MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

【配信エンタ】『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』決して腐らない“リンゴ”が、周りの人々を腐らせていく。

この映画は、つまり―
  • ミイラ✕『死霊のはらわた』✕『エクソシスト』!?
  • 子どもにも容赦ない残酷ホラー
  • これなら、娘は死んでいた方が良かった?

記事を見る

◆配信中の注目作

『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』
配信先:AmazonプライムU-NEXT

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

古代エジプトでミイラが作られていたのは、紀元前3000年ごろと言われている。つまり、今から5000年以上も前。そのような昔からエンバーミングの技術があったというのは、素直に驚くべきことだ。現世で死した後、来世で復活すると考えていた古代エジプト人たちは、魂の容れ物として肉体を保存しようとした。水分が残っていると腐敗が進むため、血液を抜き、内臓はそれぞれ分けられてカノプス壺という特別な容器に入れられた。ただし、心臓は魂の在り処とされていたため、体内に残された。代わりに、脳は鼻の穴からフックを入れて掻き出して捨てられた。先にぐちゃぐちゃにかき混ぜて、液状化させてから捨てたという説もあるが、とにかく様々な意味で凄まじい技術だ。

100年近く前のユニバーサル映画『ミイラ再生』において題材とされたこのミイラは、今や世界的に知られる存在となり、数多くのミイラ映画が生まれては葬られていった。アクション・コメディとして作られた『ハムナプトラ』シリーズは、約20年ぶりに4作目となる新作が作られる予定で復活が約束されているが、ユニバース化を目指したトム・クルーズ主演の『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』は残念ながらすぐに腐敗してなくなってしまった。本作『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』の方は、『ハムナプトラ』とも『ザ・マミー』とも異なる純粋なホラー映画になっており、本国では『リー・クローニンのTHE MUMMY』というタイトルで公開された。監督であるこのリー・クローニンという人物が厄介で、本作は非常に凶悪な描写に溢れている。古代エジプトで、ミイラは復活を可能にする「死者の書」とともに埋葬された。本作には登場しないが、「死者の書」と聞いてホラー映画好きが思い出すのは『死霊のはらわた』。奇しくも、クローニンはこの前に『死霊のはらわた ライジング』を撮ったその人だ。

本作のミイラは、全くの他人ではなく、“我が子”として登場する。正確に言えば、エジプトに住む家族の幼い娘が誘拐され、8年後に見つかるのだが何とそれが棺の中からであり、ミイラのように干からび、かつての愛らしさを完全に失った痛々しい姿でなのだ。しかも、誘拐者の所業によるトラウマのためか自傷行為が絶えず、明らかに常軌を逸した言動を繰り返す。娘が生きていた喜びを塗り潰すほど、ソレは気味が悪くて直視に耐えない。これならば、再会できない方がマシだったと思えるほどに辛い。両親はどうにか現実を受け入れようと奮闘するが、無慈悲にソレが家族を腐らせていく……。

幽霊をきちんと人間らしからぬモノに見せるためのテクニックとして、はっきり見えないほど遠くに映すやり方があるが、本作のアプローチは正反対だ。とにかくクロースアップが多く、見たくないものを腐臭が漂ってくるほど目の前に映し、嫌でも直視させようとする。顔をしかめすぎて、鑑賞後には観客の顔面もミイラのように深い皺が刻まれていそうだ。最近のホラーの流行りとも言える“地獄の家族ドラマ”好きには一見の価値があるだろう。『ペット・セメタリー』や『エクソシスト』、そしてやはり『死霊のはらわた』を彷彿とさせるところがあり、ミイラはあくまで要素としてフィーチャーされている印象だが、各ショックシーンの見応えは非常にある。脳はぐちゃぐちゃにして捨ててしまおう。代わりに、ハートで鑑賞するのだ。

【ストーリー】
あるジャーナリストの幼い娘が、砂漠で跡形もなく失踪した。――8年後。引き裂かれた家族のもとに突然、少女が戻る。その再会は喜びではなく衝撃だった。やがて、それは生きた悪夢へと変わっていく。

【キャスト】
ジャック・レイナー、ライア・コスタ、メイ・キャラマウィ 他

【スタッフ】
監督・脚本:リー・クローニン

 

★配信エンタの過去記事はこちら

『ザ・コンサルタント2』人間は決して一面的なものじゃない。そして、それは映画も同じ。

『コンパニオン』運命を、“愛”を超えろ。真の“わたし(I)”になるために。

『室町無頼』これは時代劇の皮をかぶったアウトローたちの生存劇だ!

『ザ・ヒューマンズ』たわいもない家族の団欒。“他愛”もない人間たちの寄せ集め。

「止まったら爆発」から50年——再起動するスリルとリアル『新幹線大爆破』Netflix版の真価

 
バックナンバー