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『シークレット・インベージョン』敵は誰で味方は誰か…そしてあいつの顔をしたお前は誰だ？誰も信じてはいけない、スーパーヒーローなしのマーベルドラマ！

この映画は、つまり―
  • スーパーヒーロー作品に興味がない方にもオススメの硬派なSFスパイスリラー
  • 老いた人間ニック・フューリーが宇宙人スクラルの地球侵略を止めるため立ち上がる！
  • 善良なスクラル人タロスと、過激派に属する娘ガイアの関係やいかに…

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◆配信中の注目作

『シークレット・インベージョン』

ディズニープラスで視聴する⇒こちら

文：屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

映画作品の供給が多いため意外に思われるかもしれないが、この『シークレット・インベージョン』は久々のMCUのTVシリーズだ。1エピソードしかなかった『ウェアウルフ・バイ・ナイト』と『ガーディンズ・オブ・ギャラクシー ホリデー・スペシャル』を除けば、『シー・ハルク：ザ・アトーニー』以来約10か月ぶりの新作となる。まだ1話しか配信されていないが、これまでと違うことだらけ。異色のドラマシリーズと言えるだろう。

まず、現時点ではスーパーヒーローが出てきていない。タイトルからしてそうだ。今までのドラマは、『ワンダヴィジョン』や『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、『ロキ』…は違うとしても、『ミズ・マーベル』などはタイトルにスーパーヒーローの名を冠し、彼らが1話から出ずっぱりだった。今回の主人公ニック・フューリーはアベンジャーズを作った張本人とは言え、ただの人間に過ぎない。しかも、年齢的にはもうおじいちゃんだ。作中でも、以前よりかなり体力も能力も落ちていることが度々言及される。しかし、彼に課せられた使命は重大だ。何せ、第三次世界大戦規模の戦争を事前に防がなければならないのだから。

「シークレット・インベージョン(密かな侵略)」とは、宇宙人であるスクラルによる地球侵略を指している。何も、スクラル人全員が人間と敵対しているわけではない。『キャプテン・マーベル』から登場している平和主義のタロスなどはフューリーに協力している…、だがスクラル人が抱えている問題は、宿敵のクリー人に故郷の星が壊され宇宙の難民となってしまっていることだ。特に若いスクラル人は新たな定住先を強く欲しており、“第二の故郷”として白羽の矢が立ったのがこの地球だった。タロスの娘ガイア(地球を意味する「ガイア」と同じ響きだ)も過激派のひとりだ。スクラル人は姿を自在に変えられる「シェイプシフター」。そのため、彼らは密かに人間の中に紛れ込み、着々と計画を進めている。

スクラル人は人間の姿でロシアとアメリカの対立を煽り、放射性爆弾で戦争の火種を生もうとしている。放射線は屈強なスクラル人にとっては何ら問題でないため、フューリーが失敗すれば地球は人間にとっては死の星に、スクラル人にとっては生命の星になる。宇宙生物による密かな侵略を描いた映画は、SFスリラーの古典『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』など昔からあり、同作は米ソ冷戦当時の空気感を反映していたが、『シークレット・インベージョン』は近未来の米露戦争の恐怖を匂わせながら進んでいく。派手さはなく、かなり硬派な印象だ。

普段のマーベルドラマとは逆に、スーパーヒーローものが苦手な方にこそオススメできるリアリティのあるSFスパイスリラーだ。フューリーにはスーパーパワーがなくとも、スーパーヒーローたちをまとめ上げ、幾度も死線をくぐり抜けながら世界を守ってきた老兵としての意地がある。種族間の対立、国家間の対立、世代間の対立…、フューリーは、これら全てを解決するヒーローとなれるのか。これまでも多くの問いに答えてきたマーベルならばきっと、この難問に対する説得力のある答えを今後しっかりと提示してくれるだろう。

【ストーリー】
マーベルの新シリーズ「シークレット・インベージョン」は現代のMCUを舞台にし、ニック・フューリーが、姿を変える「シェイプシフター」スクラル人の一派による地球侵略計画の存在を知る。フューリーは、エヴェレット・ロス、マリア・ヒル、そして地球で生活を営むスクラル人タロスなどの仲間と合流。彼らは共に、迫り来るスクラル人の侵略を阻止し、人類を救うために時間との闘いに挑む。

【キャスト】
サミュエル・L・ジャクソン、ベン・メンデルソーン、コビー・スマルダーズ、エミリア・クラーク、オリヴィア・コールマン、キングズリー・ベン＝アディル、ドン・チードル、マーティン・フリーマン　他

【スタッフ】
監督：トーマス・ベズーチャ、アリ・セリム

 

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屋我平一朗

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