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『屋根裏のアーネスト』こんなお化けなら大歓迎!殻ならぬ、部屋にこもった愛すべき幽霊のキュートなコメディ。

この映画は、つまり―
  • 『ハッピー・デス・デイ』監督の最新作!
  • カワイイを極めたおじさん、デヴィッド・ハーバー
  • コメディあり、ミステリーあり、アクションあり。でもホラーなしで見やすい!

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◆配信中の注目作

『屋根裏のアーネスト』(2023)

Netflixで視聴するこちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

もしもこの世(という言い方が適切なのか分からないが)に幽霊がいるとすれば、死人は日々増えるので現在の世界人口を遥かに超えた数になり地上が埋め尽くされるはずだ、と主張する人がいる。死んだ後に確実に幽霊になるのなら、それはもはや違う形で生き続けているとも言えるような気がするが、強い未練がある者だけが幽霊として残ってしまうと考えればそれほど違和感はない。特に、本作に登場するアーネストと同レベルの未練を持つ幽霊は、そこら辺を散歩しても簡単には見つけられないだろう。

引っ越し先で遭遇するものと言えば、まっくろくろすけか幽霊だ。フランクら黒人一家は、引っ越してすぐに屋根裏部屋で幽霊を発見する。普通ならここでホラー色が出てくるところだし、監督は『ハッピー・デス・デイ』などのホラーコメディが得意なクリストファー・ランドンではあるが、全く怖くはならない。幽霊のアーネストが、こちらを怖がらせるつもりで単なるスベり芸を披露するだけのバーコード頭のおじさんだからだ。フランクは無害(無力?)そうなアーネストを面白がりSNSで動画を拡散、たちまちアーネストと一家は有名人となる。不本意なアーネストと、そんな彼をひとり気にかける次男ケヴィンは仲良くなるが、アーネストは記憶喪失で、死人に口なしということなのか言葉も喋れない。さて、彼自身すら忘れてしまった未練とは一体何なのか?

アーネストを演じるのは『ストレンジャー・シングス 未知の世界』のデヴィッド・ハーバー。『ブラック・ウィドウ』でのどこか間抜けなヒーロー、レッド・ガーディアン役や、『バイオレント・ナイト』でのやさぐれサンタ役など、「カワイイおじさん」像を確立してきたハーバーは本作で、セリフもないのに好きにならざるを得ない幽霊を好演している。また、フランク役のアンソニー・マッキーもまたマーベルのヒーローであるファルコン、もしくは新キャプテン・アメリカを演じてきたが、今回は逆にダメな父親を熱演。しかし主人公はフランクではなく家族の中で浮いているケヴィンだ。アーネストと多部未華子似の日系オタク女子(ヨシノさん)を相棒にして、物語は3人の政府からの逃亡劇に発展していく。

ファミリー向けのコメディ映画なので刺激の強い場面はない。だが中盤にはなぜか『マトリックス リローデッド』を意識したようなカーチェイスがあったり、他の映画作品への言及があったりと、割りと盛りだくさんの内容になっている(“ゴースト”の話ならば『マトリックス』よりインスパイア元の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』の方がふさわしい気もする)。またアーネストは、意識すれば物体に触れられる。もちろん『ゴースト/ニューヨークの幻』オマージュだ。吹けば飛ぶような21gの幽霊であろうとも、幽霊じゃないのに周りから浮いた存在であろうとも、その気になれば真実だって何だって掴むことができる。全く、冷気をまとったサムい幽霊を描いているくせに、中々ハートウォーミングな作品じゃないか。

【ストーリー】
引っ越してきたばかりの家で記憶喪失の幽霊を見つけ、SNSで一躍有名になった一家。だがそのせいで、彼らは謎に満ちた政府機関に目をつけられることに。

【キャスト】
デヴィッド・ハーバー、アンソニー・マッキー、ジャヒー・ディアロ・ウィンストン、ティグ・ノタロ、エリカ・アッシュ、ジェニファー・クーリッジ、ナイルズ・フィッチ、イザベラ・ルッソ、スティーヴ・コールター 他

【スタッフ】
監督・脚本:クリストファー・ランドン

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