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『TBSドキュメンタリー映画祭 2022』開催記念!全11作品の見どころを一挙紹介!戦争、政治、事件、自然、コロナ、音楽、アイドル、、、人生を変えるほどの作品に出会えるかもしれない

◆注目の映画祭
『TBSドキュメンタリー映画祭 2022』

3/18(金)から3/24(木)にかけて、ヒューマントラストシネマ渋谷にてTBSドキュメンタリー映画祭 2022が開催されます! フィクションによって現実世界を描き出す映画も良いですが、現実そのものはより一層心を揺さぶります。去年に引き続き2度目となるTBSドキュメンタリー映画祭では、TBSが誇るドキュメンタリー作品群「TBS DOCS(ティー・ビー・エス・ドックス)」の、良質かつバラエティ豊かな全11作品が上映されます。そこで今回は、それぞれの上映作品と見どころの紹介をしたいと思います。

 

文:屋我 平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

 

1.『ムクウェゲ「女性にとって世界最悪の場所」で闘う医師』
監督:立山芽以子

アフリカ、コンゴ共和国の都市ブカブはレアメタルの産地です。それだけなら良いのですが、これは武装勢力の収入源になっており、彼らは利権を得るために恐怖で住民を支配しようとしています。その手段として用いられるのが性暴力であるため、「女性にとって世界最悪の場所」なのです。年に約3000人の被害女性を治療するデニ・ムクウェゲ医師は、その功績が認められノーベル平和賞を受賞。今も、自身も命を狙われながらその堅い意思をもって闘い続けています。地球の裏側の話と思うかもしれませんが、レアメタルは我々が普段使っているあれやこれにも用いられているもの。日本人もこの問題に非常に深く関わっていることに衝撃を受けます。

 

2.『人生クライマー ~山野井泰史と垂直の世界~』
監督:武石浩明

登山界で最も権威のあるピオレドール賞を受賞した登山家・山野井泰史。彼は幾度も危機的な状況に陥りながらも、その全てから生還しています。しかし2002年、ヒマラヤ山脈東部のギャチュンカンの登攀に成功したものの、凍傷で両手足の指計10本を失います。そのような壮絶な経験をしても彼は登山を止めず、山について語るときは常に笑顔。妻の妙子さんも同様に、指を失いながらも奇跡的な生還を果たした経験のある登山家で、2人とも前向きな姿勢を崩しません。何が彼らをそうさせるのか。衝撃的な登山映像とほのぼのとしたインタビューで、人生のあり方を考えさせてくれます。

 

3.『ももいろクローバーZ ~アイドルの向こう側~』
監督:酒井祐輔

世にアイドルグループは数あれど、ももいろクローバーZほど独自の地位にいるグループもいないでしょう。はじめはイロモノだと思われることも多かったですが、2014年には旧・国立競技場での単独ライブを実現させました。これは女性グループとして初である上、結成から6年という史上最速のスピードでの快挙でした。女性アイドルの場合、初期メンバーがそのまま残って活動を続けていくケースは多くありません。多くの場合メンバーが変わるか、グループを卒業してタレントになっていきます。また現状、男性アイドルであれば年齢を重ねても「アイドル」と名乗るのは難しくありませんが、女性の場合それを実現している人はいないかもしれません。すでに異例づくしのももクロの面々も30代を目前に控え、今後は何を見せてくれるのか。ワクワクが止まらない一作になっています!

     

 

4.『だから私は前を向く 萌々花20歳』
監督:山本一雄

馬田萌々花さんは、未だ原因も根本的な治療法も不明な、血管が異常に増殖する難病「混合型脈管奇形」を患っています。周りの友だちと一緒に遊ぶこともできず、彼女は6歳のときにやりたいことを聞かれても「何もない。もう諦めた」と答えていましたが、20歳になった今は前向きに生きています。病状が悪化して歩けなくなり車椅子生活になっても、また歩くことを、そして新たな夢を諦めずに追いかけています。これはまさに「自立」の物語でもあるのです。彼女を「かわいそうな存在」と見ない親友たちは、障害のある方を一人の人間としてとらえる大切さを教えてくれます。

 

5.『石破茂・嫌われた正論 10人の証言』
監督:中島哲平

“永遠の総理候補”的ポジションにいる政治家、石破茂。森友学園問題には厳しい批判を投げかけ、嘘や改竄のない誠実な自民党を作りたいと訴えましたが、その“正論”を主張し続ける態度が祟ってか2021年10月の衆議院議員総選挙には敗れてしまいました。これまで4度挑戦した総裁選も全て敗北。将来を危ぶむ声も聞かれますが、石破氏は「正しいことは正しい、間違っていることは間違っている。それが言えないのは組織として病的」として、己の信念を曲げる気はありません。忖度しなければ、政治家として生き延びることはできないのでしょうか。本来は不正を行った方が政治家を続けられないはずなのでは…と割り切れない思いを抱えてしまいます。国民が望むなら総理として役目を果たそうと常に考えている石破氏から、政治家とはどうあるべきかを考えさせられます。

 

6.『完黙 中村喜四郎~逮捕と選挙』
監督:武田一顯、松原由昌 

選挙はある種の勝負ですから、勝者がいれば敗者もいます。ですが、中村喜四郎ほど選挙に敗れたことが衝撃をもたらす政治家もいないでしょう。1976年の衆院選に初出馬で劇的な当選を果たして以降、14期、40年以上も当選し続けてきたからです。前科1犯でも、逮捕されても、刑務所送りになっても…。1994年のゼネコン汚職事件で逮捕・起訴されても、議員活動は止まりませんでした。検察に対して140日間の完全黙秘を貫き、供述調書も作らせず、保釈後も当選し続けました。そんな“無敗の男”は、2021年10月の衆議院議員総選挙で初めての敗北を喫しました。なぜ黙秘したのか、何が目的で議員を続けているのか。常人の理解を超えたひとりの男の、“不屈”の真相に迫ります。

 

7.『戦争の狂気 中東特派員が見たガザ紛争の現実』
監督:須賀川拓

イスラエルのガザ地区では、イスラエル軍とイスラム原理主義組織ハマスの間の戦いにより多数の死傷者が出ました。イスラエル側は、攻撃する前に事前通告している上、精密誘導弾を使用しているので人道的に配慮していると主張。対するハマスは、4000発のロケット弾を無差別に発射し、イスラエルが封鎖を解けば軍事施設を狙う兵器を作ると反論。そのような双方の“正義”に基づく言い合いの中で、ガザの住民、ムハンマド・アルハディディさんは妻と4人の子どもを失いました。奇跡的に生き残った生後5ヶ月の赤ちゃんは亡くなった妻の腕から救い出されました。無情な現実に翻弄される現地の人々は、単なる一時のニュースとして世界から忘れられてしまうことを恐れています。我々はこの現実を見据えなければなりません。

 

8.『日の丸 ~それは今なのかもしれない~』
監督:佐井大紀

日の丸と言ったらまず何を思い浮かべますか。ちなみに、筆者は「昭和」という言葉がパッと頭に浮かびます。1967年、ドキュメンタリーTV番組『日の丸』が放送されました。通行人に対しインタビュアーの無機質な質問攻めで日の丸の印象について問う様子を映したこの番組は、苦情の嵐にさらされました。それから55年経った今、同じ試みをすればどのような変化があるのか。回答者たちの答えそのものよりも、これぞまさにドキュメンタリーと言いたくなるような、回答者たちの生々しい反応が見ものです。普段あまり主義主張を表に出さない日本人のそのような姿は新鮮ですが、同時に自分が回答者だったらと考えて居心地が悪くなります。これはつまり日の丸に対して何か良くないイメージを持っているという意味なのか…。緊張感を持ちながら鑑賞してみてください。

 

9.『池袋母子死亡事故 「約束」から3年』
監督:守田 哲

2019年4月、池袋で発生した自動車事故により2人の尊い命が失われました。加害者は高齢者で、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故でした。はじめ、加害者は自らの過失を否認し、自動車の設計に問題があるかのような言い分でしたが、後に過失を認めました。遺族の松永さんは事故防止のための活動を続けていますが、時折悲しみが押し寄せてきます。「高齢者は免許を返納すべき」と単純に結論づけるのではなく、返納後の高齢者の移動手段の問題、法制度、車の技術向上など、多角的な議論の発展を望む松永さん。交通事故では、いつ誰が被害者・加害者になるともしれません。他人事じゃない、必見のドキュメンタリーです。

 

10.『ライブで歓声が聞こえる日 コロナ禍に抗う音楽業界』
監督:川西全

新型コロナウイルスは、今でも我々の生活に多大な影響を及ぼしています。特にその煽りを受けているのが音楽業界。5人組ガールズメタル・バンド「HAGANE」は、世間的にコロナの影響の大きさがあまり浸透していなかった頃、2020年3月にワンマンライブを計画していました。2018年結成のHAGANEにはすでに熱狂的なファンも付いており、ライブを決行すべきかどうかで悩んだ結果、断腸の思いで無観客での開催に切り替えました。音楽業界全体でも、日本は特に海外アーティストの呼び込みが難しくなっており、ライブを開催できたとしても以前と同じように盛り上がることはまだできません。しかし、先行きの見えない中でも、HAGANEメンバーの文字通り不屈の“鋼”の精神に触れれば、未来への希望を喪うことはないでしょう。

 

11.『さっちゃん最後のメッセージ 地下鉄サリン被害者家族の25年』
監督:西村匡史、神保圭作

1995年3月に発生した、多数の死傷者を出した地下鉄サリン事件。その被害者のひとり、浅川幸子さんは言語障害と手足のまひを負いながらも、カメラの前で取材に応えてきました。障害者・被害者は「かわいそうな存在」として見られがちですが、本作ではさっちゃんこと幸子さんから家族への思い、そして家族から幸子さんへの思いという家族の絆の面をフィーチャーしています。事件から現在までの長い時間の中で、関係者の裁判は進み、幸子さんを介護していた母親が今度は自身が介護される側になるなど様々なことが起こり、そして2020年3月、事件のちょうど25年後に幸子さんは56歳の若さでこの世を去りました。オウム真理教の後継団体は今でも活動を続けています。幸子さんと、一番の支援者だった兄の一雄さんの思いはこれからも語られていかなければなりません。

 

ドキュメンタリー好きにはもちろん、ドキュメンタリー映画にとっつきづらい印象を持っていた方でも、興味のある作品が見つかったのではないでしょうか。もし少しでも気になったなら良い機会です。ぜひ劇場に駆けつけましょう!

 

【映画祭概要】

『TBSドキュメンタリー映画祭 2022』
開催期間:3月18日(金)~3月24日(木)7日間 ほか全国順次開催
開催場所:ヒューマントラストシネマ渋谷(東京)

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TBSDOCS_eigasai/
公式Twitter:@TBSDOCS_eigasai

©TBS テレビ

 

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