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【今週公開の注目作】『グレイ・ミッション』 世にも灰汁(あく)どいやり方で白黒つけてやる!

【今週公開の注目作】

『グレイ・ミッション』
8/21(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開
公式サイト:https://greymission.jp

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

主人公による“無双アクション”映画はすでにいくつもある。『イコライザー』や、満身創痍にはなるものの『ジョン・ウィック』もそうと言えるし、同脚本家の『Mr. ノーバディ』などもそうだ。しかし、極悪な億万長者に対しアクションだけでなく法律も駆使(悪用)して無双する作品は個人的にあまり覚えがない。本作『グレイ・ミッション』は、序盤からそんな変わった楽しみを提供してくれる。脚本も兼任したガイ・リッチー監督の手によって……。ん? ガイ・リッチー!?

そうなのだ。本作の前半は、彼の作品に期待したくなるような心躍る派手なアクションがない。時に揶揄されるほどの得意技であるスローモーションも用いられていない。リッチーは夏バテでもしたのだろうか? そう思わせるほどに大人しいシーンが続く。ヘンリー・カヴィルとジェイク・ギレンホールという、アクションならお手の物な超A級コンビが揃っていながらなぜ? ここは、『ベイビー・ドライバー』あたりから存在感を増し始め、この10年ほどハリウッドの第一線を走り続けてきたエイザ・ゴンザレスの見せ場だからだ。

ゴンザレスが演じるのは、資産運用会社からの借金10億ドルを踏み倒そうとしている悪党サラザールに対し、尻の毛までも抜きかねない弁護士レイチェル。「弁護士に用いる表現として間違っている」? いや、合っている。多くの事業に手を広げているサラザールは、それだけでその見た目通り無防備なのだ。レイチェルは、様々な角度からありとあらゆる手段を用いてサラザールに罰金・無駄金の支払い強制に差し押さえというジャブをいくつも叩き込む。前半は、敏腕……もとい辣腕弁護士レイチェルによる、イリーガルギリギリの“リーガルアクション”というわけだ。

あまりにレイチェルが無双しすぎて、彼女に雇われた元イギリス特殊舟艇部隊(SBS)のシド(カヴィル)と元ネイビーシールズのブロンコ(ギレンホール)が練る最高の作戦も、あろうことかリハーサルしか描かれない。せっかくあれだけ念入りに準備に準備を重ねていたのに! これだと立派なやるやる詐欺だ。筆者はリッチーの尻の毛も抜いてやりたくなった。ところが、ペナルティーの値を上げていく彼女に対し、意地でも音を上げないサラザールのおかげで、後半はようやくリッチーらしい、超A級コンビの彼ららしい活躍が拝める。悪人もたまには良いことをするものだ。笑ってしまうのは、前半で不完全燃焼に終わっていた部分が“伏線回収”として後半機能してくるところだろう。ああ安心した。前半は腹黒い、後半は普通に面白い。作品全体で見ると、まさにグレイな出来栄えだ。正直見る人によってだいぶ白黒分かれそうではあるが、不思議な味がする作品とも言える。どうか、あなたが灰汁の味だと感じませんように。

【STORY】
10億ドルを奪い逃げた独裁者サラザール。その資産奪還のため、元SBSの天才シドと元SEALsの猛獣ブロンコ──裏社会最強のエージェントコンビが《グレイゾーン》へ潜行する。盗聴、潜入、資産差し押さえ……手段を選ばぬ頭脳戦で帝国を崩壊寸前まで追い詰めるが、直前で弁護士レイチェルが誘拐される。連れ去られた先は、独裁者が支配する無法の孤島。金と仲間を取り戻すため、二人はリミッターを外す。成功率0%──1秒のミスが死を招く、史上最危険の奪還作戦が始まる。

【キャスト】
ヘンリー・カヴィル、ジェイク・ギレンホール、エイザ・ゴンザレス、ロザムンド・パイク、クリストファー・ヒヴュ、フィッシャー・スティーヴンス

【スタッフ】
監督・脚本:ガイ・リッチー
プロデューサー:ガイ・リッチー、アイヴァン・アトキンソン、ジョン・フリードバーグ
2026年/アメリカ、イギリス/97分/シネスコ/5.1chサラウンド
字幕翻訳:町野健二
原題:In The Grey
配給:AMGエンタテインメント
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