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『愛してるって言っておくね』/アメリカ銃乱射事件の被害者家族を描いた12分間の短編アニメーション

この映画は、つまり―
  • 校内銃乱射事件の被害者家族を描いた、愛と悲しみの12分間。
  • すぐそばに「銃」があるアメリカ社会の現実
  • タイトルに込められた意味にきっとあなたも涙する

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◆配信中の注目作 

『愛してるって言っておくね』(2021)


Netflixで観る!⇒ こちら

もしも朝元気に家を出た家族が二度と帰ってこなかったら。それが誰かの手によって引き起こされた別れだったら。今作はアメリカで実際に起きた銃乱射事件によって大切な子供を奪われた夫婦の悲しみを描いたアニメーション作品で、第93回アカデミー賞短編アニメ映画賞を受賞したNetflixオリジナル作品である。

本編はたったの12分でセリフもほとんど無い上に全体的にモノトーンで描かれている。またこの作品の大きな特徴は、言葉の代わりに影によって夫婦の心の内を表現しているところだ。作品の中で娘が生まれた日からこれまでの家族の歩みが描かれるが、この先に何が起こるかわかっている上で二人の心=影とともにその日々を振り返るというのは辛く、娘を必死に止めようとする影の姿には涙が止まらない。

色彩少なく描かれている本作だが、娘の面影や三人の思い出などは鮮やかな色で描かれている。その中で一つ異彩を放っているのが、事件が起きた場面で校内に掲げられている星条旗だ。まるでこの事件はアメリカという国が引き起こした悲劇だと言わんばかりに観る者の脳裏に強く焼き付くだろう。

憲法で国民の銃の保有が保障されているアメリカでは常に銃という危険物と隣り合わせで生活せざるを得ず、その中で自分の身を守るためには結局銃を保持するしかないという負のスパイラルが続いているのである。銃刀法で守られている日本人にとっては信じがたいような現実がそこにはあるということをこの作品は私たちに教えてくれる。

“If anything happens I love you” は直訳すると「何が起きても私はあなたを愛している。」となる。事件に巻き込まれて命の危険を感じた時にとっさに送ったのか、もしくは撃たれてしまったあとに遠のく意識の中必死の思いで打ったのか。娘が家族への愛情と願いを込めたこのメッセージを「愛してるって言っておくね」と訳したタイトルに作品の全てが詰まっている。

【あらすじ】
学校で銃乱射事件が発生し、突然の悲劇で我が子を失った悲しみと虚無感にさいなまれる両親の心のうつろいを描く。第93回アカデミー賞短編アニメ映画賞受賞。

【スタッフ】
監督・脚本:ウィル・マコーマック、マイケル・ゴヴィエ
製作会社:ギルバート・フィルムズ、オー・グッド・プロダクションズ
配給:Netflix

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