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『コカイン・ベア』許しません白い粉。倒せません黒いクマ。実在のラリックマがドラッグ・ゼム・トゥ・ヘル!!

◆今週公開の注目作

『コカイン・ベア』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

クマという動物は、広く世界でマスコット的に愛されている。くまのプーさん、リラックマ、くまモン…。人間の男性をクマと形容する場合は、筋肉のためか脂肪のためか、どちらにしても体格が良いことを意味している。あと、なぜか優しそうなイメージもついて回る。“気は優しくて力持ち”だ。俳優で言えば、マブリーことマ・ドンソクなどがピッタリだろう。しかし今日本では、「こりゃクマった」とか抜かしている場合ではないほどにヒグマが大問題になっている。当たり前だ。クマは元々人間にとって大変危険な存在なのだから!

クマの恐ろしさを描いた映画としては、『レヴェナント:蘇えりし者』が記憶に新しい。実在の冒険家ヒュー・グラスがクマに半殺しにされながらも、亡霊(レヴェナント)のように蘇った実話を基にした作品だ。主演のレオナルド・ディカプリオはズタボロになりながらグラス役を熱演し、輝かしいキャリアの中で何と初めてとなるオスカーを手にした…、あれ、やはりクマは本当に優しいのか…?

とにかく、クマは一言で言い表せるような動物ではない。それは本作『コカイン・ベア』を見ても明らかだ。どう考えても出オチのアホなB級映画のようなタイトルだが、どうかしていることにこれも実話に基づいている。1985年、テネシー州で季節外れの白い雪が降った。いや、正確には人間と白い粉(コカイン)だった。コカインを空輸していた運び屋のアンドリュー・C・ソーントン2世が、飛行機からの飛び降りに失敗したのだ。大量のコカインは森に散乱し、それをクマが食べた。現実には他に被害者もおらず、3か月後にはオーバードーズで死んだクマが発見された…。人間なら致死量はヤク(約)1.2gのところ、クマは落ちてきた34キロのコカイン袋を全て開けてしまったらしい。3~4g程度が体に吸収された時点で死んでいたという話もあるが、とにかくクマはおそらく天に昇るような心地になる間もなくに天に旅立った。

本作では、ただでさえ面白い話をさらに面白くするために、コカインを回収しに来た麻薬王たちなど様々な人間がクマに出会う展開になっている。このコカイン・ベアは、実際には死後に剥製にされ“パブロ・エスコベア(メキシコの麻薬王パブロ・エスコバルのもじり)”として飾られているので、実質麻薬王VS麻薬王と言っても過言ではない! クマは時速4、50キロで走れるし、木にも登れる。普段から何を考えているのか分かったもんじゃないのに、ハイになんかなっちゃったらもう、人間になす術はない。だから「ダメ。ゼッタイ」って言ったでしょうが!

本作はレイ・リオッタの遺作だったり、監督がなぜかリブート版『チャーリーズ・エンジェル』のエリザベス・バンクスだったり、『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』の子役ブルックリン・プリンスがすっかり大きくなった姿で出ていたりと色々語るべきところはあるのだが、どうしてもクマに全てを持っていかれる。そもそも、このクマは人間のせいで死んだ悲劇のヘロイン…もといヒロインなのだ。…そう、実際のクマはオスだったが、映画ではメスに変更されている。メスってそれはまた別のドラッグだろうという話は置いておいて、せめてクマには映画の中でだけ大暴れして人間をシャブりつくしてもらうとしよう。まさにドープな体験に酔いしれよう。

【ストーリー】
1985年、アメリカ。墜落した麻薬輸送機から失踪したコカインをクマが食べてしまうという事件が発生―。そんなウソのようなホントの話に着想を得た、前代未聞の問題作が誕生!突如としてスクリーンに“出没”した<コカイン・ベア>=コカインを食べて狂暴化したクマが、森の中で大暴れ!? コカイン・ベアが次々と巻き起こす前代未聞の大騒動から、人々は無事に逃げ延びることができるのかーー! ※この映画は薬物使用を推奨するものではありません。

監督・製作:エリザベス・バンクス
製作:フィル・ロード&クリストファー・ミラー
出演:ケリー・ラッセル、オシェア・ジャクソン・Jr、オールデン・エアエンライク、イザイア・ウィットロック・Jr、クリストファー・ヒヴュ、マーゴ・マーティンデイル、レイ・リオッタ

2023年/アメリカ/カラー/スコープサイズ/英語/原題:COCAINE BEAR/95分/R-15/字幕翻訳:種市譲二
配給:パルコ ユニバーサル映画
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© 2022 Universal Studios.

公式サイト:https://cocainebear.jp
公式Twitter:https://twitter.com/cocainebear_jp

9月29日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開

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