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『キャシアン・アンドー』あの男はいかに生き、いかにして反乱軍の英雄になったのか。新鮮なテイストの『スター・ウォーズ』スピンオフドラマ!

この映画は、つまり―
  • 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の前日譚!
  • シリアスでオトナ向け!味変でフレッシュな『スター・ウォーズ』
  • 『ローグ・ワン』を救った“ローグ”、トニー・ギルロイがクリエイター!

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◆配信中の注目作

『キャシアン・アンドー』(2022)

ディズニープラスで視聴するこちら

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

マーベル作品にしても『スター・ウォーズ』にしても、最近のディズニーはファンのお腹が空く前に次の料理を出してくる。楽しみが増えることに間違いはないが、食傷気味の方も一定数いるのではないかと思う。本作『キャシアン・アンドー』は、特にそんなファンにアピールするドラマだ。

そのタイトルから察せられる通り、本作は『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』に登場した反乱軍の英雄、キャシアン・アンドーの過去についての物語となっている。オープニングタイトルでは、一見月の下部に見える反乱軍のものに似たマークとともにクールなタイトルロゴが浮かび上がり、それ一発で視聴者のテンションを上げてくれる。キャシアンを引き続き演じるのは月の意味がある名を持つディエゴ・ルナであり、『スター・ウォーズ』において“月のようなもの”として有名なのはもちろんあのデス・スターだ。『ローグ・ワン』を見た者なら(もちろん見ているだろうが)、キャシアンとデス・スターの因縁については嫌というほどお分かりだろう。

『ローグ・ワン』の頃と比べると、本作のキャシアンには精神的な弱さが垣間見え、“ローグ(ならず者)”とは言い難い。現在配信中の3話までだと彼の抱える謎もほとんど明かされず、事前情報として我々に与えられている「汚れ仕事に手を染めてきた過去を描くドラマ」の部分もまだ回収されていない(すでにシーズン2制作が決定しており、各シーズン12話ずつあるので当然ではある)。代わりに、それぞれのキャラクターは従来のシリーズよりリアルに描写されているキャシアンの当面の敵となる帝国の手先、「企業(コーポレート)」の人間たちも、徹夜仕事を振ってくる上司にボヤいたり、保身のために、するべき報告を怠ったりする。帝国というより、やはり普通の企業の風景のようだ。

思わず子どもに見せるべきか躊躇してしまうような男女のラブシーン(匂わせ程度ではあるが)もあるし、基本的に画面は薄暗い。シリアスでサスペンスにあふれており、これまでの明るい冒険活劇路線とは一線を画そうとしているのが感じられる。そもそも、『ローグ・ワン』もシリーズの中ではそのシリアスさから少し浮いている作品だったし、本作もその延長線上にあると言える。それも当然、本作のクリエイターはトニー・ギルロイなのだ。

『ボーン』シリーズの脚本家として知られるギルロイは、『ローグ・ワン』の脚本も執筆者し、さらに再撮影を行った同作の救世主でもある。『ローグ・ワン』は元々ギャレス・エドワーズ監督が戦争ドキュメンタリーのように撮ろうとしていたが、偶然の要素を多く取り込むことでリアリティを出そうとしたため、撮影後にまとまらなくなってしまった。それを救ったのがギルロイなのだ。実は、あのラストのダース・ベイダーの恐ろしさをファンに再認識させる、絶望とかすかな希望の入り混じった名シーンも再撮影で加えられたものだ。全く『スター・ウォーズ』ファンでなく、畏敬の念もなかったと自ら語る“ローグ”のような彼が『ローグ・ワン』を救ったのだから、何とも皮肉な話だが。ギルロイがいなければ、『キャシアン・アンドー』もなかっただろう。

未だ何も明かされていないも同然の本作と言えど、我々は『ローグ・ワン』のエンディングを、キャシアンの最期を知っている。これはそれまでの過程の物語であり、彼の生き様を描くものに相違ない。『スター・ウォーズ』のハッピーエンドは、キャシアンらの働きがなければあり得なかった。畏敬の念を持ちつつ、今後の活躍を見守ろう。

【ストーリー】
危険や偽りや陰謀に満ちた時代、キャシアン・アンドーは専制的な銀河帝国との戦いにおいて自分が果たすべき役割を知ることになる。彼は反乱軍の英雄となる道を歩み始める。

【キャスト】
ディエゴ・ルナ、カイル・ソーラー、アドリア・ホルホナ、ステラン・スカルスガルド、アラン・テュディック、ジュネヴィーヴ・オライリー 他

【スタッフ】
監督:トニー・ヘインズ 他
脚本:トニー・ギルロイ 他
製作総指揮:トニー・ギルロイ、キャスリーン・ケネディ、ディエゴ・ルナ 他

 

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