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『ブラザーズ・サン』ギャングだって人の子。何だか親近感の湧く血なまぐさいホームドラマで年を明けよう!

この映画は、つまり―
  • アクション満載、ギャング家族のクライム・コメディ!
  • この家族、何だか他人な気がしない…
  • 母親役のミシェル・ヨーのアクションはあるのか!?

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◆配信中の注目作

『ブラザーズ・サン』

Netflixで視聴する⇒こちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

誰しもが、裏の顔を持っている。スーパーマンもそうだし、空に浮かぶ月だってそうだ。月は自転しているため表も裏もなさそうに見えるが、地球の周りを1周する間に月自身が1回転するので、地球からは常に同じ面しか見えない。そのため、裏の顔があると言っても過言ではないだろう。太陽(Sun)は月とは違って、地球に一面しか見せないわけではないが、「彼ら」はまた違うようだ。Netflixドラマシリーズ『ブラザーズ・サン』の孫(Sun)兄弟である。

『ブラザーズ・サン』は、台北で恐れられている最強ギャングとその家族を描いたクライム・コメディだ。あらすじは以下の通り。ある日ボスである父親が正体不明の狙撃手に撃たれたことで、他の家族にも危険が及ぶと考えたボスの右腕・長男チャールズは、離れてアメリカで暮らす母親と弟を守るべく渡米する。幼い頃に生き別れた弟のブルースはというと、ブルース・リーと同じ名前にもかかわらずヘナチョコに育っていた!ブルースは、母アイリーンの「ギャングに関わることなく普通に育ってほしい」という願いの通り、自分の父と兄がギャングだとは全く知らず医学の道に進もうとしているが、彼の元には台北からの刺客が次々訪れ…。

すでに1シーズン全8エピソードが一挙配信されている。本シリーズのテイストを知るには1話見れば十分だ。まず、豊富なアジアンアクション!チャールズは、ギャング界隈ではイスの脚だけで何人も殺せる“チェアレッグ・サン”として有名な生ける伝説であり、巨体の暗殺者も返り討ちにする。演じているジャスティン・チエンの身のこなしも見事で、毎回このアクションが見れるのはかなり贅沢と言えるだろう。ギャングものだけに、痛い描写もふんだんに盛り込まれており、銃弾でポックリ死ねればラッキーな方で、大体は鈍器でボッキリ、ナイフでグッサリされて殺される。

それを引き立たせるのが、ブルース周りのトボけたギャグ描写だ。母の願いが叶ったのか平和ボケしすぎていて、逆に危なっかしい。怒られると怖いので母には表立っては反抗せず、しかしもらった学費を、通うのを反対された即興劇のレッスンにつぎ込んでいる。しかも、その補填のために、悪友からそそのかされ考えなしにドラッグを売ろうとするのだ。こいつ、ギャングの素質があるのでは? まあ、一夜で大金を稼げるという悪友の言い分にも一理あるが、悪事は千里を走るもの。後ろめたさで気乗りしないブルースだったが、闇の世界に一歩踏み入れてしまったばっかりに、物語が困った方向に転がり始める。

そうそう、忘れてはいけないのが、サン家の母親をミシェル・ヨーが演じていることだ。去年『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』でアカデミー主演女優賞その他様々な賞に輝いた彼女は流石の貫禄で、ブルースはおろかチャールズさえ怒られるのを怖がる。所詮ギャングも、母親にしてみればいつまでも自分の子どもなのだ。彼らには同じ血が流れており、その周りでは他人の血が流される。それでも、どこか他人事と思えない家族事情がそこにある。もし1話を見て少しでも先が気になれば、その次の2話はより面白い内容になっている。チャールズへのギャップ萌え、ブルースに訪れる新たなピンチ、そしてアイリーンの裏の顔…。今後ミシェル・ヨーのアクションが拝めるかどうかにも期待しつつ、新年最初のイッキ見作品とするのはいかがだろう。

【ストーリー】
台北の犯罪組織に所属する男は、謎の敵に家族の命を狙われてしまう。ロサンゼルスで暮らす芯が強い母、そして家族の真実を何も知らない弟を守るべく、男はふたりのもとへ向かう。

【キャスト】
ミシェル・ヨー、ジャスティン・チエン、サム・ソン・リー、ジュン・リー、ハイディ・クアン 他

【スタッフ】
企画:バイロン・ウー、ブラッド・ファルチャック

 

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