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『search/#サーチ2』ウソはウソと見抜ける人でないとネットを使うのは難しい。前作よりさらに進化した傑作PC画面スリラー！

この映画は、つまり―
  • PC画面で見るべき映画もある！
  • あらゆる点が前作『search/サーチ』と反転、さらに進化した続編！
  • 作品自体がネットの便利さと恐ろしさを体現している

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◆配信中の注目作

『search/#サーチ2』

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文：屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

「映画は大スクリーンで見るもの」という価値観は、今や古くなったと言わざるを得ない。Netflixなど各種サブスクリプションサービスの充実が影響として大きいが、ひとつの理由としてあるのは、少しずつだが確実に、PC画面で見た方がより内容にのめりこめる作品が特にホラー・スリラーの領域で増えてきたことだ。2015年にはSkypeホラー『アンフレンデッド』、2020年にはZOOMホラー『ズーム/見えない参加者』が作られ、全編がPC画面上でしか展開しない映画であるにもかかわらず、観客は凄まじい画面の情報量と緊張感に翻弄されるレアな映画体験を味わった。配信サービス嫌いでインターネット嫌いのクリストファー・ノーラン監督はカンカンに怒っているだろうが、これも映画の新たな一面と受け入れたい。

PC画面スリラー・ミステリーとしては、やはり2018年の『search/サーチ』は外せない。父親がインターネットなどを駆使して失踪した娘をサーチ(検索、捜索)するという内容で、ほとんど父親が操作するPC画面を見るだけの映画ながら、二転三転するストーリーと伏線回収の妙が光る傑作になっていた。そして、そのテイストを保ったまま作られた続編が本作『search/#サーチ2』だ。続編と言っても登場人物は一新されているので、本作から見ても全く問題はない(前作の事件がNetflixで実録ドラマ化されているという小ネタはある)。だが、前作を見ていると様々な面白い点に気づける。

まず、監督は前作のアニーシュ・チャガンティ(『RUN/ラン』)から、前作で編集を務めていたウィル・メリック&ニック・ジョンソンのコンビに代わった。本作の編集者はまた別の人だが、前作よりも編集のキレが増している。前作では主人公が大人で、じわじわと不安を煽る演出だったのでPC操作はゆっくり行われていた。本作では逆に、娘のジューンがコロンビア旅行中に失踪した母親をサーチするというストーリーであるため、全体的に若者のテンポなのだ。次々にアプリやタブが開かれスピーディーに移り変わる画面に、最初は置いていかれるような感覚があるかもしれない。しかし慣れてしまえば、“ネットあるある”ネタなど前作に足りなかったユーモアを交えながらサクサク、しかしやはり読めない方向に進んでいく本作の方が気に入る方も多いのではないだろうか。

特に面白いのは、現地コロンビアで動いてくれるギグワーカーのハビエルとジューンの関係だ。時給が格安なのに意外に有能で気の良いハビエルは物語に緩急をもたらしてくれるし、ハビエルを酷使(時給8ドルで失踪した他人の家族探しをさせられるとは…)することで減っていくジューンのなけなしの小遣いはタイムリミット的に機能する。要素が非常にスマートに絡み合い理解しやすく作られている反面、画面の端に映るものまでが伏線にも思え、目を凝らさなければならない。ネットの世界ではリアルの付き合いだけでは分からない一面が見えるが、同時にそれすら真実とは限らないのだ…相手が家族でさえも。真偽を見極めるネットリテラシーの部分が完全に作品性とマッチしているのが本シリーズの魅力だ。

また、スリラーでありつつ決して後味が悪くないのも、このシリーズの美点。いつもと違った映画体験と裏切らない面白さを求めている方は、本作の原題が前作の「サーチ」と逆に「ミッシング(行方不明)」になっているのはなぜなのかを考えながら鑑賞すると良いだろう。もちろん、PCで。

【ストーリー】
ロサンゼルスから遠く離れた場所で行方不明になった母を捜す＜デジタルネイティブ世代＞の高校生ジューン。検索サイト、代行サービス、SNS…使い慣れたサイトやアプリを駆使し、捜索を試みる。スマホの位置情報、監視カメラ、銀行の出入金記録など、人々の行動・生活がデジタルで記録される時代、母は簡単に見つかるはずだった──不可解な事件はSNSで拡散され、国境を越えて大きなトレンドになっていく。BUZZに翻弄される中、真相に迫ろうともがくジューン。そこは“秘密”と“嘘”にまみれた深い深い闇への入り口だった──。

【キャスト】
ストーム・リード、ニア・ロング、ヨアキム・デ・アルメイダ、ケン・レオン、ダニエル・ヘニー　他

【スタッフ】
監督：ウィル・メリック&ニック・ジョンソン
脚本：ウィル・メリック&ニック・ジョンソン
原案：セヴ・オハニアン、アニーシュ・チャガンティ
製作：セヴ・オハニアン、アニーシュ・チャガンティ、ナタリー・カサビアン

 

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屋我平一朗

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