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【今週公開の注目作】『KEEPER/キーパー』 私の目の黒いうちは、決してお前を逃さない。

◆今週公開の注目作

『KEEPER/キーパー』
5月29日(金)より、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

昨年、ニコラス・ケイジの怪演が衝撃的だった『ロングレッグス』と怪死カタログホラー『THE MONKEY/ザ・モンキー』で、ホラーマニア以外にも認知度を爆発的に上げたであろうオズグッド・パーキンス監督。本作『KEEPER/キーパー』を含め、これまでに監督した6本全てがどれも個性的なホラーでありながら実は全て日本で見られる状況にある彼だが、最新作がもっとも奇怪な作品となっていた。ネタバレをしようにも、特に『THE MONKEY』が分かりやすすぎる作風だった反動なのか、本作は一体全体何の話だったのかさえおぼつかない。

一応、表面的には分かりやすそうなホラーに映る。山荘が舞台という定番の設定であるし、登場人物はほぼ男女カップルのふたりのみだ。主人公のリズは、関係の不安を抱きながら医師のマルコムと付き合っている。そして交際1年の記念にカップルで素敵な山荘を訪れるのだが、そこでいくつもの不可解な出来事に遭遇する。姿を決して見せず、チョコレートケーキだけを置いていく管理人(キーパー)。リズを襲う謎の悪夢や幻覚。もしかして自分はマルコムに愛人として“キープ”されているのではないかと疑心暗鬼になり、何もかも、自分までもが信じられなくなっていく……。

アメリカンなホラーというよりJホラー的であり、何も起こらないのにどこか不気味だ。山荘は凝った作りで洒落ており、それを囲っている自然も豊かで見ているだけで癒される。しかし、川の流れの映像が落ち着かないリズの表情にオーバーラップされたり、木々の向こう側で何かが蠢いていたりと、幾度も意図が不明な映像表現が挿し込まれ観客は浮き足立ってしまう。リズを閉じ込める籠と化した山荘の至るところからも、家鳴りの音が聞こえる。同じ名前の妖怪がいるが、アメリカ(・カナダ)の映画に対して奇妙な例えになるものの、まさに妖怪でも出てきそうな雰囲気だ。

その風変わりなストーリーは非常にパーキンスらしく思えるが、監督作では基本的に自身で脚本も書いている彼には珍しく、本作では別人が担当している。その名はニック・レパード。最近どこかでその名を聞いたと思ったら、何と先日公開されたばかりの異色のサメ映画『デンジャラス・アニマルズ 絶望海域』の脚本家だ! レパードは、手垢が付きまくっているはずのホラージャンルにおいて新鮮さを出すことに長けているらしく、今度は異色のキャビン映画を生み出した。話が進む度にその色と形を変えていく『KEEPER』というタイトルも意味深で、カップルなどで鑑賞すると、オチよりもこのふたりの関係に対する意見が万華鏡のように広がりそうだ。はてさて、あなたの“形”は、一体どのキャラクターに似ているのだろう。

【ストーリー】
とある週末、都会暮らしのアーティスト、リズが、恋人の医師・マルコムから交際1周年の記念旅行に誘われる。ところが鬱蒼とした森に囲まれた山荘に到着後まもなく、リズは奇妙な幻覚に苛まれることに。翌日、マルコムが病院に呼び出され、ひとり取り残されたリズは、現実と悪夢の境目を見失い、山荘内にうごめく何かの気配に脅かされていく。果たして、この山荘に隠された秘密とは……。

【キャスト】
タチアナ・マズラニー、ロッシフ・サザーランド 他

【スタッフ】
監督:オズグッド・パーキンス
脚本:ニック・レパード

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