、そしてさようなら、ガーディアンズ、ジェームズ・ガン(『新世紀エヴァンゲリオン』を思い出す)。またいつか再び会えることを願って。

【ストーリー】
アベンジャーズの一員として世界を救った《ガーディアンズ》の、最後にして最大のお祭り騒ぎ!サノスとの戦いで最愛の恋人を失ったショックから立ち直れないピーターが率いるガーディアンズに、銀河を完璧な世界に作り変えようとする最凶の敵が現れ、ロケットは命を失う危機に…。大切な仲間の命を救うカギは、ロケットの過去に隠されていた。全銀河の運命とチームの存続を懸けた、最強の落ちこぼれチームvs最凶の完璧主義者の感動のラスト・バトルが今、始まる──。

【キャスト】
クリス・プラット、ブラッドリー・クーパー、ヴィン・ディーゼル、ゾーイ・サルダナ、カレン・ギラン、デイヴ・バウティスタ、ポム・クレメンティエフ、ウィル・ポールター、チュクーディ・イウジ 他

【スタッフ】
監督・脚本:ジェームズ・ガン

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