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『レジェンド&バタフライ』誰も知らない信長の姿―。濃姫と共に生きた30年を描く。

◆今週公開の注目作

『レジェンド&バタフライ』

 

文:カカオ豆(映画とコーヒーとチョコが好物)

織田信長と言えば、“尾張の大うつけ”、天下統一が叶わなかった戦国武将、明智光秀に裏切られた人。そして、「鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」と言われるほどの非道な人物、というイメージを持っている人が多いのではないだろうか。これまでも、そんな信長の武将としての強さや、戦の場での勇ましい姿を中心に描いた作品はいくつも誕生してきた。しかし、本作はそのような作品とは異なる。政略結婚によって結ばれた信長とその妻・濃姫の30年の人生を描いた物語だからだ。2人の愛の物語だと言い切ってもいいかもしれない。だからこそ、これまであまり描かれてこなかった信長の一面を知ることができる。ひとりの人間として、時に悩み、弱さを見せ、そして妻を想う信長…。そんな姿を見ると、“織田信長”という伝説の男も、やはり我々と同じ人間なのだと、しみじみと感じてしまう。

戦が中心ではないと聞くと、迫力に欠けるのでは?と思う人がいるかもしれない。しかし、そこは大友啓史監督作品であるが故に、全く心配ご無用だ。どのシーンをとっても画が美しく、見応えがあるからだ。ロケ地のほとんどが国宝や重要文化財ということもあり、当時の生活感や雰囲気がとてもリアルに伝ってくると同時に、細部に至るまで煌びやかなのである。その豪華さと迫力に溢れる映像は、まさに劇場で観るべき作品である。だからこそ、上映時間2時間48分という長編だが飽きることはない。むしろ、死と隣合わせの時代を生き、一つの時代を築いた2人の壮大な人生をみることができるのだから、足りないくらいだ。

また、本作を魅力的にしている大きな要因の一つに、綾瀬はるか演じる濃姫(帰蝶)の存在がある。当時の女性といえば、一歩下がって慎ましやかに夫を支えるというイメージを抱く人が多いかもしれない。しかし、濃姫はそのような女性像とは真逆の人だ。その本性は、信長との初夜の場面で明らかとなる。あの信長に、怯むことなく向かっていく濃姫の姿を見れば、誰もが一瞬にして彼女に引き込まれてしまうだろう。そこから先は、濃姫がどのように信長に影響を与えていくのかということに、ワクワクしてくるに違いない。

始めは、殺伐として出会った信長と濃姫が、いかにして心を通わすようになってゆくのか。そして、多くの人の命を背負いながら、数々の決断を下してきた信長は、本当は何を思って本能寺にて人生に終わりを告げたのか…。2人の歩みをじっくりと見てきたからこそ、クライマックスには想像以上の感動が待ち受ける。そして、こんな事実もあったかもしれない、と2人の物語にいつまでも浸っていたくなる。

【ストーリー】
政略結婚によって結ばれたのは、格好ばかりの織田信長(木村拓哉)と信長暗殺を目論む濃姫(綾瀬はるか)。全く気が合わない水と油の関係の二人は、新婚初夜からさっそく大騒動。ある日、濃姫の祖国で内乱が起こり父・斎藤道三が亡くなってしまう。帰る国が無くなったことで自身の存在意義を失い自害しようとする濃姫に、生きる意味と場所を与えたのは、他でもない信長だった。そんな信長も大軍に攻められ窮地に立たされた時、濃姫にだけは弱音を吐く。自暴自棄になる信長を濃姫は激励し奮い立たせ、二人は桶狭間の激戦を奇跡的に勝ち抜くことに。これをきっかけに芽生えた絆はさらに強くなり、「どこまでも上へ」と天下統一が二人の夢となる。しかし、戦さに次ぐ戦さの中で、信長は非情な”魔王”へと変貌してゆく。本当の信長を知る濃姫は、引き止めようと心を砕くが、運命は容赦無く<本能寺>へと向かっていく。<魔王>と恐れられた信長と、<蝶>のように自由を求めた濃姫。激動の30年を共に駆け抜けた二人が見ていた、”本当の夢”とは──。

【キャスト】
木村拓哉、綾瀬はるか、伊藤英明、中谷美紀、宮沢氷魚 他

【スタッフ】
監督:大友啓史
脚本:古沢良太

配給:東映
(C)2023「THE LEGEND & BUTTERFLY」製作委員会

公式サイト:https://legend-butterfly.com/
公式Twitter:https://twitter.com/lb_toei70th

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