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『ノマドランド』アカデミー賞最有力!「現代のノマド」を描いた映画が世界を席巻する!

◆公開中の注目作 
『ノマドランド』

リーマンショックの影響で職を失い、季節労働を転々としながら放浪する女性の物語。こう聞くと地味で、湿っぽい印象を受けるかもしれない。しかし、今映画界はこの作品に熱狂している。ヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞し、トロント国際映画祭で観客賞を受賞し、ゴールデン・グローブ賞作品賞を受賞。そして第93回アカデミー賞の作品賞受賞に最も近いと言われているのが本作だ。

主人公のファーンは60代の女性で、リーマンショックによる企業倒産で長年住み慣れた家を失ってしまう。彼女はキャンピングカーに全てを詰め込み、「現代のノマド」(遊牧民)となって、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送る。「ノマド」と言う言葉は日本人にはあまり聞き馴染みのない言葉だが、上記の通り遊牧民と言う意味がある。彼女は様々な場所で、同じようにノマドとして暮らしている人達と交流を深めていく。

ノマドとしての暮らしは、傍から見れば決して裕福な暮らしでは無いかも知れない。それでもファーンが交流するノマドの民は、非常に温かみのある。そんなノマドの民との交流を誇りに、彼女は生きていく。新型コロナウイルスによって世界が大きく変わった昨今、ファーンの様に職を失い、家を失った人もいるだろう。そんな苦境でも彼女が誇りを持って生きていけるのは、同じ状況でも逞しく生きる人々と支え合い、励まし合うことが出来たからだ。「お前は独りじゃない」シンプルだが強烈なメッセージをこの映画は伝えてくれる。

そのファーンと言うキャラクターに圧倒的な説得力を与えているのは名女優フランシス・マクドーマンドである。本作の演技で6回目のアカデミー賞ノミネートを得た彼女だが、それも納得の圧巻の演技だ。そんな彼女の演技にさらに説得力を加えているのは監督に抜擢されたクロエ・ジャオの演出であり、撮影手法だ。実際にノマドとして暮らす人の中にマクドーマンドが入って撮影をしている本作、ファーンと深い交流を結ぶノマド役には、実際にノマドとして暮らす人が本人自身として本作に出演している。本作はドラマであると同時に、現代のノマドのリアルを鮮明に映し出したドキュメンタリー映画的な要素も持っているのだ。そのリアルな空気感が、スクリーンを通してはっきりと伝わってくる。

3年前、フランシス・マクドーマンドがオスカーを受賞した時に叫んだ「Inclusion Rider」と言う言葉。今、時代が少しずつこの言葉に追いつこうとしている。この言葉と、その真意に最も説得力を与えられる女優フランシス・マクドーマンドと、そんな彼女が選んだ才能あふれる監督クロエ・ジャオはが作り上げた本作は、2021年に公開される作品の中でも「絶対に見逃してはいけない映画」である。極上の108分、是非観て頂きたい。

【ストーリー】
ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。

【キャスト】
フランシス・マクドーマンド デビッド・ストラザーン

【スタッフ】
監督・脚本:クロエ・ジャオ

公式サイト:https://searchlightpictures.jp/movie/nomadland.html

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