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『HELP/復讐島』その島は、憎しみと権力渦巻くふたりの愛の地(ランド)と化した。

この映画は、つまり―
  • 久々すぎるサム・ライミのホラーコメディ!
  • 無人島で突然始まる愛と憎しみの駆け引き
  • “イケてる女子”のレイチェル・マクアダムスがまさかの芋女化……からの“死霊化”!?

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◆配信中の注目作

『HELP/復讐島』
配信先:ディズニープラスAmazonプライム

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

世界でふたりきり。これほどロマンティックなシチュエーションがあるだろうか。ましてや、そこが本当に無人島なら? 無人島にはその名に反して、むしろだからこそなのか、人と人を結びつける力がある。煌めく『青い珊瑚礁』に囲まれた孤島に『流されて…』、男女ふたりきり。ふたりにとってそこがエデンの園のように感じられるのかどうかはさておいて、生き残るために必死で協力し合えばどうしたって距離は縮まるだろう。時には、結びつける力が強すぎて人が壊れてしまう場合すらある。例えば第二次世界大戦末期から戦後にかけて、32人の男と1人の女が孤島アナタハンに取り残された実際の事件があった。33人は6年間も共同生活を行ったが……、いや、それは正確ではない。6年の間に男たちは“女王”を取り合い、その数を減らしていったのだから。

そう、ロマンティックとグロテスクの国境線上に浮かんでいるのが無人島なのだ。知り合いと見ず知らずの他人であれば、ふたりきりになるのはどちらが望ましいものか。普通に考えれば知り合いの方が良いだろう。しかし、それが毎日自分をいじめてくるパワハラ上司だったなら? 本作『HELP/復讐島』は、『死霊のはらわた』に代表されるホラーコメディの巨匠サム・ライミの最新作だ。彼が2022年に約10年のブランクを打ち破って『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』で鮮烈にカムバックしたのが記憶に新しいが、『HELP』は純粋なホラーコメディとしては『スペル』以来17年ぶりの作品となる。それでも全く腕が錆びついていないのが恐るべきところだ。まあ、『マルチバース・オブ・マッドネス』の時点で、マーベル映画でありながらサム・ライミ映画でもあるという離れ業をやってのけてはいたのだが。

能力は確かなものがありながら、空気の読めない言動で周りからプカプカ浮いている中年会社員リンダ。彼女は取り付く島もない二代目社長ブラッドリーから、確実と思われていた昇進を撤回されバカにされ、精神的に参っていた。ある日出張のつもりが飛行機事故に遭い、ブラッドリーとともに無人島に漂着する。あんな奴とふたりきりなんて地獄……になるかと思われたが、ブラッドリーの足はケガで動かせない。さらに、非常に都合が良いことにサバイバルが趣味だったリンダはここでも有能さを発揮し、それでも高圧的な態度を崩さないブラッドリーを甲斐甲斐しく世話する中で、自分が彼の生殺与奪の権を握っていることに気づく……。

ほとんどリンダ役のレイチェル・マクアダムスとブラッドリー役のディラン・オブライエンのふたり芝居で進むのに全く飽きさせないストーリーだし、魅力的な女性の役を多く演じてきたマクアダムスがここまで“イケてない”役にキャスティングされているのも衝撃的だ。しかしリンダはサバイバルの中でたくましく垢抜けていく。反対に、注目の的だったブラッドリーはやることなすこと上手くいかず、情けない姿を晒し屈服していく。……それだけなら話はシンプルなのだが、リンダの想像の斜め上を行くブラッドリーの強すぎるプライドのせいで、ふたりの戦いはパワーゲーム、いや、シーソーゲームと化す。ときめく瞬間があったかと思えば突如スプラッターな瞬間がやって来て、深いところで心が通じ合ったかと思えばすぐにすれ違う。挙句の果てにはマクアダムスの“死霊顔”まで堪能できて……、なるほど、絶海の孤島にこそこの世の全てがあったのだ。もう帰りたくない!

【ストーリー】
コンサル会社の戦略チームで働くリンダは、誰よりも数字に強く有能。しかし、パワハラ気質の新上司ブラッドリーに目をつけられてしまう。そんなある日、出張中の飛行機事故によって、無人島で二人きりに…。上司と部下、二人の立場が次々と逆転する先に待ち受ける、想像を超える《大どんでん返し》とは?

【キャスト】
レイチェル・マクアダムス、ディラン・オブライエン、デニス・ヘイスバート 他

【スタッフ】
監督:サム・ライミ

 

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