MOVIE MARBIE

業界初、映画バイラルメディア登場!MOVIE MARBIE(ムービーマービー)は世界中の映画のネタが満載なメディアです。映画のネタをみんなでシェアして一日をハッピーにしちゃおう。

検索

閉じる

『MaXXXine マキシーン』全方向から私を照らして。影のできる隙間もないくらい。

◆今週公開の注目作

『MaXXXine マキシーン』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

早いもので、筆者が『X エックス』の紹介をしたのが今から約3年前だ。同作から始まった3部作のシリーズが、本作『MaXXXine マキシーン』で盛大に終わる。続編なのでもちろん『X』と2作目『Pearl パール』は見ておいた方が良いが、『Pearl』は『X』に登場する悪役パールの過去を描いた作品であるため、主人公がミア・ゴス演じるポルノスターからハリウッドスターへのし上がろうとするマキシーンで共通している『X』を最低限見ていれば大丈夫だろう。

本作は、『X』が描いていた1979年から6年後の1985年が舞台となる。自分らしいビッグな人生を生きるのが夢のマキシーンはポルノ界では成功していたが、満足には程遠い。映画スターとしての成功を目指すも30を過ぎた今、そろそろ大きなチャンスを掴まなければ、いかに『X』の惨劇を生き抜いた彼女と言えどもハリウッドで生き抜くことはできない。そこで彼女が挑んだのが、名作と名高いホラー『ピューリタン』(架空の作品)の続編での主演だった。オーディションで役を勝ち取り意気込むも、マキシーンの周りでは世間を騒がせている異常者「ナイト・ストーカー」による連続殺人(史実)が跡を絶たず、彼女のトラウマを刺激する。果たして、「ナイト・ストーカー」の正体は誰なのか? そして、マキシーンは赤黒い過去を振り切り、光り輝く未来を手に入れられるのか?

3部作を監督しているタイ・ウェストは相変わらずホラーマニア的な趣向を凝らしており、『X』が老人ホラー、『Pearl』がミュージカルホラーときて、本作は何とジャーロ(簡単に言えばサイコなスプラッター・ミステリー)のテイストを入れてきている。実はウェストは元々『ゴジラvsコング』のアダム・ウィンガード監督や、『バービー』のグレタ・ガーウィグ監督らとともに低予算ホラー映画などを作っていたりしたのだが、製作会社A24と組みホラー界で大成した。ミア・ゴスはもちろん、『X』では『ウェンズデー』のジェナ・オルテガ、『Pearl』ではこの夏誕生する新生スーパーマン役のデヴィッド・コレンスウェットと大ブレイク直前の新時代のスターを次々に起用しているが、ハリウッドを描く本作では一気にキャストの豪華さが上がっている。『ザ・ボーイズ』のジャンカルロ・エスポジートは相変わらず只者ではないし、身長191cmの麗人エリザベス・デビッキは相変わらず超絶クールだし、今回のケヴィン・ベーコンは非常にカッコ悪い(褒めている)。

タイトルに忍ばされ……否、仕込まれた「XXX」(ポルノ)の字に表されるように、本作は普通見せてはいけないものも隠さない。あり得たかもしれない、自らの人生における最悪の可能性であるパールと決別したマキシーンだが、ろくでもない輩は常に次の瞬間に彼女の“自分らしい人生”を妨害しに来る。悪人ではないが、場合によってはカゲキな行為も厭わないマキシーンが障害物をブチ壊していくのはたまらなく痛快だ! 唯一無二のカタチをした歪な真珠(バロックパール)、映画スター・マキシーンの輝きをMAXXXに浴びるなら、もちろん劇場のスクリーン以外にないだろう。

【ストーリー】
1985年、ハリウッド。巨大な撮影スタジオに現れたブロンドの女、その名はマキシーン。ポルノ界で人気を極めた彼女は、新作ホラー映画『ピューリタンⅡ』のオーディションに参加していた。“本物のスター”になるために。その頃のLAは、連日連夜ニュースで報道される連続殺人鬼「ナイト・ストーカー」の恐怖に包まれていた……。一方マキシーンの周りでは、ヒルズのパーティーに呼ばれた女優仲間が次々と殺される怪事件が起きる。騒動の中、オーディションで主演の座を射止め、スターダムへ上りはじめたマキシーンの前に、6年前、マキシーンの身に起こった猟奇的殺人事件のトラウマを知る謎の存在「何者」かが近づく……。

【キャスト】
ミア・ゴス、ケヴィン・ベーコン、エリザベス・デビッキ、モーゼス・サムニー、ジャンカルロ・エスポジート、リリー・コリンズ、ミシェル・モナハン、ボビー・カナヴェイル 他

【スタッフ】
監督・脚本:タイ・ウェスト

公式サイト:https://happinet-phantom.com/maxxxine/

 

関連記事

『トワイライト・ウォリアーズ 決戦! 九龍城砦』直に失われるとしても、それを守らない理由にはならない。

『プレゼンス 存在』ゴースト・ストーリーならぬ、“スペクター・ストーリー”。

『プロジェクト・サイレンス』国家の犬 VS 改造暗殺〇〇! 本当の獣はどっち?

『セブン』4K版|神は言った、「光あれ」と。しかし長雨の都会にその光は届かない。

『SKINAMARINK/スキナマリンク』目を凝らしても見えないのに、目を閉じても視える。

バックナンバー