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『AIR/エア』世界一有名なバスケシューズはこうやって生まれた！？弱小「ナイキ」が強豪ライバル会社に立ち向かう！

この映画は、つまり―
  • あの「エア・ジョーダン」誕生秘話を描く！
  • 弱小「ナイキ」が強豪「コンバース」「アディダス」を打ち負かす！
  • 信じる者は救われる！

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◆配信中の注目作

『AIR/エア』

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文：屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

最近は、劇場公開からあまり間を置かずに配信される映画も少なくない。公開と同時に配信開始の場合を除けば、本作『AIR/エア』の配信タイミングは群を抜いて早い。元々Amazonスタジオ配給だったので、何と公開から1か月も経たないうちにAmazon Prime Videoで見れるようになったのだ。スクリーンでの鑑賞に間に合わなかった方には嬉しいニュースだろう。

『AIR/エア』というタイトルが指しているのは、世界一有名と言っても過言ではないバスケットシューズ、「エア・ジョーダン」のことだ。黒人のレジェンドであるマイケル・ジャクソン、マイケル・ジョンソン、マジック・ジョンソンらと同じMJのイニシャルを持つマイケル・ジョーダンのシグネチャーモデルで、ナイキが1984年に売り出した。いくらバスケに疎い人でも知っているマイケル・ジョーダンをフィーチャーしたシューズを作るのは当然だろうと思われるかもしれないが、当時ジョーダンはまだスターではなかった。NBAの試合にすら出ていない、ルーキーもルーキーだったのだ！

本作の主人公はジョーダンではなく、ジョーダンと契約するべく奮闘したナイキ社員のソニー・ヴァッカロ。彼は、まだ何者でもないジョーダンに何かを見出した。ギャンブル好きで、映画冒頭からラスベガスでひとつの番号にオールインし大金をスッている彼はどう見ても危なっかしい。当時のバスケシューズのシェアはConverseが54%、Adidasが29%、…そしてナイキはわずか17%。この状況を一発逆転すべく、ヴァッカロは自分の確信に従ってジョーダンにオールイン、勝手にナイキの社運まで賭け始める。映画を見ても、観客はヴァッカロがどうしてそこまでジョーダンに入れ込むのかあまり理解できないだろうが、とにかく彼はジョーダンの試合ビデオから“啓示”を受け、“バスケの神様”を拝むことにした。

しかし、当のジョーダンはナイキに興味がなく、Adidasが第一希望、第二希望もナイキではなくConverseだった。そこでヴァッカロは直談判するべく、ジョーダンをマネジメントしている母親のデロリスに会いに行く。このデロリスが中々の強者で、かなりの大金を積んでも簡単には動かない。一過性の名声には興味がないのだ。果たして、市場も支配できていないナイキはバスケ史上最大の契約をものにし、未来を支配できるのか？　…その未来に生きる我々はその答えを知っている。ヴァッカロは、持ち前のバスケへの情熱と分析力、そして“バスケの神様”への信心深さによって、女神ニケが司る「勝利」を手に入れた。まさに、弱小チームが強豪を倒すような世紀の番狂わせとなったのだ。

ヴァッカロ役のマット・デイモンとデロリス役のヴィオラ・デイヴィスの勝ち目のなさそうな交渉シーンはスリリングだし、デイモンと実際に親友のベン・アフレックが演じるナイキのCEOフィル・ナイトとヴァッカロの信頼関係も気持ち良い。本作のタイトルが『AIR』であることから明らかなように、一番のスターであるはずのジョーダン自身は出てこないが、誰もがジョーダンの話題を口にし、その存在感が空気のようにそこら中に漂っている。当時の雰囲気に浸りながら、ナイキ、ジョーダン他多くのアスリートの未来まで変えたこの“大試合”を見ていると、スポーツに興味がない人さえ手に汗握って応援したくなるはずだ。

【ストーリー】
当時まだ世間に知られていなかったマイケル・ジョーダンと、後に“エア ジョーダン”で世界のスポーツと文化に革命を起こすナイキのバスケ部門との、革新的なパートナーシップの誕生秘話が描かれる。

【キャスト】
マット・デイモン、ベン・アフレック、ジェイソン・ベイトマン、クリス・メッシーナ、マーロン・ウェイアンズ、クリス・タッカー、ヴィオラ・デイヴィス　他

【スタッフ】
監督：ベン・アフレック
脚本：アレックス・コンベリー
製作：ピーター・グーバー、ジェイソン・マイケル・バーマン、デビッド・エリソン、ジェフ・ロビノフ、マディソン・エインリー、マット・デイモン、ベン・アフレック

 

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屋我平一朗

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