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『ムーンナイト』もう一人の“ストレンジなスティーヴン”がここに誕生。狂気にその身を委ねよ!

この映画は、つまり―
  • マーベル屈指の気弱キャラ!?でもギャップが凄い!
  • 主人公スティーヴンと一緒に混乱しよう!
  • ちょっと過激なバイオレンスあり

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◆配信中の注目作 
『ムーンナイト』(2022)

ディズニープラスで視聴するこちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

マーベル・スタジオ製作のドラマシリーズ『ムーンナイト』の配信がスタートした。これまでのドラマ『ワンダヴィジョン』、『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』、『ロキ』、『ホークアイ』も、それぞれ違った形の衝撃をもたらしたが、本作も第1話から盛りだくさんの内容な上、トリッキーなストーリー展開で観客を混乱させる。しかし、それは別に「分かる人だけついてこい」というようなハードルの高さを意味してはいない。

主人公スティーヴン・グラントは、ロンドンの博物館でギフトショップ店員として働いている。開催中の古代エジプト展についてレクチャーできるほど知識があり、客に対してもツアーガイドのように振る舞ったりしているが、実際本人はガイドではないので上司のドナにどやされている。職場の者からは「スコッティ」などと常に名前も間違えられており、「朗」の字を「郎」に1億回間違われてきた筆者としても同情せざるを得ない、実にストレスフルな職場だ。本人は気弱なため強く反論することもできない。ヒーローらしく毅然としていないのが一般人らしくて共感を呼ぶ。

スティーヴンは睡眠障害を患っており、日中時たま意識が飛ぶ。そうすると映像も“何か”が起こった後にジャンプする。いつの間にか、なぜかロンドンから遠く離れた場所にいたり、自分の周りで謎の男たちが倒れていたり…さらに、起きていても体が意思に反した動きをするようになり、スティーヴン同様観客を混乱させる。しかも頭の中には声が響き、彼のことを「マーク」と呼ぶ。「また名前を間違えやがって」? いや、そんなことを考えている場合ではない。彼に一体何が起こっているのか?

スティーヴンはどうやら意識が飛んでいる最中は腕の立つ「マーク」となって行動しているようだ(だから眠れていないのかも?)。「マーク」が倒した男たちは血だらけだ。そして、意識を取り戻したスティーヴンの両手も。これまでのマーベルにはここまでのバイオレンス描写はあまりなかった。人に注目されないスティーヴンと狂気の「マーク」のギャップは、まさに新月と満月のようだ。演じているのは“オスカー(アカデミー賞)”…ではなくゴールデングローブ賞受賞歴のあるオスカー・アイザックで、そのパフォーマンスは圧巻だ。

今回のヴィラン、アーサー・ハロウを演じるのはこれまた名優のイーサン・ホーク。「マーク」に奪われた謎のアイテム、金のスカラベを取り戻そうと襲いくるハロウはカルト教団の指導者で、本作は彼がガラスの破片を敷き詰めた靴を履いて歩き出すインパクトのあるシーンから始まる。まさに、暴力の痛みを感じさせながら進み始めた本作。スティーヴン(マーク)とハロウの狂気はどちらが上なのか? 原作でムーンナイトに力を与えるエジプトの神コンシュも、まだ声と体の一部しか出てきていないが、月は満ち欠けするものだ。やがてその姿を表すだろう。そしてオスカー・アイザックもまた、月のように移り変わるスティーヴンの様々な一面を見せてくれるはずだ。

【ストーリー】
温厚なギフトショップの店員のスティーヴン・グラントは意識消失と他人の記憶に悩まされ、自分が解離性同一性障害であり、傭兵のマーク・スペクターと体を共有していることを知る。敵が迫り、複合した人格を操らなければならなくなったスティーヴンとマークは、エジプトの強大な神々の恐ろしい謎に巻き込まれていく。

【キャスト】
オスカー・アイザック、イーサン・ホーク

【スタッフ】
監督:モハメド・ディアブ(「クラッシュ」)、ジャスティン・ベンソン&アーロン・ムーアヘッド(「アルカディア」、「シンクロニック」)
脚本:ジェレミー・スレイター(「アンブレラ・アカデミー」)

 

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