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『行き止まりの世界に生まれて』アメリカの「最も惨めな街」で暮らす3人のスケボー仲間の人生から見えるアメリカの「リアル」

この映画は、つまり―
  • 第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞ノミネート!!
  • 「最も惨めな街」で生まれ育った3人の若者のリアル!
  • 映画好きのバラク・オバマ前大統領も大絶賛!!

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『行き止まりの世界に生まれて』(2019)

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「アメリカで最も惨めな街」と言われるイリノイ州ロックフォードに暮らす3人の男性の人生を追ったドキュメンタリー映画。貧しく、暴力を振るわれた家庭から逃れるようにスケボーにのめり込む彼らだったが、時が経ち、ずっと避け続けた問題に対峙することになる。第91回アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた。

彼らが住むイリノイ州ロックフォードは「ラストベルト」と呼ばれる工業地帯である。かつては製造業や重工業の中心地であったものの、グローバル化により国内の製造業が中国やメキシコなど、国外に出ていくと急速に衰退した。失業者が続出、彼らの暮らしは苦しいものになっていった。アメリカ大統領選でも大きく注目を集めた地帯で、トランプは彼らの支持を得て投票したとまで言われている。

この映画の監督をしたビンは、元々は仲が良い友人たちとスケボーに興じているのを、ビデオで撮影しているだけだった。そこから自分と、仲間2人の人生を追うドキュメンタリーが完成したのだから驚きだ。スケボーに興じながらも映し出されるのは、過酷な状況で生きる3人の若者のリアル。貧困に暴力。土地の豊かさを失ったロックフォードで育った彼らは、そんな辛い人生を送ってきた。

やがて彼らは大人になり、少しずつ状況が変わってくる。貧困から抜け出そうと、必死に働く者もいれば、結婚し子供が出来ても、かつて自分が親から受けた暴力を今度は妻にやってしまう者もいる。監督自身も母親との辛い過去に対峙することになる。ドキュメンタリー映画であるのに、まるでドラマ映画を観ているような、それほどにドラマチックな展開になっている。

この土地に未来はないと思いながらも、必死に生きる3人の若者のリアルが描かれた傑作ドキュメンタリー映画。海の向こうの出来事かもしれないが、新型コロナウイルスの影響で失業者が多く出ているこの日本で、彼らのような若者がいても全く不思議ではない。しかし、この映画は辛く苦しいだけではない。どんな苦境の中においても支え合える仲間や家族がいれば、それを乗り越えることだってできると、この映画は伝えている。本作はリアリティに溢れながらも、同時に温かみに溢れた映画となっている。是非ともお勧めしたい映画なので、ご自宅で是非観て頂きたい。

【ストーリー】
かつて栄えていた産業が衰退し、アメリカの繁栄から取り残された「ラストベルト(錆びついた工業地帯)」に位置するイリノイ州ロックフォード。キアー、ザック、ビンの3人は、それぞれ貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードに熱中していく。スケート仲間は彼らにとって唯一の居場所であり、もうひとつの家族だった。そんな彼らも成長するにつれ様々な現実に直面し、少しずつ道を違えていく。低賃金の仕事を始めたキアー、父親になったザック、そして映画監督になったビン。幼い頃からスケートビデオを撮りためてきたビンのカメラは、明るく見える3人の悲惨な過去や葛藤、思わぬ一面を浮かび上がらせていく。そんな彼らの姿を通して、親子、男女、貧困、人種といった様々な分断を見つめ、アメリカの知られざる現実を映し出す。

【スタッフ】
監督:ビン・リュー

公式HP:http://bitters.co.jp/ikidomari/

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