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『貴公子』幸薄青年のハートを射止めるのは誰だ!?圧倒的強者たちに逆指名を受けまくるミステリアスなノンストップスリラー!

◆今週公開の注目作

『貴公子』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

これまた困った作品が韓国から出てきた。本作『貴公子』は、「韓国アクションノワールの傑作」として日本で宣伝されている。クオリティの高さについては異論はないが、アクションノワールの枠に留まる作品ではない。ではどのような映画なのか? まさにこれが困るポイントなのだ。ネタバレになるから…ということ以前に、中盤まで鑑賞してもこの映画の正体が分からない。ストーリーの行く先が予想できないのだ。一応、序盤の展開だけでも説明しておこう。

フィリピンで暮らす主人公マルコは「コピノ」である。コピノとはコリアンとフィリピノを合わせた言葉で、韓国人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれた子どもたちを指す。単純に韓国とフィリピンにルーツがある者ではなく、韓国人男性がフィリピン現地のフィリピン人女性に生ませておきながらその後のサポートをせず、多くは貧困の中で暮らさざるを得なくなった者たちだ。コピノの正確な人数は不明だが、社会問題として話題になり始めた約10年前にはすでに数万人いたと言われている。マルコは父を知らず、病気で寝たきりの母を独りで支えるために裏世界のボクシングで金を稼ぐ毎日を過ごしていたが、父の関係者を名乗る連中が現れ韓国へ旅立つ。そしてその途中で出会うのが正体不明のカレだ。

この男こそが“貴公子”。初対面なのにマルコを「チング(年の近い友人のこと)」と呼び、どこまでもしつこく追ってくる。非常に高い格闘スキルを持ち、躊躇せず人を殺すヤバいヤツだ。それだけならよくあるサイコキラーのキャラクターなのだが、少しドジでコミカルで、さらに貴公子(childe、チャイルド)だけに常に子どもっぽい無邪気な笑顔を振りまく。超人的な雰囲気さえある、ギャップ萌え爽やかイケメンなのである。なぜかマルコは貴公子以外にも、タバコを咥えながらスポーツカーを乗り回すクールな弁護士のお姉さんや闇の世界について熟知していそうなJK、裏切り者は狩りのように殺すのが趣味のヤクザ的イケオジといったいかにも強者なキャラたちに追いかけ回される。みんなどれだけマルコが好きなんだ! モテモテなマルコのハートを射止めるのは誰なのか! 嬉しさのあまり(?)、マルコは泣きながら韓国を必死に逃げ回る。

さて、キャッチーな状況設定なのは伝わったと思うが、肝心のストーリーの流れがイマイチ見えて来なかっただろう。困った映画と言ったのはこの部分で、マルコは理由も分からず様々な勢力から追われるハメになるのだ。観客もマルコと同じくドキドキしっぱなしで、ただただ理不尽な追いかけっこに付き合わされる。ジェットコースターでミステリーツアーをしているようなものだ。

ところが、勢いだけで突っ走るのかと思えば、中盤から後半にかけて伏線を回収しまくり、思っても見なかったが納得の方向に突き進んでいく。カーアクション、格闘アクションも豊富で、『The Witch/魔女』シリーズなどを手がけ本作では脚本も務めたパク・フンジョン監督の手腕に唸らざるを得ない。韓国映画らしく、笑えながらもバイオレントでシリアスな作風でありながら、まさかこんなエンディングにたどり着くとは! なるほど。ヒーローたるもの、高所からは柔らかく着地しなければいけないのだ。怖いもの見たさで飛び込めば、タイトルに違わぬ、何とも爽快な映画体験となるだろう。

【あらすじ】
予想もしなかった運命に翻弄され、巨額の遺産相続争いに巻き込まれた貧しい青年(カン・テジュ)。彼の前に現れた美しい顔立ちの男“貴公子”(キム・ソンホ)は味方か? それとも悪魔か?

【キャスト】
キム・ソンホ「海街チャチャチャ」「スタートアップ」、カン・テジュ、キム・ガンウ、コ・アラ

【スタッフ】
監督・脚本:パク・フンジョン『THE WITCH/魔女』シリーズ
製作:Goldmoon Pictures『THE WITCH/魔女』シリーズ、Studio &NEW『ソウルメイト』『ビースト』
2023年/韓国/韓国語、英語、タガログ語/118分/カラー/2.39:1/5.1ch/原題:귀공자/字幕:関口智恵
配給:シンカ 宣伝:フラッグ 提供:貴公子フィルムパートナーズ 
PG-12
公式サイト:https://synca.jp/kikoushi/
公式X:@SYNCA_asia #映画貴公子
© 2023 GOLDMOON PICTURES & STUDIO&NEW. All Rights Reserved.

2024年 4月12日(金)新宿ピカデリーほか全国公開!

 

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