『M3GAN ミーガン 2.0』公開中止ながらも内容は“アップグレード”。世界中を恐怖させたあのAI人形が、今度は笑いと感動を届ける!?

2025.10.25

この映画は、つまり―

公開中止の理由は決して「面白くないから」じゃない！
AIホラーがAIアクション・コメディ・スリラーへ
“ミーガンウィルス”は世界中のPCへ、そして……

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◆配信中の注目作

『M3GAN ミーガン 2.0』
配信先：Amazonプライム

『M3GAN/ミーガン2.0』の劇場公開中止のニュースが、日本の多くのホラーファンを悲しませて(未確認)から早数か月。本作はAmazon Prime Videoで配信される運びとなった。お手玉よりも遥かに進化した新時代のおもちゃとして開発されたAI人形ミーガンが、大人を手玉に取り社会(会社)を恐怖に陥れたのが前作だった。しかし、本作は続編とは言え全くジャンルが変わっており、もはやホラーではなくなってしまった。前作の世界的ヒットに反して本作がアメリカ本国でコケてしまった理由がそこにあり、日本での公開中止もその興行不振が原因と巷では言われている。確かに、もっともらしい。だが実際見てみると、ホラーファンである筆者にもこれがなぜウケなかったのかが分からない。めちゃくちゃ面白いからだ！

前作で、両親を失った少女ケイディを守るべく、おばのジェマによってミーガンは生み出された。ところが手段を選ばず、やがて存在理由すら忘れたミーガンは、他でもないケイディとジェマによって破壊された。しかし2年後、何者かがミーガンの技術を応用した新たな軍事用ロボット・アメリアを作り、その上アメリアは米軍のコントロールを離れて勝手に動き出すようになってしまった。関係者としてFBIに疑われたジェマはアメリアを止めようとするが、そこに思いもよらない協力者が現れる。何とそれはミーガンで、彼女は身体を失うもちゃっかり自分のデータのバックアップは残していたのだ。今度こそミーガンはケイディを、ついでに世界を守るべく再起動する――！　……子ども用ロボットMoxieの身体で！

一言で言えば、本作は“T2”。チップではない。『ターミネーター』に対する『ターミネーター2』だ。つまりは、昨日の敵は今日の友。あれだけ手を焼かされたミーガンがこちら側につくという、よくあるパターンながらもアツい展開なのだ。個人的には、前作は良かったが優等生的な印象が拭えず、予想を超える面白さではなかった。ところが本作は、前作よりも不謹慎コミカルなシーンや、ミーガンのハッキング能力を駆使したアクションシーンが増え、予想以上にエンタメに振り切った楽しさに満ちている(残酷描写はほとんど直接映らない)。

監督はジェラルド・ジョンストンで同じだが、優等生がサブカル大好きナードの正体を表したような感じだ。ミーガンの外見については、表情豊かなMoxieのおかげで、元から少し(不気味で)生意気でキュートな彼女にカートゥーン的なポップさまで備わってしまった。キャラとして立ちすぎている。最強だ！　最後に彼女の手が溶鉱炉に焼かれないと良いのだが……。

本作はまさに、前作から“アップグレード”されているのだ(おっと、プロデューサーであるジェームズ・ワンの盟友リー・ワネルが監督した同じタイトルの映画があった)。これまでのテーマだったミーガンとケイディの心のやり取りについても忘れられてはおらず、ミーガンはAIとして一歩大人になる(背も伸びる！)。このような忘れられないホラーアイコンを生み出した本シリーズには『SOULM8TE(ソウルメイト、原題)』なるスピンオフ作品も控えており、今後はより大きな世界が広がっていくのかもしれない。今回の興行的失敗がその悪影響にならないことを祈りつつ、世界中のPCにミーガンが入り込んでいるこの状況を喜ぶとしよう。そして、そのうち彼女はあなたの頭の中にまでも……。

【ストーリー】
驚異の人工知能を持つミーガン（M3GAN）が、暴走して人を殺し（そして、完璧なダンスで）大暴れした後に破壊されてから２年。ミーガンの開発者であるジェマは著名な作家となり、政府によるＡＩの監視を求める活動を行っていた。一方、ジェマの姪であるケイディは14歳になり、過保護なジェマに反抗するティーンエイジャーに。

【キャスト】
アリソン・ウィリアムズ、ヴァイオレット・マッグロウ、ブライアン・ジョーダン・アルバレス、ジェン・ヴァン・エップス、エイミー・ドナルド、ジェナ・デイヴィス、イヴァンナ・ザクノ、アリストテレス・アタリ、ティム・シャープ、ジェマイン・クレメント　他

【スタッフ】
監督：ジェラルド・ジョンストン
脚本：ジェラルド・ジョンストン、アケラ・クーパー
製作：ジェイソン・ブラム、ジェームズ・ワン、アリソン・ウィリアムズ

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