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【今週公開の注目作】『俺たちのアナコンダ』 夢に食い殺されるか、夢を食い殺すか。中年の危機よ、大蛇に巻かれて死ね。

◆今週公開の注目作

『俺たちのアナコンダ』
4月3日(金) 映画館にて緊急公開

夢を諦めることは、死ぬことではない。ただ、それは少しずつ自分の中の何かが枯れていく感覚に似ている。映画監督になりたかった男が今や結婚式のカメラマンに、ハリウッドスターを夢見た男が今や端役すら満足に取れない俳優に。40代とはそういう年齢だ。若い頃に抱いた幻想が現実の重力に引き寄せられ、「あの頃の自分」と「今の自分」のギャップに苦笑いするしかない。本作の主人公ダグとグリフはまさにその典型だ。

だがしかし。この2人には、普通の中年男性が持ち得ない武器がある。1997年公開のB級パニックスリラー『アナコンダ』を、人生のバイブルとして崇めてきたという、輝かしいほど無駄な知識と情熱だ。ジェニファー・ロペスが演じる映画監督がアマゾンで巨大アナコンダに追われる、あの絶妙なB級感。正直に言えば、傑作とは言い難い。しかしそれだからこそ、ある種の人間の心を深くえぐる。「俺でも作れるんじゃないか」という甘美な幻想を植えつける力が、あの映画にはあった。

そして2人は動く。『アナコンダ』のリメイクを自主制作するために、友人たちを引き連れ、南米アマゾンへ向かうのだ。この「決断」こそが本作の核心である。馬鹿げている、無謀だ、そもそも99分で何ができるというのか。しかしその馬鹿げた決断の中にだけ、40代にもなって残された最後の輝きがある。

ここまで書くと、さぞかし真剣なドラマ映画のように思えるかもしれないが、安心してほしい。本作はどこまでもバカ映画である。笑いとアクションと驚きが幾重にも積み重なり、次から次へと繰り出されるドタバタ劇は止まるところを知らない。代役のヘビを探してジャングル奥地に踏み入れれば、そこには本物の巨大アナコンダが待ち受けている。撮影クルーを束ねながら命がけで逃げ惑う2人の姿は、あまりにも滑稽で、あまりにも眩しい。

ジャック・ブラック演じるダグの、全力で馬鹿をやる姿の説得力は今さら語るまでもない。しかし今作で真に光り輝くのはポール・ラッド演じるグリフかもしれない。夢を追ってロサンゼルスに渡り、しかしうだつの上がらない俳優人生を送る彼の、ほんの少し寂しそうな瞳が、コメディの笑いの奥にある苦みを際立たせる。2人のケミストリーは完璧で、スクリーンから溢れ出す楽しさが観客席にまで伝染してくる。

加えて、本作が映画ファンに向けたラブレターでもあることを見逃してはならない。劇中にはある「大物カメオ」が登場し、映画を愛するすべての人間が声を上げて笑い、そして少しだけ泣くような瞬間が待っている。ネタバレになるため多くは語れないが、1997年という時代に思いを馳せながらスクリーンを見つめた瞬間、”映画”というメディアが持つ奇妙な魔力を改めて実感するだろう。

監督のトム・ゴーミカンは、ニコラス・ケイジ主演の『マッシブ・タレント』(2022)で「俳優であることの滑稽さと尊さ」を描いた人物だ。あの作品がそうであったように、本作もまた、夢を追う人間の愚かさと愛おしさを、笑いの形で包んで届けてくれる。バカ映画の皮を被った、映画への深い愛の告白。そう言ってしまえば少々くさいが、鑑賞後に胸に残るほのかな温かさは、確かにそういうものだ。

全米ではクリスマスに公開され、「ハリウッドコメディが復活した!」との声とともに全世界興行収入1億ドルを突破。お世辞にも真剣な映画ではないが、真剣に笑えて、真剣に楽しめる。それこそが映画の、そして人生の、一番誠実な遊び方ではないだろうか。

さあ、ジャングルへ行こう。アナコンダが待っている。

【ストーリー】
少年時代から映画オタクとして育った幼馴染のダグ(ジャック・ブラック)とグリフ(ポール・ラッド)。2人にとってのバイブルは、1997年公開のパニックスリラー映画『アナコンダ』だった。40代を迎え、ダグは映画監督の夢を諦めて結婚式カメラマンに、グリフは売れない俳優として日々を送る。ある日、地元のパーティで再会した2人は、かねてより温めてきた夢──『アナコンダ』の自主リメイク制作──に向けて動き出す。友人たちを引き連れて意気揚々と南米アマゾンへと乗り込んだ一行は、低予算ながらも撮影を進めていたが、グリフが誤って撮影用のヘビを死なせてしまう大珍事が発生。代役のヘビを探しにジャングル奥地へ踏み込んだ彼らの前に、想像を絶する巨大アナコンダが姿を現す──!

【キャスト】
ジャック・ブラック、ポール・ラッド、スティーヴ・ザーン、タンディウェ・ニュートン、ダニエラ・メルキオール、セルトン・メロ ほか

【スタッフ】
監督:トム・ゴーミカン(『マッシブ・タレント』)
脚本:トム・ゴーミカン、ケヴィン・エッテン(『マッシブ・タレント』)
配給:ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2025年製作/99分/アメリカ

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