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『ザ・ボーイズ シーズン4』純粋、潔白、大胆、勇気、警戒、忍耐、そして正義。今回の一番のヴィランは……時間!?

この映画は、つまり―
  • 最高…もとい、サイテーなヒーロードラマがカムバック!
  • 新ヒーロー、「シスター・セージ」と「ファイアクラッカー」が参戦!
  • アメリカに未来はあるのか

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◆配信中の注目作

『ザ・ボーイズ シーズン4』

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

泣く子も黙るスーパーヒーロー、ホームランダーが帰ってきた! 今回も禍々しく赤い“目からビーム”の大盤振る舞いで、民衆と他のヒーローを震え上がらせる様には、熱視線を送らざるを得まい。もうシーズン4なので基本設定の詳しい説明は要らないだろうが、端的に言っておくとここから先、「ヒーロー」という言葉は「ヴィラン」と読み替えてしまってもほとんど問題ない。ヒーローマインドの伴わないスーパーパワーを持つ腐ったヒーローがアメリカを牛耳ろうとするのを、ヒーローに恨みを持つただの人間チーム「ザ・ボーイズ」が防ごうとするドラマだ。ではザ・ボーイズの面々こそが本物のヒーローなのか? そうとも言えない。各々が自分勝手な目的のために行動し、必要ならば敵とも組む。線引きなどとうに意味がない。すでに過激描写でも一線超えている、非常に不謹慎でどのヒーローものよりオモシロいドラマだ。

以下はあらすじだが、前シーズンまでのネタバレが一部含まれるのをご容赦いただきたい。ホームランダーの父で、シーズン3のボス的存在だったソルジャー・ボーイは物語の舞台から退場し、ザ・ボーイズの倒すべき敵はまたホームランダーに戻った。ザ・ボーイズのリーダー、ブッチャーは、亡き妻が遺した息子同然のライアンと仲違いし、ライアンは本当の父であるホームランダーを選んでしまった。ザ・ボーイズには、元ヴォート社のヒーローチーム「セブン」の一員だったスターライトことアニー・ジャニュアリーが加入したが、敵をすぐさま真っ二つにするホームランダーのクレイジーさは今や多くの人間に受け入れられてしまい、民衆は「スターライター」と「ホームチーマー」に二分され衝突している。副大統領候補には人の頭を吹っ飛ばす能力持ちのヴィクトリア・ニューマンが選ばれた。アメリカは今後どうなってしまうのか?

これまで通り、本シリーズの毒は健在だ。タブーなどまるでない。アメリカの時事問題に鋭く切り込み視聴者をハッとさせたかと思えば、いきなり脳みそや臓物をぶちまけてギョッとさせる。皮肉の効いたセリフで笑わせ、予想の数段上の最悪な展開で戦慄させる。あっけなくいくらでも人が死ぬドラマなのに、どのキャラクターも活き活きしていて心を奪われる(特にキミコはどんどんチャーミングさを増していく)。お見事という他ない。そして、いつもと同じ部分があれば、変わっていく部分もある。例えば、ヒューイの家族関係には急展開が訪れるし、アノ人たちの家族関係もそうだ。

どうやら、シーズンを重ねるごとに狂気を増していくホームランダーにも勝てないものがあるらしい。それは「老い」。ライアンを、アメリカを背負って立つ次世代のヒーローにしようとするも、基本的に良い子で非情になれないライアンの“教育”はなかなか上手く進まない。さらに、かつてヴォート社の言うことに従い、今ではヴォート社を支配するまでに権力を得たホームランダーも、ここに来て周りにイエスマンしかいないと気づき失望する。ディープはバカだし、Aトレインはやる気なしだし、ブラック・ノワールは挙動不審だし……(って、前シーズンで死んだはずでは!?)。残り少ない時間に焦るホームランダーは、新しいメンバーの加入を決める。世界一頭が良いのにそれを発揮するチャンスがなかった「シスター・セージ」と、陰謀論を巧みに操り人々をコントロールする発火能力者「ファイアクラッカー」だ。

感情で動くホームランダーに最強のブレインがついてしまった。ザ・ボーイズにとって悪いニュースであるのは明白だ。しかも、ファイアクラッカーとスターライトの間には何やら因縁があるらしく、より対立は深まる。さらに、ブッチャーはホームランダーと戦うために注射した時限性コンパウンドVの影響で余命幾ばくもない……。もう打つ手はないのか? ところが逆に、ホームランダーの圧政に耐えかねたあのキャラクターとザ・ボーイズの距離は近づいていく。現時点ではまだ3話までしか配信されておらず、毎週木曜日に1エピソードずつ追加されていく予定だ。今後も読めない展開が続くだろう。制作陣は、シーズン5でフィナーレだと明言している。ザ・ボーイズの、ヒーローたちの、中年たちの、そしてアメリカの未来やいかに。

【ストーリー】
世界は崩壊の危機に瀕している。ヴィクトリア・ニューマンは権力を固めつつあるホームランダーの支配の元、これまで以上に大統領府に近づいている。ベッカの息子はブッチャーの元を去ってしまった。さらに“ザ・ボーイズ”のメンバーはブッチャーの嘘にうんざりし、彼はリーダーを退くことになる。手遅れになる前に、彼らは協力して世界を救う方法を見つけなければならない。

【キャスト】
カール・アーバン, ジャック・クエイド, アントニー・スター 他

【スタッフ】
企画:エリック・クリプキ

 

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