MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『ザ・ボーイズ』シーズン3/あのやりたい放題のヒーロードラマが帰ってきた!過激さはとどまるところを知らず。

この映画は、つまり―
  • 最も残酷で最も笑えるブラックコメディ・スーパーヒーロードラマ!
  • 最高で最低のヒーロー、ホームランダーがさらに話をかき回す!
  • 逆に倫理的…かも?

記事を見る

◆配信中の注目作

『ザ・ボーイズ』シーズン3

Amazonプライムで視聴するこちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

Amazon Originalドラマ『ザ・ボーイズ』シーズン3の配信がスタートした。本作は、ジャンル的にはマーベルやDC作品と同じスーパーヒーローものと言って良い。だが、ヒーローが主人公で人助けをするという内容では全然なく、一見理想的に振る舞うも、その実中身は腐りきっている彼らに恨みを持つ一般人チーム「ザ・ボーイズ」によるリベンジものだ。つまり、ヒーローと呼ばれている者たちこそが本作におけるヴィランである。そして、何の力も持たないザ・ボーイズこそがヒーロー…とも言い切れない。

本作は普通のヒーローもののパロディだ。最も強力なヒーロー、ホームランダーは光り輝く笑顔と星条旗カラーのコスチュームがトレードマーク。(見た目は)マーベルのキャプテン・アメリカとDCのスーパーマンを合わせたような存在で、脅威に“目を光らせて”いる。文字通りの必殺技は「目からビーム」で、立ちはだかるものは何でも誰でも快刀乱…一刀両断する。何も知らない国民からは畏敬の眼差しを向けられているが、本来は畏怖…いや恐怖すべき相手だ。他にも、DC作品で言えばワンダーウーマンに似たクイーン・メイヴやフラッシュに似たAトレイン、アクアマンに似たディープなどが登場するが、皆多かれ少なかれ問題がある。

彼ら7人のヒーローチーム「セブン」は大企業ヴォート社によって管理されており、ヒーロービジネスの広告塔でもある。彼らがモデルのオモチャや遊園地もあり、本人役としてヒーロー映画にも出演している。過去、マーベルのアイアンマンがヒーロー活動の中で多大な巻き添え被害を出して苦悩したことがあったが、セブンの連中は被害を出しても平気だ。そのため、ザ・ボーイズのリーダーで妻を奪われたブッチャーや、彼女を喪ったヒューイはヒーローを殺すという“善行”のために動き始める。

完全に倫理観が普通と逆のヒーロードラマだ。実際、18禁のため、色々と子どもに見せてはいけないアレなシーンの目白押し。ヒーローものは今では、子どものためだけのものでなく、大人の鑑賞に耐えうると評価されてきているが、確かにオトナ向けである。特に本シーズンは1話目からアクセル全開で、ドラマのテイストに慣れているはずの観客を思い切り跳ね飛ばす。パワハラヒーロー、ホームランダーは全てを失って余計に壊れ、最も予測不可能な存在と化した。ヒューイの恋人で最も普通のヒーローらしいセブンの一員、スターライトはホームランダーの監視役となり、時限核爆弾にくっついた終末時計のチクタク音を真横で聞いている。

ストーリーも予測不可能な展開を見せる。良心の残っているクイーン・メイヴは、ブッチャーにホームランダーを倒すための秘薬を渡し、これまで頭を捻ってほとんど無敵のヒーローの殺害法を考えてきたザ・ボーイズに力業という選択肢が増えた。しかし、さらに問題を抱えた新ヒーローも登場。ホームランダーと違い、単に敵と勘違いして味方を汚い花火に変えてしまうクリムゾン・カウンテスや、死んだとされているソルジャー・ボーイの謎も、ザ・ボーイズに今後深く絡みついてきそうだ。

 

本作は現時点で3話まで配信されており、毎週金曜日に1話ずつ追加されていく予定。マーベル作品を追っている方には、1話の時点で嬉しいサプライズゲストも顔を見せ、DCファンにはクスッと笑えるザック・スナイダー監督ネタも。どこをとっても倫理観のカケラもないが、黒く塗りつぶされた影が逆に白きヒーローの姿を浮き上がらせている…と言えなくもない。シリーズ未見の方も、新シーズンを心待ちにしていた方も、これであるべきヒーロー像について改めて勉強しよう。

【ストーリー】
欲と名声にとりつかれたスーパーヒーローたち。非公式に「ザ・ボーイズ」と呼ばれるグループが腐敗したスーパーヒーローたちを倒そうとする。特殊能力を持たない彼らは根性と信念で悪しきヒーローに立ち向かう。

【キャスト】
カール・アーバン、ジャック・クエイド、アントニー・スター

【スタッフ】
監督:エリック・クリプキ 他
出演:カール・アーバン、ジャック・クエイド、アントニー・スター

バックナンバー