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『ヴィレッジ 声帯切村』 復讐するは我にあり。神様仏様サマラ様!

この映画は、つまり―
  • 村ホラーであって村ホラーにあらず
  • 咽び泣け!サマラ・ウィーヴィング信者よ!
  • まさに血の池、血の海地獄

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◆配信中の注目作

『ヴィレッジ 声帯切村』
配信先:U-NEXT

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ラーメンで有名なのは家系。ではホラーで有名なのは? そう、村系だ! 『○○村』というタイトルのホラーとしては、最近では実在する心霊スポットや2ちゃんねるのオカルト板スレッドを基にした清水崇監督の『犬鳴村』などの作品群が有名だろう。だが世界に目を向ければ、20年以上前にはすでにM・ナイト・シャマラン監督の『ヴィレッジ』やベルギーのホラー『変態村』も存在したし、さらに遡って日本に視点を戻すと『八つ墓村』という名作もある。もはや邦題にも原題にも「村」と付いていなくとも、例えば『ミッドサマー』のようなカルト宗教に支配された村のホラーは紛うことなき村系としてホラーファンに愛されている。そんな中、それら村ホラーの先達を黙らせようと殴り込みをかけてきた期待の新人がこの『ヴィレッジ 声帯切村』だ! ちなみに「声帯切村」は「コエキリムラ」と読む。B級ホラーによくある、何と言うかハイブリッドなタイトルに身がすくんだそこのあなた。はっきり言って、本作はよくあるB級ホラーでは全くない。

「声帯切村」の名のごとく、本作にはセリフが存在しないのだ。厳密に言うとあるにはあるが、ほとんどの観客にとって意味をなさないセリフであるし、量的にも全編の1%にも満たないだろう(ついでに文字すら出てこない)。登場キャラクターは一様に声帯を切られ、話せないようにされている。この理由は実にカルトなものであると同時に、ある意味正しく宗教的でもある。なぜなら冒頭、いきなり字幕で本作の舞台は「携挙(けいきょ)」という聞き慣れない出来事の後の世界と語られるからだ。携挙とはキリスト教において、世界の終末のタイミングで信者が天に迎え入れられることを指す。つまりはおそらく、本作では救われるべき人間はすでに天国に行けており、そこから外れた人間だけが穢れた世界に残っているのだ。深い森の中にあるカルト村では発話は罪とされ、村人の喉には十字架の形に似た傷跡が残っている。

とびきりクレイジーなカルト村だとドン引きすると同時に、理解できる部分もある。どうやらこの世はすでに生き地獄と化しており、森の中には血の臭いに引き寄せられてやってくる得体のしれないバケモノがいるのだ。人間の形はしているものの全身の皮膚が焼けただれて炭化したように見えるソレは、地獄の業火で焼かれた罪深き存在にも思える。カルト村にはソレに生贄を捧げる風習があり、それに選ばれたのが主人公のアズラエルだ(もちろん劇中で名が明かされることはない)。説明がなく、正しいストーリーを理解するのも難しい本作を退屈から救っているのが、このアズラエルを演じているホラー界の若き女王サマラ・ウィーヴィングである!

ご存じ『マトリックス』のエージェント・スミス役で知られるヒューゴ・ウィーヴィングの姪で、その大きな目は実に口ほどに物を言う。生贄にされかけ、ソレに追いかけられ、追ってきた村人に殺されかけ……と踏んだり蹴ったりな役どころで、声が出せないはずなのに確かにスクリームクイーンとして画面を支配している。そして、サマラと言えば前半の可哀想な立ち位置からブチギレして一転、後半はリベンジアクションと化す映画に多く降臨なさっているお方だ。本作も例に漏れず、死の天使と同じ名を持つアズラエルは慈悲深くも村人たちをこの地獄から本物の地獄に送っていく。さらに、本作のグロ描写はその辺のB級ホラーを遥かに凌駕しており、70~80年代の悪趣味映画を思い起こさせるような血の海に観客をどっぷり浸からせてくれる。もはやこれは洗礼だ。サマラ様の信者として生まれ変わったあなたが発する最初の言葉は何だろうか……、いや、おそらく何も発せないままだろう。

【ストーリー】
森の奥深く、外界から隔絶された“声を禁じられた村”。そこでは信仰の名のもと、住人の声帯を切り裂き、生贄を捧げるという凄惨な“掟”が支配していた。生贄の対象に選ばれた少女・アズラエルは逃亡を図るが、住人たちの執拗な追跡と森の奥で蠢く“何か”が彼女の行く手を阻む。果たしてアズラエルは沈黙が支配する村から脱出できるのか。そして、“掟”に隠された真の目的とは――。

【キャスト】
サマラ・ウィーヴィング、ヴィク・カルメン・ソンネ、ネイサン・スチュワート=ジャレット、エーロ・ミロノフ 他

【スタッフ】
監督:E・L・カッツ

 

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