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『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』過去に固執するな。囚われれば、引きずり込まれる。

この映画は、つまり―
  • “霊”こそ新時代のドラッグ
  • 有名YouTuber監督によるスタイリッシュな映像と編集
  • 真に話すべきは死者とではなく……

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◆配信中の注目作

『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

降霊(交霊)術は、ホラー映画の中でもかなりオーソドックスなモチーフと言えるだろう。ホラーと言えば幽霊、というのもあるが、降霊術自体が19世紀から現代に至るまで多くの人間に親しまれてきた、もはやお馴染みのものだからだ。特に、ウィジャボードやコックリさんの名を知らない者はいないだろう。ホラー映画としては、古い例では『雨の午後の降霊祭』(1964)などがある。その後も、降霊術ホラーはいくつも作られ続けてきた。

そして、その古き良き降霊術を“最新の要素”とかけ合わせ新たに蘇らせたのが本作『TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー』である。“最新の要素”とは? そう、「現代の若者」だ! 普通のホラーだと降霊術は恐怖の対象になるはずが、本作の劇中ではティーンエイジャーたちは時にビビりながらも喜々として行っている。スリル満点のライドと言ったところだ。ルールは簡単。キャンドルに火を付けた後、切断されセラミック加工された霊媒師の手と噂されているソレを握り、「話したまえ(Talk to me)」と唱えるとランダムで霊が現れる。そして「入るを許す」と続ければ、その霊を自分に憑依させることができるのだ。その間は体の支配権を乗っ取られる代わりに、行った者にしか分からない気持ち良さがあるらしい。ただし、90秒以内に火を消し憑依を解かなければ霊がコチラ側に残り、その状態で死んでしまえば体は霊のものに……。

トリッキーな設定のように聞こえるが、降霊をドラッグなどに置き換えればティーンエイジャー映画で見慣れたシチュエーションになる。主人公のミア(ミー)は母を亡くしたトラウマから立ち直れず、父親とギクシャクして友人ジェイドの家に入り浸っているという淋しいキャラクターだ。同級生たちとも上手く馴染めず、そのために“降霊パーティー”で真っ先に憑依を志願し、皆から認められようとする。ジェイドの弟ライリーも、友人からタバコを勧められるというシーンがある。「危険な体験を共有してこそオトナ」という、子どもらしい暗黙の了解が彼らの頭を支配しているのだ。結果、ミアは自らの立ち位置の確保に成功するが、それが事態を最悪の方向に導いていく……。

『ヘレディタリー 継承』や『ババドック 暗闇の魔物』など、最近の傑作ホラーはホラーと同時に家族ドラマでもある場合が少なくない。本作もまた、アイディア一発ものでは決してない。降霊術、言わば“霊ガチャ”でミアの母らしきモノが現れてからミアは自制心を失っていく。やはりあくまで家族ドラマを土台にしたホラーなのだ。上記の作品と違うのは、ダウナー系でなくアッパー系であること。監督のダニー&マイケル・フィリッポウは「RackaRacka(ラッカラッカ)」というチャンネルで知られる双子のYouTuber(『ハリー・ポッター』と『スター・ウォーズ』のキャラクターがバトルするパロディ動画をご存じかもしれない)。映像はスタイリッシュで、一瞬で90°傾くカメラワークやオシャレなMVにしか見えない降霊シーンなど、映像的な快感をきちんと味わわせてくれる。

若者のノリのような軽さを備えつつ、ずっしりと重い(中盤の展開は『ヘレディタリー』を思い出させる)。ホラーに慣れていない方が見るとショックが強い描写もあるが、家族ドラマホラーはむしろそういった方にこそ見てほしい。あまり共感しやすい人物とは言えないだろうミアを救う方法はあるのだろうか? そのヒントは、すでにタイトルに込められていたのかもしれない。

【ストーリー】
母を亡くした高校生のミアは、気晴らしに仲間とSNSで話題の「#90秒憑依チャレンジ」に参加してみる。ミアたちはそのスリルと強烈な快感にのめり込み、チャレンジを繰り返していくが、仲間の1人にミアの母の霊が憑依し——。

【キャスト】
ソフィー・ワイルド、アレクサンドラ・ジェンセン、ジョー・バード、オーティス・ダンジ、ミランダ・オットー 他

【スタッフ】
監督:ダニー・フィリッポウ&マイケル・フィリッポウ

公式サイト:https://gaga.ne.jp/talktome/

 

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