MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

【今週公開の注目作】『サンキュー、チャック』 ツキがない夜にこそ、星空は光り輝く。すでにあの星がなくたって。

◆今週公開の注目作

『サンキュー、チャック』
5月1日(金)新宿ピカデリー他全国ロードショー

シチュエーションパズル、通称「ウミガメのスープ」と呼ばれる推理ゲームがある。先に「レストランでウミガメのスープを飲んだ男がその後自殺した」などの不可解な結末が提示され、質問者が出題者に向けYES/NOで答えられる質問を重ねていき事の真相を言い当てる遊びだ。本作『サンキュー、チャック』の始まりもあまりに意味不明で、まさにウミガメのスープ的な問いかけをされている気になってくる。こういった感じだ。「人間が想像しうるありとあらゆる災厄により地球、そして宇宙全体が終焉を予感させる中、ある町の至る所に謎の人物チャックに感謝する広告が溢れ始めた。一体なぜか?」

本作は、特にネタバレを聞かない状態で鑑賞するのがベストな作品である。そう思いながらこうやって紹介するのは矛盾した行いだとは十分意識しつつ、核心に触れないために線でなく点で語ることにしよう。まず、宇宙の始まりはビッグバンであると広く知られている。その時から今現在、そして未来のある時点に至るまで宇宙はものすごいスピードで膨張しているわけだ。では、宇宙の終わりはどのようなものなのか。一説には、これまでの膨張を逆再生で見るように宇宙が収縮していき、一点に潰れて終焉を迎えるビッグクランチのアイディアが提唱されている。また、ラース・フォン・トリアー監督の『メランコリア』では、地球は惑星メランコリアとの衝突で終焉を迎える。比較的現実味がありそうなのは、『アルマゲドン』や『ディープ・インパクト』で描かれた小惑星・彗星の衝突だろうか。

少なくとも、そういった大きな原因であれば、前兆を観測することである程度前に終焉の時期が分かりそうではある。ところが、地球、人類、あるいは特定の地域と視点を小さくしていくごとにその時期は予測しづらくなる気もする。突如訪れる終わりを前に、我々はどう立ち向かえば良いのだろうか? 先述の、本作をウミガメのスープに例えた問いは本作の冒頭の状況そのままだが、実は本作は第3章から始まり、第2章、第1章と時系列を遡る流れになっている。つまり、本当にウミガメのスープのネタばらしをしていくような構成なのだ。主人公のはずなのにほとんど登場しないチャックを演じるトム・ヒドルストンが披露する素晴らしいダンスや、彼が幼少期に暮らした祖父母宅の開かずの間など、逆の順番で提示されていく数々のシーン(点)はだんだんと線になり、星座を形作っていく。

すると我々観客も、ふと何もかもが繋がっているような感覚を覚えるはずだ。チャックに関係するらしい39年という数字が日本人には「サンキュー」に読めること、筆者がふと思い立って検索したマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」のライブ動画や、先週ご紹介した『オールド・オーク』の記事でお話しした「company」の語源までもが、偶然なのか必然なのか本作に全てリンクしている気がしてくる。本作は感動系のスティーヴン・キング映画だが、監督のマイク・フラナガンは『ジェラルドのゲーム』『ドクター・スリープ』、そしてTVシリーズ版『キャリー』とホラーのキング作品に多く関わってきた人物だ。そのため、本作にもわずかにホラー要素が存在する。人はパンのみにて生くるにあらず。そうでなければ、人生はギロチンに首を落とされるまでのわずかな残り時間に過ぎない。チャックのように、人生を踊り明かすのだ。あまりの楽しさに、あっという間に過ぎ去るとしても。

【STORY】
ついに世界は終わろうとしていた。次々に起こる自然災害と人災が地球を襲い、ネットもSNSも繋がらなくなったその時、街頭やTV、ラジオに突如現れたのは、「チャールズ・クランツに感謝します。素晴らしい39年間に、ありがとう、チャック」という広告だった。チャック(トム・ヒドルストン)とは何者なのか?感謝の意味は何なのか?その答えを知る者は誰もいない。恐怖に駆られた高校教師のマーティ(キウェテル・イジョフォー)は別れた妻のフェリシア(カレン・ギラン)に会おうと家を飛び出すが、誰もいない街はチャックの広告で埋め尽くされていた。無事に出会えた二人は、星空を眺めながら刻々と近づく終末を感じ固く手を握り合う――が、場面は一変、広告の男・チャックの視点へと移り変わり…。

原題:THE LIFE OF CHUCK
出演:トム・ヒドルストン、キウェテル・イジョフォー、カレン・ギラン、ジェイコブ・トレンブレイ、マーク・ハミル
監督・脚本:マイク・フラナガン
原作:スティーヴン・キング
配給:ギャガ、松竹
© 2024 DANCE ANYWAY, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

 

関連記事

『悪魔のいけにえ 4Kデジタルリマスター公開50周年記念版』元祖チェンソーマンと言えばこの男!これで新年初斬り!

『マッド・フェイト 狂運』 どうせ狂うなら、狂わせてしまえ。運命の歯車までも。2026年も『トワイライト・ウォリアーズ』監督作品で幕を開ける!

『Fox Hunt フォックス・ハント』 血も涙もないけれど、水も滴る良い男。

『アダムズ・アップル』神の前には、ネオナチも我々も等しくちっぽけな人間。食べると笑って泣ける毒リンゴ。

『愛はステロイド』電撃のように全身に走る。それは血筋よりも濃い、運命の赤い糸。

『バレリーナ:The World of John Wick』 運命に踊らされるな。自らの意志で復讐の銃弾を見舞え。

『MaXXXine マキシーン』全方向から私を照らして。影のできる隙間もないくらい。

『メガロポリス』巨匠の情熱、執念、狂気。“とし”を重ねた先に生まれた未来とは。

 

バックナンバー