MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『ブルービートル』劇場未公開でもケセラセラ!DCを明るく盛り上げるラテン系新人ヒーロー誕生!

この映画は、つまり―
  • 劇場未公開、DCの不遇な新ヒーロー映画…だけど!
  • 能力は「想像した武器の具現化」!? スパイダーマン好きな方にオススメ!
  • ヒーローは孤独…でなくて全然OK!

記事を見る

◆配信中の注目作

『ブルービートル』

U-NEXTで視聴する⇒こちら
Amazonプライムで視聴する⇒こちら
AppleTV+で視聴する⇒こちら
huluで視聴する⇒こちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

最近、ヒーロー映画界の行方が怪しくなってきた。天下のマーベルでさえも、以前に比べ精彩を欠いているように感じられる。興行収入的にもそうだし、これまでのラスボスであったサノスに代わり、今後ヒーローたちの前に立ちはだかる予定“だった”征服者カーンに関してもそうだ。少しずつお膳立てをしてきていたのに、カーン役のジョナサン・メジャースが不祥事によってマーベルとの契約を解除され、ヒーローたちの倒すべき敵がいなくなってしまった。…まあある意味平和になったとも言えるが、ヴィランがいるからヒーローが生まれるし、逆もまた然りなのだ。マーベルがここで上手い手を打たなければ、ヒーロー映画界というひとつの世界は滅亡に一歩近づく。

マーベルがこのような状況なので、これまで大きな差をつけられていたDCにとっては巻き返すチャンスなのだが、DCはDCでまたひとつの世界を終わらそうとしているところだ。従来のDCエクステンデッド・ユニバースは、本作『ブルービートル』と来年1月に日本公開の『アクアマン/失われた王国』をもって滅亡してしまう。しかし、その後はDCユニバースなる新世界が創造される予定であり、新ヒーローのブルービートルも続投予定であるらしい。言うなれば、ブルービートルはDCユニバースキャラとして最初にお披露目される人物でもあるわけだ(対してアクアマンの続投は、演じるジェイソン・モモアのインタビューによれば不透明のようだが…)。

それなのに、『ブルービートル』は何と日本では劇場公開されず、ソフト・配信スルーとなってしまった! しかも、吹き替えすらついていない! 三度の飯より吹き替えが好きな筆者としては非常に残念だった。DCはついこの前、新ヒーローのバットガールを主人公にした『Batgirl(原題)』を配信すらせずお蔵入りにしてしまったばかり。『ブルービートル』も同様に不遇な扱いを受けている。決して劇場で見るに値しない作品ではないのに!

 

主人公となるのはメキシコ系アメリカ人の若者ハイメ・レイエス。大学を卒業したのに職探しに苦労する中、偶然出会った大企業コード社で働く女性ジェニーの紹介で面接を受けに行くと、焦るジェニーから謎の箱を手渡され帰るよう促される。「絶対中を見るな」と言われていたのに、興味津々の家族にせっつかれて箱を開けると、入っていたのは青い機械のスカラベ。実はこのスカラベにはエイリアンの超技術が詰め込まれており、キレイだなと思う間もなくハイメは“宿主”と認められ寄生される。かくしてハイメはスーパーヒーロー、ブルービートルとなるのであった…って、仕事もないままだし、変身の影響で家はボロボロだし、スカラベの力で兵器を作っているコード社CEO兼ジェニーのおばのヴィクトリアに命狙われてるんですけど!?

 

 

本作は特に、マーベルのスパイダーマン(トム・ホランド版)が好きな方にオススメだ。ホランドより5歳若いショロ・マリデュエニャは青年というよりむしろ少年らしくもあり、初々しいハイメにピッタリ。スカラベが発する機械音声との漫才のような掛け合いは、スパイダーマンがアイアンマンからもらったスーツに内蔵されていたAI「カレン」とのやり取りを思い出させる。ブルービートルは変身(少しヴェノムっぽい)すると服が燃えるので元の姿に戻ると素っ裸というギャグも、ハイメのピュアさを引き立てておりなかなか好感度が高い。

ブルービートルの能力は、「想像した武器の具現化」だ。まさに少年の夢であり、良い意味でバカっぽく、楽しい。トゲのついた鉄球とか、背丈ほどの大剣とか、ハイメが「つよそう」と思った物は全て彼の武器となる。もしかしたら、本作はこれまでで最も若い観客をターゲットにしているのかもしれない。また、景気の良いアクションと同じだけ目立っているのがハイメの家族だ。ラテン系らしく陽気な彼らは苦境にあっても決してめげず、少し下品で、愛に溢れている。ハイメにとってもたまに恥ずかしい彼らも、かなり大きな活躍をする。同じDC作品の『シャザム!』も家族の活躍を描いていたが、孤独はヒーローの必要条件ではないのだ。レイエス家の明るさが、ほんの少しでもDCユニバースの前途を明るく照らしてくれることを願っている。

 

【ストーリー】
大学を卒業したばかりのハイメ・レイエスは、将来への希望を胸に故郷に戻った。世界における自分の目的を見つけようと模索する中、ハイメは思いがけずエイリアンのバイオテクノロジーが残された古代の遺物“スカラベ”を手にする。スカラベが突然ハイメを共生宿主として選ぶと、ハイメは驚異的で予測不可能な力を持つアーマースーツを授かる。そして、彼の運命は一変し、スーパーヒーロー“ブルービートル”となる。

【キャスト】
ショロ・マリデュエニャ、ブルーナ・マルケジーニ、アドリアナ・バラーサ、ダミアン・アルカサル、ラオール・マックス・トゥルヒージョ、スーザン・サランドン、ジョージ・ロペス 他

【スタッフ】
監督:アンヘル・マヌエル・ソト

 

★配信エンタの過去記事はこちら

『終わらない週末』神が世界を創造し終えた週末から世界が終わっていく。世にも静かで美しいアポカリプティック・スリラー。

『PIGGY ピギー』彼は悪魔の殺人犯、それとも白馬の王子様?これはホラーかラブストーリーか。

『マーダー・イン・ザ・ワールドエンド』地の果てでひとつ、またひとつと個々の世界が終わっていく。Z世代の探偵は世界の崩壊を止められるか?

『レンフィールド』”虫食い下僕”ニコラス・ホルトVS”パワハラドラキュラ”ニコラス・ケイジ!ニコラス対決を制するのは誰だ!

『ザ・キラー』“完璧”は時に人を退屈させる。しかし“完璧”に生きられる人間などいない。

バックナンバー