MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

【今週公開の注目作】『アウトウォーターズ 裂けた砂漠』 喉が渇く。肌が焦げる。汗が止まらず、血は枯れる。

◆今週公開の注目作

『アウトウォーターズ 裂けた砂漠』
2026年6月26日(金)~全国ロードショー!

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ホラー映画で最も怖いシーンはどのようなものだろう。幽霊や殺人鬼、怪物の異様な顔のクロースアップ? 確かに、あの貞子の人を殺せるほど怨嗟のこもった目のシーンに気を失いかけた人は多いだろう。それとも逆に、被害者の歪んだ顔のクロースアップ? 確かに、観客が感じる恐怖は被害者役の俳優の演技によって決まってくる部分も大きい。普通に人生を送っていると決して作れない表情にこそ、尋常ならざる事態を感じられる。しかし筆者にとっては、どちらかというとクロースアップではなくロングショットの方が恐ろしい。それが何者かははっきり見えない。どう動いているかもはっきり見えない。ところが確かに遠くにナニカがおり、絶対にそこに近づいてはいけない。有名な都市伝説である「くねくね」のように、「正体を理解してはいけない」と本能的に直感させる得体のしれない画にこそ、最悪の想像が働くというものだ。

さて、本作『アウトウォーターズ 裂けた砂漠』は、ポスタービジュアルからして怪作の雰囲気がビンビンだ。ストーリーも想像できない。分かりやすい部分から話すと、本作はファウンド・フッテージものである。「実際の記録映像が見つかった」体のモキュメンタリー(偽ドキュメンタリー)で、3つのメモリーカード、つまり3パートからなっている。主要人物の4人はモハーベ砂漠で同じ日に失踪したとされており、その日から約5年後に見つかったのがこの映像だ。彼らはキャンプをしながらミュージックビデオを撮影しようとしていた(だからこそカメラを回している)が、時間が経つにつれて徐々に言語化不可能な現象に見舞われていく……。

パート1ははっきり言って何も起こらない。4人が砂漠の旅を楽しむ様子が記録されているだけだ。本作の上映時間はホラーにしてはかなり長く110分もあり、その3分の1がそういった具合なので正直心配になるが、パート2から画面は非常に奇怪な雰囲気に包まれる。夜の砂漠で、4人は出所・原因不明の音に苛まれるのだ。爆弾のような爆破音だが火は見えない。雷音にも近いが光は見えない。銃声にも聞こえるが人はいない……はず。獣の鳴き声。鳥の啼き声。人の泣き声。そのどれもに聞こえ、そのどれでもない。これはまさに、遠くに見えるヒトガタと同じ。理解するころには正気ではない。そう予感させるが、4人は構わずキャンプを続ける。やがて自分が哭き声を上げることになるとは知らず。

強く思うのは、ファウンド・フッテージものは映画の中でも特に感覚的に鑑賞しなければならないという点だ。何せ、分かりやすく論理的に撮る必要がない。映像は時系列順と最初にテロップが出るが、後半になると何が何だかもう分からない。考察系と言っても差し支えないだろう。答えらしきものは提示されず、ヒントに見えなくもない事象が散りばめられてはいるが、それを上手く一本の線に結ぶのは困難だ。とにかく、何か致命的な危機に遭遇していることだけは嫌というほど感じられる。砂漠と同じく、昼の灼熱と夜の極寒に二極化したような内容で、終盤には大量の赤い水がカラカラに乾いた地面を潤す。一体全体、我々は何を見せられたのか? 理解してはいけない。考えても不毛だから? その一線を越えれば、言葉を無くし、自我を失くしてしまうかもしれないのだ。亡くした4人と同じように。

【ストーリー】
そして、みんな死ぬ。 モハーベ砂漠で発見された3 つのメモリーカード。そこには想像を絶する映像が残されていた……。4人の仲間たちがミュージックビデオを撮影するためにカリフォルニアのモハーベ砂漠へ向かう。 しかし、夜になると奇妙な音と光、そして説明不能な現象が発生。やがてカメラは、現実の裂け目に飲み込まれ悪夢的映像を捉えていく……。

【キャスト】
ロビー・バンフィッチ、アンジェラ・バソリス、スコット・シャメル、ミシェル・メイ 他

【スタッフ】
監督・脚本:ロビー・バンフィッチ

公式サイト:https://outwaters.jp/

 

関連記事

『ジェニー・ペンはご機嫌ななめ』 長く曲がりくねった道の果てに、怪物の待つ袋小路に辿り着く。

『スカーフェイス【4K版】』 この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば。

『KEEPER/キーパー』 私の目の黒いうちは、決してお前を逃さない。

『名無し』 光を反射せず、呑み込むことで浮かび上がるモノがある。

『廃用身』 社会を打ち震わすこの提言を、あなたは切って捨てることができるだろうか。

『デンジャラス・アニマルズ 絶望海域』 死の運命に噛みつけ!鳥肌に加え鮫肌まで立ちそうな奇行種サメ映画。

『サンキュー、チャック』 ツキがない夜にこそ、星空は光り輝く。すでにあの星がなくたって。

バックナンバー