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『ザ・メニュー』裏があってもおもてなし。ここから帰りたくなくなるような、至上のひと時をあなたに。

この映画は、つまり―
  • 当店では奇想天外なフルコースをご用意しております
  • 何が起ころうとも、楽しむことだけをお考えください
  • お代はいただきません。その代わり…

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◆配信中の注目作

『ザ・メニュー』(2022)

ディズニープラスで視聴するこちら

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

―孤島に佇む孤高のレストラン「ホーソン」にようこそ―

今回皆様にご紹介いたしますのは、ディズニープラス内コンテンツ「スター」にて見放題独占配信となった本作『ザ・メニュー』でございます。至高のプロットとキャストにより、皆様に一生に一度の刺激的な体験を提供いたします。ただし、「ホーソン」は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください。

おもてなしいたしますのは、レイフ・ファインズ演じる超一流シェフ・ジュリアン・スローヴィク。皆様がフーディーならば、彼はさしずめ奇術師フーディーニ。寸分の狂いなく完璧に計算されたメニューは、予想不可能な驚きとともに確実に皆様の舌を楽しませ空腹を満たすでしょう。

万が一、そうでない場合は…。時に、「お客様は神様」という言葉があります。「お客様の仰ることは絶対だ」との意味合いでお客様自身が用いられる場合が多いのですが、この言葉の生みの親とも言える歌手の三波春夫氏の真意は別のところにありました。本来は、「お客様を神様と見立て、祈るようにまっさらな気持ちで披露しなければ完璧な芸ができない」という、提供する側の心構えを表したものなのです。「郷に入っては郷に従え」とも言いますし、当店では当店のルールに従っていただきます。脱出王になろうなどと考えなさらぬよう。

お集まりいただいているのは、映画スターに実業家、料理評論家に自称料理評論家の方々。いずれもこの場にふさわしい成功者ばかりです。…おっと、招かれざる、持たざる者であるアニャ・テイラー=ジョイ様、もといマーゴ様もいらっしゃるようですね。まあ良いでしょう。とにかく、今宵は「ホーソン」の料理をしかと味わってください。口に入れて飲み込むだけの怠惰な態度で臨まず、傲慢にもルールに憤怒したり、ご用意している量を超える暴食はお控えください。今この場にいない誰もが嫉妬する、色欲をも喚起するような極上の品々を、最後の晩餐と思って噛み分け、噛み締めてください。いつかまた来店されたいと考えていらっしゃるのでしたら、それは強欲というものですよ。

まずは、アペタイザーに「生牡蠣のミニョネットソース レモンキャビア添え」を。ミニョネットソースとは、みじん切りにしたエシャロットにワインビネガーと粗挽きのブラックペッパーを加えて作るソースですが、それよりピリッと辛味の効いた話をしましょう。100年以上前、ミニョネット号という船が難破しました。飢えた船員たちは、生き残るために最も若く最も衰弱した給仕を殺し、その体と血をいただいたのです。パンとワインのように!

ちなみに、チェダーチーズの「チェダー」は富や裕福な者を意味するスラングでもあるんですよ。「イート・ザ・リッチ」という歌もありますし…人を食った話ばかりして申し訳ありません。気を取り直して、1品目をお出ししましょう――

【ストーリー】
マーゴとタイラーのカップルが訪れたのは人里離れた孤島に佇む高級レストラン。そこではミステリアスなシェフが極上のメニューを用意している。しかしレストランに訪れている大げさで強欲なゲストたちに差し出されたのは、衝撃的なサプライズだった…。

【キャスト】
レイフ・ファインズ、アニャ・テイラー=ジョイ、ニコラス・ホルト、ホン・チャウ、ジャネット・マクティア、ジョン・レグイザモ 他

【スタッフ】
監督:マーク・マイロッド

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