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【今週のおすすめ】『ヤクザと家族 The Family』(前編)/きっと、あなたの【生涯の1本】が塗り替えられる。

■アカデミー賞作品「新聞記者」のスタッフ再び、今度は“ヤクザ”

「新聞記者」で日本アカデミー賞6冠を制覇したスターサンズと藤井監督。このジョイントプロジェクトが新たに作り出した映画が「ヤクザと家族」である。

 前作「新聞記者」では“内調(内閣調査室)”の闇に手を突っ込んで、業界からはアブナイアブナイと言われ、右翼からはデマだインチキだと叩かれ、左翼からはアッパレもっとやれと煽られ、地上波テレビからは一切無視され、2019年という激動の時代を代表する問題作として世を席巻した。

それから2年、スターサンズと藤井監督はさらにヤバイ所に入っていく。

今作のテーマは「ヤクザ」だ。。

ところがこの映画、観たら大傑作だった。

物語は、1999年、2005年、2019年という、3つの時代のヤクザの存在を描く壮大な人間ドラマ。両親に先立たれ自暴自棄となった不良少年(綾野剛)が地域のヤクザの親分(舘ひろし)に助けられ、親分の中に父親を見出し盃を交わすところから始まる。持ち前の度胸と頭の良さで裏社会でのし上がる男。彼の姿が他の組との争いや、運命の女性との出会いを交えて描かれる。だがその後、男は抗争に巻き込まれ14年間獄中生活を送る。そして出所したのが最後のパート2019年。

男はまるで浦島太郎のように変わり果てた世の中に戸惑い、絶望する。そう、2012年に施行された暴対法でヤクザの力は完全に削がれ、生きていくことすら困難な状況に追い詰められていたのだ。そんな中、かつて愛した女と再会した彼は自分に娘がいたことを気づかされるー。

■前半の敵は“ヤクザ”、後半の敵は“現代社会”

この映画が凄いのは1999年、2005年の敵は抗争相手のヤクザだが、2019年の敵は現代社会というところ。前半・中盤はいわゆるヤクザ映画として、カッコいい綾野剛や舘ひろし、市原隼人なんかの颯爽とした極道っぷりを堪能できるんだが、後半はもう崩れゆくヤクザワールドの中で、かけがえのない二つの家族(組=ファミリーと、妻子)を守る為に身を削っていく綾野剛の姿に、むせぶほど感動してしまうという超展開。

特にあれほどの男がヤクザを辞めて家族との小さな幸せを求める辺りはもう、切なすぎて涙で目が曇ります。女性が観ても感動するそうだが、多分おっさんが観たら嗚咽すると思う。

あともうひとつ特筆すべきは、映画終わっても、エンドロールに流れる主題歌「FAMILIA」が心に刺さりすぎて席を立てないところ。

藤井監督がエンドロール終わるまで《映画》にしたいと言っていたが、「こういうことだったか」と納得の全部合わせて138分。きっと、あなたの【生涯の1本】が塗り替えられる。

続きはこちら ⇒ 【今週のおすすめ】『ヤクザと家族 The Family』(後編)/「ヤクザと家族」にみる、深い闇と、深い愛

 

【ストーリー】
ヤクザという生き方を選んだ男の3つの時代にわたる壮大なヒューマンストーリー。1999年、父親を覚せい剤で失い、その日暮しの生活を送っている時に、柴咲組組長の危機を救った男・山本賢治(綾野剛)。自暴自棄になっていた自分に手を差し伸べてくれた柴崎博(舘ひろし)に心の救いを得て、二人は父子の契りを結ぶ。2005年、短気な面もあるが一本気さのある山本は、ヤクザの世界で男をあげていく。激化する因縁の相手・侠葉会との争い、自分と同じような境遇で育った女性との出会い、大切な家族である仲間を失ってしまうなど、人生を大きく揺り動かす激動の瞬間に愚直なまでに向き合って生きる山本、そして彼は自分の【家族・ファミリー】を守るために、ある決断をするー。2019年、14年もの年月を犠牲にした山本が出所後目の当たりにしたのは、暴対法の影響でかつての隆盛の影もなく、存続していくのもギリギリな状態に一変していた柴咲組の姿。時代の流れによる大きな変化に戸惑いながらも、愛する家族との生活を望み、新たな人生を歩もうとする山本に、状況を根底から揺るがす事件がー。

【キャスト】
綾野剛、舘ひろし、尾野真千子、北村有起哉、市原隼人、磯村勇斗、菅田俊、康すおん、二ノ宮龍太郎、駿河太郎、岩松了、豊原功補、寺島しのぶ

【スタッフ】
監督・脚本:藤井道人
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸

配給:スターサンズ/KADOKAWA
製作:2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会
©2021『ヤクザと家族 The Family』製作委員会

公式HP:yakuzatokazoku.com

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