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『ヴァチカンのエクソシスト』正体不明の悪魔に善の“ジョーカー”が立ち向かう!実在のエクソシストをラッセル・クロウが好演!

この映画は、つまり―
  • 実在のエクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父の面白さ
  • ホラーが苦手でも楽しめるオカルトアクション!
  • ラッセル・クロウはやっぱりスター

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◆配信中の注目作

『ヴァチカンのエクソシスト』

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文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

ついこの前、MCUの『ソー:ラブ・アンド・サンダー』で全能の神ゼウスを演じていたラッセル・クロウが、神のしもべとなって帰ってきた! 今回彼が演じるのは悪魔を祓う者、エクソシスト。それも実在の、ヴァチカンの教皇に仕えたチーフ(首席)エクソシスト、ガブリエーレ・アモルト神父だ。

実在の人物を扱ったオカルト映画としては、ご存じ『死霊館』シリーズが知られている。心霊研究家のウォーレン夫妻が活躍する同シリーズと比べると、本作『ヴァチカンのエクソシスト』は恐怖度では劣るものの、その分わかりやすいアクション的エンタメに徹している感がある。アモルト神父は悪魔パワーも何のその、91歳まで生き、2016年に亡くなるまでに約3万件もの事例に関わったと言われる、かなりパンチの効いた人物だ。ところが、劇中では「98%は悪魔ではなく精神疾患が原因」という風に語られており、実際のアモルト神父は3万件のうちホンモノは94件しかなかったと話したらしい。これがむしろ信憑性を高めてくれており、そして興味深い。

本作は1987年を舞台に、アメリカからスペインに移り住んだ3人家族に襲いかかる悪魔憑き事件を描いている。1年前に夫を事故で亡くしたジュリアと反抗的なお年頃の長女エイミー、目の前で父親が事故死するのを見てしまい声を失った幼い長男ヘンリーのうち、最も脆弱であるヘンリーが悪魔の標的にされてしまう。久々に声を発してくれたと思ったら、ウィリアム・フリードキン監督の名作『エクソシスト』で悪魔憑きとなった少女リーガンよろしくばっちい内容ばかり口走るようになったヘンリーを救うべくアモルト神父が立ち上がるのだが、十字架をかざせば解決するわけではない。儀式においては、悪魔の真名(まな)を知ることが重要なのだ。悪魔も人間と同じく個人情報の流出が命取りなのか。それは置いておいて、ヘンリーの残り少ない体力が尽きる前に正体を特定し祓わなければならない!

エクソシストものとしてはド王道なのだが、やはりアモルト神父のキャラクターが面白く、それが良いケミストリーになっている。彼によれば悪魔はジョークが嫌いらしく、普段からユーモアを欠かさない人物として描かれており、映画もどこか軽いノリで見られる。気の利いた笑えるセリフはやはりハリウッド映画が誇るべき美点だ(後に悪魔からカウンターパンチを食らうのだが)。エクソシズム中はさすがの貫禄で頼りがいがあるのに、普段は巨体に不釣り合いな小さいスクーターで移動するというギャップにも萌える。地元の若い煩悩ありまくりのエスキベルとのタッグも、即席ながら師弟関係のようであり、さらなる活躍が見たくなる。

ラッセル・クロウと言えば、約20年前には『グラディエーター』や『ビューティフル・マインド』などで演技派として注目された人物だが、最近では持ち前の短気さが活かされる(?)『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』のジキル&ハイド役や『アオラレ』の煽り運転ブチギレ男役が記憶に新しい。今回はブチギレはせず、エクソシズムの経験豊富が故の余裕と、そのクマちゃんのような見た目通りのかわいさを併せ持つ、まさに一流のエクソシストを好演している。本作はすでに続編製作が発表されているが、本家『エクソシスト』の方はブラムハウス・プロダクションズが正統続編を謳いながら製作した3部作が早くも1作目『エクソシスト 信じる者』で盛大にコケたばかり。こうなったら、『ヴァチカンのエクソシスト』には、本家のお株を奪うくらいになってほしいものである。

【ストーリー】
1987年7月――サン・セバスチャン修道院。アモルト神父はローマ教皇から直接依頼を受け、憑依されたある少年の《悪魔祓い》(エクソシズム)に向かう――。変わり果てた姿。絶対に知りえないアモルト自身の過去を話す少年を見て、これは病気ではなく“悪魔”の仕業だと確信。若き相棒のトマース神父とともに本格的な調査に乗り出したアモルトは、ある古い記録に辿り着く。中世ヨーロッパでカトリック教会が異端者の摘発と処罰のために行っていた宗教裁判。その修道院の地下に眠る邪悪な魂――。全てが一つに繋がった時、ヴァチカンの命運を握る、凄惨なエクソシズムが始まる――。

【キャスト】
ラッセル・クロウ、ダニエル・ソヴァット、アレックス・エッソー、フランコ・ネロ 他

【スタッフ】
監督:ジュリアス・エイヴァリー

 

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