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『65/シックスティ・ファイブ』遠い昔、まさか此方の銀河系で…!?太古の地球で大量絶滅を生き延びろ!

◆今週公開の注目作

『65/シックスティ・ファイブ』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ポスト・アポカリプスものというジャンルの映画がある。世界の終末をテーマにした作品たちだ。荒廃した核戦争後の世界が舞台の『マッドマックス』シリーズ(1作目は除く)や、本作『65』の監督であるスコット・ベック&ブライアン・ウッズが脚本を担当し、エイリアンに支配された地球を描いた『クワイエット・プレイス』も同ジャンルに当てはまる。それらの映画からは暗い未来が想像されるかもしれないが…よく考えてみてほしい。地球はすでに、過去に何度か終末を迎えている。例えば、遠い昔ユカタン半島に隕石が落ちた。そしてその衝撃で、恐竜を含む多くの種は絶滅してしまった。もし当時人間が誕生していたら、今の我々もなかったかもしれない。地球で3番目に大きい衝突跡「チクシュルーブ・クレーター」は、今なお人類にその壮絶さを教えてくれる。このクレーターができたのが6500万年(65ミリオン年)前だ。

SFの名作『猿の惑星』では、宇宙の彼方でのミッションを終えた宇宙飛行士が地球に帰還しようとする中でトラブルに遭い、猿が人間を支配する未知の惑星に不時着してしまう。オチがあまりに有名すぎるので言ってしまうと、その惑星は未来の地球だったことが最後に示される。『65』はそれを少しひねり、惑星ソマリス(明らかに『惑星ソラリス』のもじり)の宇宙飛行士ミルズがミッションの途中で事故に遭い、ある惑星に不時着する。それが恐竜たちの闊歩する6500万年前の地球なのだ。仲間たちは、コアという名の少女を残して全滅。生き延びるために、ミルズはコアを連れて、不時着時に遠くに落下した脱出船までたどり着かなければならない。しかし、空には地球に滅びをもたらす流星の雨が迫っていた…。

ミルズを演じたのは、『スター・ウォーズ』シークエル・トリロジーで忘れられない悪役カイロ・レンを演じたアダム・ドライバーだ。今回は年代設定こそ『スター・ウォーズ』と同じ「遠い昔」であるものの、描かれるのは我々のよく知るこの銀河系で、ティラノサウルスを含め様々な恐竜が登場する。だが、本作は恐竜映画というより“白亜紀映画”だ。身の毛もよだつ巨大昆虫(その意味では『ジュラシック・パーク』でなく『ジュラシック・ワールド』を思い出すべきか?)や、手つかずの荒々しい自然。この地球に住み恐竜映画を見慣れている我々も、ミルズとともにモンスターだらけの過酷な異星の環境に放り込まれた気分になるのだ。いくら海兵隊出身であるドライバーの肉体やハイテク武器を使いこなす様に説得力があるとは言え、モンスターには理屈など通じない。

また、本作はSFスリラーにのみ徹しているわけではなく、ファミリードラマ的な側面もある。異星で孤独のミルズは最初、遙か彼方の娘を想いながらも生きることを諦める。しかし両親を失ったコアと、話す言語の違いにやきもきしながらも徐々に絆を深めて疑似親子のようになっていく様子は実に微笑ましい。…これまで何度も危機に見舞われたのに、本当の意味で地球が終わったことはない。これから再び地球に重大なイベントが起こっても、きっと全ての命がなくなるわけではない。生命は死を乗り越えることができる。隕石による大量絶滅を扱った映画なのに、鑑賞後は晴れやかな気持ちで空を見上げたくなるだろう。そしてその先には、数多の太古の星々が輝いている。

【ストーリー】
ミルズは、宇宙船に乗り込み、宇宙を探査する長いミッションに出ていた。航行中、突如、小惑星帯と衝突して宇宙船は墜落。乗組員の生存はゼロ。船体はバラバラとなり航行不能。どこかに切り離されたであろう脱出船を探すため、未知の惑星を捜索するミルズは、一人の少女・コアが生存しているのを発見する。二人が不時着したのは、6500万年前の地球──。そして・・・恐竜を絶滅させたという巨大隕石が、あとわずかで地球に衝突しようとしていた──。

【キャスト】
アダム・ドライバー(『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』)、アリアナ・グリーンブラット(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』)

【スタッフ】
監督・脚本:スコット・ベック&ブライアン・ウッズ (ともに『クワイエット・プレイス』脚本・原案)
製作:サム・ライミ(『ドント・ブリーズ』製作/『死霊のはらわた』、『スパイダーマン』シリーズ、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』監督)

公式サイト:https://www.65-movie.jp

 

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