『FUBAR／フーバー』敵を欺くにはまず家族から。娘にタジタジのシュワちゃんが奮闘するアクションコメディ・ドラマシリーズ！

2023.05.27

この映画は、つまり―

シュワちゃん初主演ドラマシリーズ！
悪人も手を焼くほどの父娘ゲンカ勃発！
「この人知ってる！」となること請け合いのキャストも集結！

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◆配信中の注目作

『FUBAR／フーバー』

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文：屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

筋肉アクションスターにして、元カリフォルニア州知事。大人気のシュワちゃんことアーノルド・シュワルツェネッガーももう75歳だ。しかし、彼は今も挑戦を続けている。いくつもの映画、ドラマシリーズに出演してきたが、今回のNetflixアクションコメディシリーズ『FUBAR』では何と“初主演”。そう、彼はドラマシリーズとしてはこれが初主演作なのだ！

FBIと言えば初代長官ジョン・エドガー・フーバー。本シリーズはCIAの話だが、『プライベート・ライアン』にも出てきた「Fucked Up Beyond All Recognition(手がつけられないほどめちゃくちゃ)」を意味する米軍のスラング「FUBAR(フーバー)」がタイトルになっている。シュワが演じているのは引退間近の優秀なCIA捜査官ルークだ。これまでずっと家族には普通の会社員と偽りながら、悪と戦ってきた。妻タリーとは離婚して何年も経つが、今も最愛の相手だし関係も良好。娘エマは発展途上国での支援活動に精を出す立派な大人に育ったし、彼氏は少し頼りなさげではありつつもエマは幸せそうだ。

ルークは引退直前で突然新たにミッションを命じられ、不本意ながら現地に赴く。昔、任務で殺害した男の息子ボロが父親と同じように犯罪組織のボスになってしまったのだ。ルークは自分の正体を隠し表面上はボロと仲良くやっていたが、組織の中にエマを見つけてしまう。何で!?　実は、エマもまたルークと同じCIAのスパイだったのだ！　ボロの前では初対面のフリをするも、お互いにCIAと知らなかったふたりは困惑。エマはこれまで、ルークを家に留まらせるために勉学に励んでアピールしていたのに、ルークが仕事にかまけたせいで両親が離婚し、しかも今タリーには良い人がいると口汚く暴露する。え、世界を救って、妻には愛されていて、娘は良い子に育って、仕事を止めたら家族と穏やかに過ごそうと思っていたのに、全てパパの勘違いだったの!?

今回のシュワはコメディ寄りだ。極悪人たちの前でも父娘ゲンカし、それに巻き込まれて極悪人が死ぬ。起こっていること自体はブラックな笑いに包まれているが、どこにでもある微笑ましい父と娘の風景でもある。特に“口紅”ギャグには抱腹絶倒間違いなし！　シュワ以外のキャスティングも面白く、例えばボロ役のガブリエル・ルナは、覚えているだろうか、『ターミネーター：ニュー・フェイト』でサラ・コナーと戦った最新機体のRev-9を演じていた俳優だ。先日、シュワはもう『ターミネーター』シリーズには出演しない意向を明らかにした。対して、ジェームズ・キャメロン監督は再び新作の脚本を書き始めたようだが、ターミネーター同士の対決はある意味本作ですでに実現してしまっているのだ。

エマ役のモニカ・バルバロもどこかで見たと思ったら、『トップガンマーヴェリック』に登場した紅一点のパイロット、フェニックスその人。お上品さをかなぐり捨ててシュワをなじる強気な態度が非常にハマっている。いやまずそれ以上に、シュワかわいい。本作に本格アクションを求める方には向かないかもしれないが、カッコ良い面だけでなくシュワのかわいい面まで楽しみたい方には強くオススメできるシリーズと言えるだろう。うん、シュワかわいい。