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『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』伝説的なゲームを大胆に映像化。大迫力の大冒険に繰り出せ!

◆今週公開の注目作

『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

映画の原作となるのは大抵小説か漫画だが、ゲームの場合もかなり多い。最近で言えば『名探偵ピカチュウ』に『ソニック・ザ・ムービー』、『モンスターハンター』、『アンチャーテッド』などが公開され、ドラマでは『THE LAST OF US』が配信された。今年は『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』と映画版『グランツーリスモ』の公開が控えており、今後も『Ghost of Tsushima』、『メタルギアソリッド』、『DEATH STRANDING』などが映画化予定だ。これらはアクション、ゾンビホラー、レースと映像化に向いているし、多くが素晴らしいストーリーを持っている(『スーパーマリオ』は?)。しかし、本作は明らかに異質だ。なぜなら、原作ゲーム『ダンジョンズ&ドラゴンズ(D&D)』はテーブルトーク・ロールプレイング・ゲームだからだ。

「テーブルトークRPG」は和製英語だが、読んで字のごとく少人数のメンバーでテーブルを囲み、会話やサイコロを振るなどして物語を進めていく、実にアナログなゲームである。1974年に最初のバージョンが発売されたD&Dはその元祖であり、それどころかRPGとして世界初とも言われている。だが問題は、映画化に向いているかどうか。不安を覚えたのは筆者だけではないだろう。しかし、それは杞憂に過ぎない。ちなみに、筆者はD&Dは未プレイだ。それでも、鑑賞には全く負の影響がなかった。

まず、外観はゲーム『ドラゴンクエスト』シリーズや映画『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズなどでファンタジーに慣れていれば、すぐに受け入れられるものだろう。タイトルにあるダンジョン(迷路)とドラゴンの他、魔法使いや宝箱に擬態するモンスターのミミックなど、実際に見たこともないのによく知っている連中に会える。矛盾するようだが、それなのに非常に新鮮な映画でもある。見(魅)せ方が抜群に上手いのだ。主人公で盗賊のエドガンは生き別れた娘を探すため旅をしているが、途中で仲間になるドリックが自然の力を操るシーンは特に素晴らしい。次々に異なる動物に変身しながら追手をまく様子がスムーズに描かれ、瞬きするヒマもない。また、いざという時には怪力の巨体アウルベア(フクロウグマ)となって暴れまわる。豪快で爽快だ。

ゼラチナス・キューブというゼラチン状の立方体のモンスターもフレッシュな存在だ。本体は全く動かないが、誤って中に取り込まれたらしばらくして骨以外溶かされてしまう。外見が透明なので、目を凝らすと中に憐れな犠牲者の骨が標本のように浮いているのが見えるのだ。ショッキングながらもどこかコミカルなビジュアルなのが面白い。そして、世界観がしっかりしていながらも、決して気取ったり重厚には見せようとしていないのが良い。基本的には、本作はしょうもないギャグが続く(褒めている)コメディだ。エドガンらのパーティは、ドリック役のソフィア・リリスが出演した『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』に出てくるルーザーズ・クラブ(負け犬クラブ)と同じ。皆どことなく残念でありながらチャーミングで、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー的でもある。

監督のジョン・フランシス・デイリー&ジョナサン・ゴールドスタインの前作『ゲーム・ナイト』も、RPGを用いた抱腹絶倒コメディだった(傑作!)。高尚なファンタジーでない代わりに、親近感の湧くエドガンらと同化できるRPG映画として楽しめるだろう。ゲームに詳しくないからと見逃す手はない。さあ、賽は投げられた――!

【あらすじ】
様々な種族、モンスターが生息する世界、フォーゴトン・レルム。盗賊のエドガン(クリス・パイン)と彼の相棒である戦士のホルガ(ミシェル・ロドリゲス)は、闇の組織に仕える超ヴィランたちに殺されたエドガンの妻を生き返らせるため、さらわれた娘を助けるために旅にでる。そんな二つの目的を遂げるためには、特殊能力を持った仲間と、運命を握るアイテムが必要とわかる。そこで、二人は名家出身の魔法使いサイモン(ジャスティス・スミス)と自然の化身のドリック(ソフィア・リリス)、そしてある秘密を知る聖騎士のゼンク(レゲ=ジャン・ペイジ)とパーティを組むことに。決してヒーローではないアウトローたちが全世界を脅かす超ヴィランの陰謀に対峙することになる…。

<キャスト>
盗賊のエドガン/クリス・パイン/武内駿輔
戦士ホルガ/ミシェル・ロドリゲス/甲斐田裕子
魔法使いサイモン/ジャスティス・スミス/木村昴
聖騎士ゼンク/レゲ=ジャン・ペイジ/中村悠一
自然の化身ドリック/ソフィア・リリス/南沙良
凶悪な魔法使いソフィーナ/沢城みゆき
墓場に眠る戦士たち/神谷浩史、森川智之、津田健次郎、諏訪部順一

<スタッフ>
監督・脚本:ジョン・フランシス・デイリー&ジョナサン・ゴールドスタイン
製作:ジェレミー・レイチャム (『アベンジャーズ』『ガーディアンス・オブ・ギャラクシー』
配給:東和ピクチャーズ
全米公開:2023年3月31日予定

公式サイト:http://dd-movie.jp
Twitter:https://twitter.com/Paramount_Japan
Instagram:instagram.com/paramount_japan/

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