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【配信エンタ】『ゼイ・ウィル・キル・ユー』下半身とオサラバしたくなければ、死のリンボーダンスを踊れ!

この映画は、つまり―
  • 新人メイドVSマンション中のサタニスト!
  • 一撃もらえば大怪我or即死のハラハラバイオレンス! しかも相手は不死身!
  • 抑えられない『死霊のはらわた』イズム

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◆配信中の注目作

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』
配信先:U-NEXT

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

罪深い。何と罪深い映画なんだ! 本作を作った者たちも、見て楽しむ者たちも、きっと地獄へ落ちるに違いない。だがそれがどうした。こちとらこんな映画を見たくて映画ファンやってんだ! 本作『ゼイ・ウィル・キル・ユー』は思わずそう叫びたくなるような作品だ。俗悪で凶悪、極悪で生理的嫌悪感に満ち、雰囲気は常に険悪。しかし邪悪には憎悪を向け、害悪には懲悪も辞さない気概に溢れている。いや、危害の間違いか? とにかく、何も後ろめたさのない清いエンタメを期待している方はここで回れ右だ。この門をくぐるなら、そんな希望は一切捨てていただこう。ちゃんと絶望にまみれている? 本当に? ならば通って良し。

「主人公ひとりVS建物中の敵」という構図は、アクション映画の醍醐味だ。インドネシアの格闘術プンチャック・シラットを駆使した『ザ・レイド』に、名家に嫁いだ新婦が生死を賭けたかくれんぼという名の洗礼を受ける『レディ・オア・ノット』など血が滾る作品が何本もあり、その変奏曲は聴き飽きることがない。本作もまさにそのタイプのバイオレンス・アクションであり、ゲーム的で爽快、痛快……そして本当に不快である(すごく褒めている)。さて、今回のゲーム(獲物)は、何とメイドさんだ!

ある夜、招かれざる客……否、メイドが歴史ある高級マンション「バージル」を訪れる。……否、実はメイドはマンションの住人によって招かれていた。そこは『ローズマリーの赤ちゃん』よろしくサタニストの巣窟であり、彼らはメイドを月に一度の生贄とするため手ぐすね引いて待っていたのだ。ところが……またも否、メイドは仕事のために来たのではなかった! サタニストどもがナイフに角材と各々の得物を手にニヤニヤ笑う中、メイドは握った斧に火を付ける。間違った相手を獲物にしてしまったことを今更「オー、ノー!」なんて懊悩していられない。かくして、血みどろの戦いの火蓋が切られたのだった!

本作では誇張でなく、スプリンクラーの代わりに燃え盛る火を消せそうなほど血が吹き出すし、手足も頭も吹き飛ぶ。ただし、相手は悪魔の加護を受けたサタニスト、その程度で死ぬはずがない。身体の一部が切断されても、ソレは健気に生きている。まるでスラップスティックコメディだ。『死霊のはらわた』が好きな方にはどストライクだろう。ついでに、ワイヤーアクションのごとく演者も吹き飛ぶ。豪快で愉快な映像的快楽に満ちているが、メイドにしては強いがただの人間である主人公にも容赦なく死の鎌が襲ってくる。避け損なえば、たちまち上下に分身だ。マンション名「バージル」は、地獄を描いたダンテ・アリギエーリの『神曲』にも登場する古代ローマの詩人ウェルギリウスの英語名。つまり、この「バージル」は『神曲』のそれと似た階層化された地獄になっている。回避をしくじると即死の攻撃など、まだまだこの地獄の入口である“辺獄(リンボ)”に過ぎない。

メイド役のザジー・ビーツは『デッドプール2』で、ご都合主義を擬人化したような超運の良い斬新過ぎるヒーロー、ドミノを演じた。本作でも事態はドミノ倒しのようにどんどんお下劣にエスカレートしていき、メイドはさらにアングリー、我々のお口もあんぐり、顎は地面に着きそうな勢いだ。ちなみにサタニストのひとりで、『ハリー・ポッター』シリーズのドラコ・マルフォイ役で知られるトム・フェルトンが出演している。またフェルトンは、マルフォイと違い本当は非常に良い人としても知られている。スリザリンに-666点!

ローズマリーの花言葉のひとつは、「あなたは私を蘇らせる」だ。ローズマリーを原料とした世界最古の香水とも言われる「ハンガリー水」には、若返りの効能があるとされる。時の王妃エルジェーベトが使用して若返ったという、歴史……伝説が残っているが、本作の場合は同じエルジェーベトでもバートリ・エルジェーベトの方だろう。処刑器具アイアン・メイデンで生娘の血を集め、その血の浴槽に浸かり若返ろうと目論んだ。それにならい、我々もサタニストの血で活き活きさせてもらうとしよう。ローズマリーの「あなたは私を蘇らせる」には、その香りで記憶を呼び覚ますという意味もある。さあ、この血なまぐさい甘美な思い出を冥土の土産に持って行きな!

【ストーリー】
ようこそ、ここは悪魔崇拝者が住む高級マンション。今宵も一人のメイドが、悪魔の生け贄に捧げられる……はずだった。しかし、今夜の生け贄は、何かがおかしい……。

【キャスト】
ザジー・ビーツ、パトリシア・アークエット、トム・フェルトン、ヘザー・グラハム 他

【スタッフ】
監督:キリル・ソコロフ

 

★配信エンタの過去記事はこちら

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『コンパニオン』運命を、“愛”を超えろ。真の“わたし(I)”になるために。

『室町無頼』これは時代劇の皮をかぶったアウトローたちの生存劇だ!

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