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『TBSドキュメンタリー映画祭2024』ドキュメンタリーの時代~坂本龍一という存在

◆今週公開の注目作

『TBSドキュメンタリー映画祭2024』

文:たんす屋(神社好きの中年Youtuber)

■TBSドキュメンタリー映画祭2024開催!

先日行われたベルリン国際映画祭で最高賞の金熊賞に、ドキュメンタリー作品が選ばれましたね。「ダホメ」という仏植民地時代の西アフリカ・ベナンから奪われた美術品の返還問題を扱ったフランス映画です。

ドキュメンタリーの時代が来たかもしれませんね。ドキュメンタリーって社会問題とか扱っている場合が多いので、ちょっと難しいというイメージがあるかもしれませんが、思えば情報化社会の現代において、口当たりのいい情報や楽しいだけのニュース、刺激的な映像なんてのは吐いて捨てる程あるわけで、表面だけきれいな話にウソっぽさを感じてしまっている現代人にとってはドキュメンタリーの本物感、ゴツゴツ感がちょうどよくなってきたのかもしれませんね。

今の情報たちは手ごわい。SNSなんかで「同意!」「いいね!」などと共感を求めてクリックしていくと際限なく同類が湧いてきて、自分の周りは自分のイエスマンだけになっちゃう(一億裸の王様状態ですね)。「平和」「多様性」「SDGs」「人権」、聞こえのいい正義を連呼している人たちに寄っていくと大体やばいゾーンにはいっていく。日本人は皆みんないい人だと思っているが違う。我々は飛び交うステマとプロパガンダの中で生きている。

だから現代人はドキュメンタリーで武装すべきかもです。「ニュースを見たり新聞読めばいいじゃないか」と思われる方もいるかもしれませんが、ちょっと違っていて、ファクト(事実)って並べただけだと実は何のことかわからない、事の本質に迫れない。だからニュースっておもしろくないじゃないですか。最新の事象だけ伝えられても所詮は「点」、つまらんのです。

その点ドキュメンタリーは監督や語り手の視点や知見を借りて、その問題が意味するモノに入っていけます。「色のついた情報じゃないか?」いやそれでいいんです。むしろ客観性の名を借りた印象操作の方が現代では怖い。だいたい人の意見を聞いたらその人に同化するかといえばそんなことはない。むしろ人の話を聞くと発見がある、楽しさがある。ドキュメンタリーではとびっきり変わった趣味のおじさんや極端な考えのお姉さんに触れることができる。決して劇映画では体験することのできないリアルな人間観察の世界が広がってます。やっぱりCGやアクションや音楽の前に我々は人間が面白いのだと思います。

ベルリン映画祭会期中には、日本のドキュメンタリー作品がフォーラム部門で上映され好評を博したそうです。日本はもっとドキュメンタリー映画で盛り上がったほうがいいと思いますね。3月15日から、TBSドキュメンタリー映画祭というのもあります。様々なテーマを掘り下げた作品が15作品、揃っています。観てみましょう。私は、「坂本龍一 WAR&PEACE」と「BORDER 戦場記者✖イスラム国」、「僕と時々もう1人の僕~トゥレット症と生きる」この作品に注目してます。

<開催概要>
★東京= 会場:ヒューマントラストシネマ渋谷|日程:2024年3月15日(金)〜3月28日(木)
★大阪= 会場:シネ・リーブル梅田|日程:2024年3月22日(金)〜4月4日(木)
★名古屋= 会場:センチュリーシネマ|日程:2024年3月22日(金)〜4月4日(木)
★京都= 会場:アップリンク京都|日程:2024年3月22日(金)〜4月4日(木)
★福岡= 会場:キノシネマ天神|日程:2024年3月29日(金)〜4月11日(木)
★札幌= 会場:シアターキノ|日程: 3月30日(土)~4月11日(木)

 

■坂本龍一という存在

TBSドキュメンタリー映画祭の中では、坂本龍一の生き様と彼が遺したものを見つめた「坂本龍一 WAR&PEACE」という出品作を見ましたが、YMO世代にはどうも泣けてしょうがない。彼は、国会前の抗議デモでスピーチしたことがある。「なんだ、教授もサヨクか。。」と思われた方もいるかもしれない。ラサール石井や、松尾貴志、石田純一のように立憲民主党や共産党に担がれて主張が尖端化してしまった芸能人のひとりにカウントしてしまった方もいるかもしれない。

坂本龍一は事情が違う。この映画をみると、彼のそういった活動は政治以上にすべて「坂本龍一の音楽活動」だったのだとわかる。彼はYMOでの活躍後、「戦場のメリークリスマス」、アカデミー賞を獲得した「ラストエンペラー」をはじめ、「シェルタリングスカイ」「レヴェナント:蘇えりし者」、近年の「アフター・ヤン」に至るまで映画音楽界において多大な功績を残しているが、このドキュメンタリーをみるとそれ以上に【音楽の可能性】について考えていた。

「音楽のチカラで戦争を止めることはできないのか?」
「樹木の伐採、地球温暖化を音楽のチカラで止めることはできないのか?」
「東日本大震災で傷ついた地域を音楽のチカラで元気づける、一時的ではない長年の復興プロジェクト」
坂本龍一はこういう命題に真面目に取り組む。

よくあるアーティストの知名度を使ったある種、売名的な動きとは違う、愚直なまでに音楽が人の心になしえる効果に着目した試みの数々は、やはり彼は「教授」だったのだと思い起こされる。極めつけはアフリカまで行って、ゾウに音楽を聞かせるシーン。彼は(戦争をやり続けた歴史をたどっている)人類の本質を知るために、人類発祥の地・アフリカまで行って研究者の意見を聞き、現地の人と触れ合い、さらにアフリカゾウの知性溢れる生態に感銘を受け、そこを音楽に帰結しようと試みる。真っ赤な夕焼けに照らされた大平原に浮かぶ黒いゾウ達のシルエットに向かい、ピアノで「メリークリスマス、ミスターローレンス」を奏でる。このシーンは鳥肌もの。彼は「音楽の世界からきた天使だったのだ」と思うほどで、カタルシスさえ感じる名シーンだ。

なので、多少なりとも坂本龍一に興味のある方は、彼の音楽に対する理解や想いがこれほど幅広く多様なものだったのか、などなど様々な発見のある作品なので是非ご覧ください。彼の遺したものの大きさをもって劇場を後にすることができると思います。

余談ですが、我々は「D会議室」というドキュメンタリー好きのコミュニティをつくりました。
ムービーマービーでも、連動した記事連動していく予定です。ご注目ください。

『坂本龍一 WAR AND PEACE 教授が遺した言葉たち』
音楽家はなぜ、社会発信を強めていったのか。坂本龍一が遺したもの…
2023年3月、逝去した音楽家・坂本龍一。TBS報道局は2000年代、様々な形で坂本龍一の活動に密着してきた。911テロ、イラク戦争、そして東日本大震災…。激動の時代に坂本龍一はどんなメッセージを遺していたのか。TBSに残る秘蔵映像を一挙公開。浮かび上がるのは坂本龍一の社会発信の歩みだ。世界中にきな臭い匂いが広がるなか、音楽家はなぜ社会への発信を強めたのか。“教授”が抱いていた「戦争と平和」への思いとは…。

監督:金富隆

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TBSDOCS_eigasai/

 

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