MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『ナイン・デイズ』生まれる前に死んでいく魂がある。生き方に悩んでいる方必見!感動のファンタジードラマ!

この映画は、つまり―
  • 文字通り「生前」の物語
  • 意外にも豪華キャストによる、哲学的な会話劇
  • 生まれなければ苦痛はなく、生まれれば必ず苦痛を味わう、けれど…?

記事を見る

◆配信中の注目作

『ナイン・デイズ』

Netflixで視聴するこちら
AppleTVで視聴するこちら
Amazonプライムで視聴するこちら

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

「死後」とは、もちろん「死んだ後」を指す。では、「生前」は? 「死後」が「死んだ後」で、「生後」は「生まれた後」なのだから、「生前」を同じように解釈するなら「生まれる(生きる)前」となるはずだが、実際は「死ぬ前」を意味している。「死ぬ前」ならば、“死前”と表現するのが自然だろう…と冗談はさておいて、なぜ「生前」が「生まれる前」を意味しないのかを考えると、人間は自分が生まれる前にはあまり関心がないのだろう。確かに、死後について自分が生きた証が残らないのではと恐怖感を持つことはあれ、自分が生まれる前に何か心配事はあるかと考えても、いまいちピンとこない。もしかしたら「自分(または人間)はそもそも生まれてこない方が良かった」と考える反出生主義者の方は別かもしれないが、多くの方は生まれる前のことなんて気にしていないだろう。

しかし、実際生まれてみると、同じような環境で育ってもそれぞれ違う個性を持った人間に成長する。なぜか? 魂というものが本当に存在するのなら、生まれる前からわずかにでも個別に特徴があるのではないか? 本作『ナイン・デイズ』は、まさにその疑問に答えるような映画になっている。舞台となるのはあの世でもこの世でもない(“その世”?)、とにかく地上に生まれ落ちる前の魂が集まる空間だ。設定からは雲の上にある世界を想像してしまうが、見渡す限り荒野で、その中に普通の家が一軒だけポツンと立っているという寂しい場所になっている。

家にはウィルという、どの魂を誕生させるべきか選ぶ役目を担う黒人男性(の魂?)が住んでいる。ウィルは普段、地上の人間たちの人生をVHSを見るように大量にモニタリングしているが、この世界では常時魂(見た目は人間の大人)が生まれるらしく、家を訪れた彼らをウィルがテストする。今回の採用枠はたまたま地上で死者が出たため一枠のみで、それを5人が奪い合う…のだが、試験内容がまた不思議で、魂たちは生まれてもいないのに人生について思うところをウィルに話さなければならないのだ。試験期間は、神が天地を作り上げた時間より長く、セミが地中にいる時間より短い9日間(ナイン・デイズ)。

みんな魂なのに、ウィル役がウィンストン・デューク(『ブラックパンサー』のエムバク)、同僚のキョウ役がベネディクト・ウォン(『ドクター・ストレンジ』のウォン)、自由奔放な魂エマ役がザジ・ビーツ(『デッドプール2』のドミノ)、皮肉屋な魂ケイン役にビル・スカルスガルド(『IT/イット “それ”が見えたら、終わり。』のペニーワイズ)とキャストが豪華だ。映画は性善説に基づいているのか基本的にどの魂も善良だが、ウィルはいつも暗い表情をしている。地上に一枠空いたのは、過去にウィルが選んだ魂が死んでしまったからだったのだ。厳しい人生を生き抜ける魂を選ぶためには、優しさよりタフさを見極めなければならない。

しかしそうなると、地上にはますますタフな人間ばかりが増える。ウィルの色眼鏡が世界のカラーを変える。ウィル(Will)とは、「意志」、そして「遺書」を指す単語でもある。生まれる前の魂の消失をも「死」と呼ぶのなら、5人の生死はウィルの一存で決まる。それでも、魂たちは全員生まれたがっている。一度も生きた経験もない魂たちの会話劇なのに、何か人生において大切なことに気付かされたような気がしてくる、奇妙な映画だ。よく考えれば、魂は選べずとも新たな人間を誕生させられる我々の立場はウィルとそう変わりないし、この世に誕生した時点でウィルのような存在のお眼鏡に適った魂を持っているとも言える。どう生きるべきか迷っている方は必見の、魂が震える感動作になっているのではないだろうか。

【ストーリー】
ウィルは荒野の小屋で暮らしながら、人々の人生を画面越しに見ている。ある日、1人の人間が死んで、地上に新たな空きができた。ほどなくして数名の候補(生まれる前の魂)がウィルの元に現れる。地上で生を受けることができるのは選ばれた者だけ。ウィルは課題を出して適性を見極め、ふさわしくないと判断された魂は消えていく。選考期間は最長で9日間。候補の中には自由奔放なエマがいた。個性的なエマによって波乱に満ちた過去を直視させられ、ウィルは自らの存在を問うことになる。

【キャスト】
ウィンストン・デューク、ザジー・ビーツ、ベネディクト・ウォン、トニー・ヘイル、ビル・スカルスガルド、デイヴィッド・リズダール、アリアナ・オルティス 他

【スタッフ】
監督・脚本:エドソン・オダ

 

★配信エンタの過去記事はこちら

『シークレット・インベージョン』/敵は誰で味方は誰か…そしてあいつの顔をしたお前は誰だ?誰も信じてはいけない、スーパーヒーローなしのマーベルドラマ!
『タイラー・レイク -命の奪還-2』/ストーリーよりアクション重視ならこれしかない!クリス・ヘムズワースが配信アクションの限界を再びブッ壊す!

『ディヴォーション:マイ・ベスト・ウィングマン』/去年が『トップガン』なら今年はコレか!?フィクションが超えられない高みを目指して飛んで行け!
『別れる決心』/ロマンスはミステリー。パク・チャヌク監督が仕掛けたこの謎は、絶対に解いてはいけない。
『FUBAR/フーバー』/敵を欺くにはまず家族から。娘にタジタジのシュワちゃんが奮闘するアクションコメディ・ドラマシリーズ!
『AIR/エア』世界一有名なバスケシューズはこうやって生まれた!?弱小「ナイキ」が強豪ライバル会社に立ち向かう!

バックナンバー