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【今週公開の注目作】『Fox Hunt フォックス・ハント』 血も涙もないけれど、水も滴る良い男。

◆今週公開の注目作

『Fox Hunt フォックス・ハント』
12月26日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか全国公開

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

年の瀬にひっそりやってくるよくあるB級映画かと思ったら、どうやら様子が違う。何せ、トニー・レオンとオルガ・キュリレンコというワールドワイドなA級キャストが共演し、マーベル映画でともにヴィランを演じたそのふたりが再び悪役を演じているのだから。本作『Fox Hunt フォックス・ハント』は中国とフランスを股にかけたアクションスリラーながら、アクションよりもスリルよりも何よりもトニー・レオンの良い男っぷりをたっぷり楽しめる作品となっている。

彼が演じるダイ・イーチェンは、まあ絵に書いたような大悪党だ。何億円も不正に儲けており、不要になった人間は味方であろうと容赦なく切り捨てる(緻密な映画ではないのでこのくらいざっくりな認識でOK)。ダイは何年も逃亡中で、中国のイエ捜査官の宿敵だ。チーム「フォックス・ハント」の一員としてイエはダイが活動し始めたパリに赴くが、現地の刑事ノエルと衝突してしまい、さらにはダイの大胆にして抜け目のない罠に嵌められる。はたしてフォックス・ハントは狡猾な狐・ダイと、彼の右腕で悪徳弁護士の女狐・エルサを華麗に狩れるのだろうか?

もう還暦を過ぎているレオンだが、未だにそうは感じさせない若々しさと年相応の渋さが同居しており、映るだけでスクリーンを支配するカリスマを持っているのは疑うべくもない。彼の出演作で筆者が最も好きなのは異色のカンフー映画『グランド・マスター』なのだが、さすがに同程度に魅力的とは言えないまでもあの時から12年経っているわけで、スターしてさらに成熟してきた印象だ。もちろん主人公はフォックス・ハント側なのに、キュリレンコすら差し置いてすぐレオンに目が行ってしまう。もう彼だけで良いのではないかと思ってしまうほどに。

アジア圏の映画をよく見ていて思うのが、日本人とツボが似ているということ。はっきり言って、本作は非常にベタだ。よくあるストーリー。しかし、だからこその良さがやはりある。犬猿の仲と思われたイエとノエルの関係がどうなっていくのか、分かりきった展開ではあるものの胸が熱くなるのは確かだ。男ふたり女ひとりのフォックス・ハントも堅苦しい関係性でなく、軽やかに会話しながら連携を取っていくのがチームものとしても悪くない。先ほど本作がレオンでもっているように表現してしまったが、感情をあまり表に出さず不愉快な出来事にも穏やかな微笑みで対応していくイエには非常に親近感が湧く。ストーリーが進むに従って、レオンと違い地味なタイプと思われたイエ役のドアン・イーホンの方に段々と惹かれていくのだ。やはり、水も滴る良い男より、汗も滴る良い男、なのだ。最終的には中国で映画を作る苦労に思いを馳せたくなるが、日本と似ているところ、違うところが如実に現れており、そういった意味でも興味深く見られるだろう。

【ストーリー】
上海を拠点とする大規模な金融詐欺の首謀者で、7年間逃亡を続けていたダイ・イーチェンが、フランス・パリに姿を現した。彼を追い続けていた中国の経済犯罪捜査官イエ・ジュンは「フォックス・ハント」チームを率い、盗まれた資産回収を目的とした越境ミッションに乗り込む。しかし、法の穴を掻い潜るダイ側の周到な手管により不正資金の行方は依然として謎に包まれ、街中での手荒な追跡や人間爆弾、偽装誘拐など、金のためなら命を惜しまない悪党どもが仕掛けた罠が「フォックス・ハント」チームを待ち受ける――。

【キャスト】
トニー・レオン、ドアン・イーホン、エリカ・シアホウ、チャン・アオユエ、オリヴィエ・ラブルダン、オルガ・キュリレンコ 他

【スタッフ】
監督:レオ・チャン
脚本:レオ・チャン、エリカ・シアホウ

 

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