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『スイートガール』この復讐は甘くない。妻/母を奪われた父娘が悪に牙をむく!

この映画は、つまり―
  • 久々に“人間 ”を演じるジェイソン・モモアに注目!
  • 華奢ながら、大男ジェイソン・モモアの影に隠れないイザベラ・メルセドの存在感!
  • 捻りのあるストーリーに潜む伏線の数々!

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◆配信中の注目作 

『スイートガール』(2021)

Netflixで観るこちら

文:屋我平一朗(ホラーが主食の映画ブロガー)

本作の主演を務めたのは、ハワイ出身の俳優であるジェイソン・モモアだ。ここ数年は、DCコミックスのスーパーヒーロー映画で人間と海底人のハーフであるアクアマンを演じていたので、久々にただの人間に戻ったと言える。

ジェイソン演じるレイには、美しい妻アマンダとティーンエイジャーの娘レイチェルがいる。ところが、序盤でアマンダはがんのため死んでしまう。これは単なる不運ではなく、高価な抗がん剤を開発したバイオプライム社が、安価なジェネリック薬を開発した会社に働きかけ、販売を延期させたのが原因だったのだ。今回のジェイソンは人間だと言った。それは戦闘力についてもだ。こういったリベンジものはリーアム・ニーソンらが得意とするジャンルだが、本作のレイにはリーアムのように超人的なスキルはない。ボクシングで鍛えてはいるが、それだけだ。その代わり、妻を亡くしてのむせび泣きや娘との微笑ましいスキンシップなど、非常に人間くさい面を見せてくれる。最近ジェイソンのファンになった方には新鮮だろう。

レイチェル役を務めたのはイザベラ・メルセド。以前はイザベラ・モナ―という名で活躍していた…と言えばピンと来る方もいるだろう。最初に出演した大作は『トランスフォーマー/最後の騎士王』。その後、アメリカ・メキシコ間の地獄のような麻薬戦争を描いた『ボーダーライン: ソルジャーズ・デイ』で、麻薬王の娘を演じた。イザベラは身長155cmと小柄だが、今回演じたレイチェルも負けん気が強く確固たる意志を持ったキャラクター造形になっており、大男にも気負わず立ち向かっていくのが魅力的だ。レイチェルは父の言いつけは守らないが、家族を想っての行動をとり、物語をより複雑な方向へ引っ張っていく。

そのおかげで、ストーリーにはいくつもの捻りが生まれている。序盤のレイと暴漢との戦闘は、常に観客の意識よりワンテンポ早くキャラクターが予想外のアクションを起こしながら進行する。これは本作を象徴するシーンだ。陰謀の話なので、黒幕に辿り着く道は曲がりくねっているが、伏線がきちんと張られているので瞬きは厳禁。リベンジものとカテゴライズできる本作だが、一番のテーマは父娘の絆だ。ラスト、あなたの目から涙が溢れたとしても、それはきっと瞬きを忘れていたせいではない。

【ストーリー】
製薬会社の利己的な思惑のせいで、男は妻を亡くし、娘は母を失った。そして今、最愛の人を死に至らしめた者に制裁を下すため、真実を追う。

【キャスト】
ジェイソン・モモア、イザベラ・メルセド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ

【スタッフ】
監督:ブライアン・アンドリュー・メンドーサ

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