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『テリファー 終わらない惨劇』前作から上映時間、ゴアシーン、ドラマ性が大幅にパワーアップ! 新たなホラーアイコンが日本を席巻する!

◆今週公開の注目作

『テリファー 終わらない惨劇』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

大抵のホラー映画は上映時間が短い。筆者が「映画1本分」と聞いて無意識に頭に思い浮かべる時間は120分だが、ホラー映画の多くは大体90分~100分くらいのものだ。前作の『テリファー』はさらに短く、84分しかなかった。ところがその絶大なインパクトのせいで、ホラーファンですら頭に永遠にこびりついて離れないトラウマを植え付けられた。画質は悪くチープな印象は否めないが、それが故にスプラッター描写は生々しく、より残酷に感じられた。特にエラいのは、新たなホラーアイコンを誕生させたことだろう。その名前は「テリファー」ではない。Terrifier(正しい発音はテリファイアー)」とは「怖がらせる者」という意味だ。では何か? 無慈悲な芸術(アート)に命を賭ける道化(クラウン)、アート・ザ・クラウンだ。

世の中には一定数、道化恐怖症の方がいるらしい。その原因のひとつは間違いなく、スティーブン・キングの『IT』に登場するペニーワイズだろう。ピエロとクラウンの違いはご存じだろうか? 一目瞭然なのは、ピエロには涙のメイクがあり、クラウンにはないということ。泣くのはピエロと獲物の仕事だ。アート・ザ・クラウンは、クラウン先輩であるペニーワイズと違って言葉を一言も発さないが、動きの面白さが共通している。また前作の衝撃のラストで判明したように、彼は普通の人間ではない。そういう意味では、『ハロウィン』のマイケルにも似ている。さらに今回は、『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーよろしく夢の中にまで登場。先輩方の良いところを見習いながら誰よりも過激に観客を楽しませ、ホラー界の王冠(クラウン)を戴こうとしているのがこのアート・ザ・クラウンなのだ!

何かの間違いと思われそうだが、本作は前作の84分から大幅に尺を伸ばした138分になっている。舞台となるのは前作から1年後のハロウィン(!)、登場するのは(ほとんど殺されてしまったので)全く新しいキャラクターたちだ。今回アート・ザ・クラウンが興味を持ったのはシエナとジョナサンの姉弟で、友だちや家族など周りの人間がまず標的とされてしまう。その容赦のなさにはドン引きするしかない。全編にわたって『アンダルシアの犬』的なシーンや頭皮をアレしたり〇〇をXXするなどのイカれた描写(察してください)がぶっ続く。日本でも「全米の観客が吐いた」というショッキングなニュースが話題になったが、特殊メイクアーティストでもあるダミアン・レオーネ監督のスキルが大爆発している。吐かずに済んだ人でも、確実に胃もたれはするだろう。それくらいこってりな味付けだ。

もちろん、見所はそこだけではない。ゴアシーンに全振りしていたと言っても過言ではなかった前作に比べると格段にドラマ性は増しており、大切な人を無惨に殺されながらもシエナがだんだんとヒロインとして覚醒していく様は実にアツい。シエナはコスプレイヤーなので、対決の構図は悪魔のアーティストVS天使のアーティストになっているのだ! またもや観客を唖然とさせるラストも含め、無口なアート・ザ・クラウンの代わりに観客が語らずにいられなくなる一作と言えるだろう。18歳以上なら、ホラー好きもホラー嫌いも怖いもの見たさで劇場に駆けつけよう。責任は取りません。うっぷ。

【ストーリー】
ハロウィンにヤツが再び姿を現した!一年前の悪夢が蘇る。残酷・無慈悲で不気味なアート・ザ・クラウンが通ったあとに残るのは、惨劇の記憶と被害者の亡骸だけ。人々に忌まわしい記憶を植え付けたマイルズ・カウンティーの惨劇から1年後のハロウィン。ピエロの恰好をした連続殺人鬼、アート・ザ・クラウンがハロウィンに再び姿を現した。絶命したかにみえたクラウンは死体安置所で息を吹き返し、その残虐性と冷酷さを増してハロウィンの街へと繰り出した。標的となったのは、父親を亡くした姉シエナと弟ジョナサン。悪夢が再び彼らに襲い掛かる。クラウンが通った後に残るのは惨劇の記憶と被害者の亡骸だけ。一人、また一人と増えていく犠牲者。ハロウィンの喧騒をよそに迫りくるクラウンの魔の手から姉弟は逃れることができるのだろうか……。

【キャスト】
ジェナ・カネル、ローレン・ラベラ、デイビット・ハワード・ソーントン、キャサリン・コーコラン、グリフィン・サントピエトロ

【スタッフ】
監督・脚本:ダミアン・レオーネ

制作:DARK AGE CINEMA
2022/アメリカ/138分/カラー/シネスコ/5.1ch
配給:プルーク、OSOREZONE
配給協力:シンカ
宣伝協力:ガイエ
R18+
(C)2022 DARK AGE CINEMA LLC. ALL RIGHTS RESERVED

HP:https://synca.jp/terrifier_movie/
Twitter:@terrifier_movie

6月2日(金)よりTOHOシネマズ 六本木ヒルズほかにて公開

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