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『RRR』ロマン、ロマンス、ブロマンス!映画の全てがここにある!

◆今週公開の注目作

『RRR』

 

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

筆者はインド映画を見たときによく、その面白さに圧倒され、不思議な多幸感に包まれる。「こんなエンターテイメントが存在したのか!」と。インド映画には“9つの感情”が含まれていると言われる。“9つの感情”(ナヴァ・ラサ/NavaRRRasa)とは、①恋情、②滑稽、③悲愴、④憤怒、⑤勇猛、⑥恐怖、⑦嫌悪、⑧驚異、⑨静寂の総称だ。つまり、全ての作品がそうではないとしても、多くのインド映画にはロマンス、コメディ、泣きの展開、リベンジ、勇ましいアクション、スリル、憎むべき相手、驚き、ハッピーエンドが含まれているということだ。観客が映画に求めているものの全てと言っても過言ではない。そして、この『RRR』もその例に漏れない、極上の娯楽大作になっているのだ!

本作の舞台は1920年、イギリスの支配下にあったインドで、インドの独立に貢献したビームとラーマという実在の英雄を描いている。イギリス総督に妹をさらわれたビームと、イギリス側の警察官であるラーマが出会い(出逢い)、お互いの素性を知らぬまま絆を深めていく…のだが、ほとんど史実とは関係ない。本当のふたりは実際には会ったことすらなかっただろう。タイトルの「RRR」とは元々、監督のS・S・ラージャマウリ(Rajamouli)、W主演のN・T・ラーマ・ラオ(Rama Rao)・Jr.とラーマ(Rama)・チャランの3人のRを合わせたものだった。正式なタイトルになった際に、英語では「Rise Roar Revolt(蜂起・咆哮・反乱せよ)」の意味になった。要するに細かいことはどうでも良いのだ。大いなる魂は時空を超えて惹かれ合うものなのだ!

ビームとラーマにはそれぞれのヒロインがおり、ラーマはビームにとっての恋のキューピッド…、インド流に言うならカーマデーヴァでもあるのだが、お互いこそが一番の運命の相手である。ふたりはS極とN極であり、水と炎であり、光と闇であり…、何と例えても良いが、とにかく相反するように見えて決して切れない赤い糸で結ばれている。敵となっても宿命のRRRival(ライバル)。ラスボスであるはずの総督の存在感すら霞むほどだ。本作にあるのはロマンス以上のブロマンス。そしてロマンにあふれている。

ラージャマウリ監督は前作『バーフバリ』シリーズで、象が暴れまわり登場人物たちが飛び回るなどCGを多用したド派手かつ突拍子もないアクションを見せてくれた。本作でもそれは健在で、笑ってしまうほど規格外で非常識なトンデモアクションバトルはもちろん、それ以上にアツいかもしれないダンスバトルでも魅せてくれる。インド人に対しあまりにひどい仕打ちをするイギリス人へのやり返しにスカッとし、後味は最高に良い。甘酸っぱく、辛(から/つら)く、苦く、渋く、ケレン味もたっぷり。全ての味が最高のブレンドだ。しかし決してしょっぱくはない。本作自体がRemarkable(非凡)でRadical(過激)なRevolution(革命)だ。友にカーマ(愛)を、仇にカルマ(業)を。ああ、RRReincarnation(RRRinne/輪廻)してもまた見たい!

【ストーリー】
舞台は1920年、英国植民地時代のインド。英国軍にさらわれた幼い少女を救うため、立ち上がるビーム。大義のため英国政府の警察となるラーマ。熱い思いを胸に秘めた男たちが”運命”に導かれて出会い、唯一無二の親友となる。しかし、ある事件をきっかけに、それぞれの”宿命”に切り裂かれる2人はやがて究極の選択を迫られることに。彼らが選ぶのは 友情か?使命か?

【キャスト】
N・T・ラーマ・ラオ・Jr./ラーム・チャラン

【スタッフ】
監督・脚本:S.S.ラージャマウリ 『マガディーラ 勇者転生』(09) 『バーフバリ 伝説誕生』(15) 『バーフバリ 王の凱旋』(17)
原案:V・ビジャエーンドラ・プラサード
音楽:M.M.キーラヴァーニ
応援:インド大使館
配給:TWIN
製作年:2021年
製作国:インド
公式 Twitter:@RRR_twinmovie rrr-movie.jp ハッシュタグ#RRR
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10月21日(金)全国公開

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