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『八犬伝』 一粒で二度、いやそれ以上に美味しい? 誰も観たことがないエンターテイメント超大作が爆誕!

◆今週公開の注目作

『八犬伝』

 

文:Manchester is Red

 

なんだこの作品は!めちゃくちゃ面白いじゃないか!八犬伝?滝沢馬琴?日本史の授業かよ!と思う方こそ見てほしいです。スクリーンに映し出される映像は「古い」というイメージを払拭するほどの「新鮮さ」に溢れ、「現代」においても共感を呼ぶ等身大の男の姿があります。断言します。鑑賞後は、創作された物語を見る目が変わります。一つの映画の中に、全くテイストの違う二つの物語が描かれています。一つは現代の最先端の技術の結晶とも言えるVFXで鮮やかに、そして圧倒的な迫力を持って描かれた「八犬伝」の物語。そしてもう一つは、28年にも渡る執筆で、失明や身内の不幸、さらには世の中の無常さに打ちのめされながらも、己の「正義」と向き合い続けた「八犬伝」作者・滝沢馬琴の物語。

いわゆる「虚」のパートと、「実」のパートですね。どちらか単体だけでも面白いのに、それが交互に描かれ、絡み合っていきます。全く喧嘩になっておらず、なんだったら単体では見えなかった良さを、お互いが引き出しあっているほど。

それぞれの良さを個別に紹介していきます。

「虚」パート

「八犬伝」の物語はザ・王道ファンタジーで、それが逆に新しいのです。色んな創作物が溢れかえり、すっかり目が肥えた現代人に響く作品を作ろうとすると、どうしても使い古された王道展開は除外してしまいがちですよね。そうやってどんどん変化球の作品が増えた今、この「八犬伝」の物語は真っ直ぐ私たちにぶつかってきます。運命と宿命に導かれた男たちが、時には争いながらも仲間となり、共に凶悪な敵に挑む。そうだよこれだよ!小難しい理屈なんていらない。これが正義の物語なんだよ!と叫びたくなること間違いなし。後世の創作物に多大な影響を与えており、あなたがこれまでに読んだあの漫画、あの小説やアニメにその面影を探すのも面白いかと思います。

また、VFXで彩られた映像はどのシーンを取っても見応えがあり、八犬士が持つ玉が放つ光や、敵が放つ禍々しい闇、海の青や木々の緑など、色がはっきりと伝わるようになっており、正義と悪の違いが視覚的にわかるようになっています。江戸時代の香りを残しつつも現代的にアップデートされた街並みは、江戸時代×ファンタジーだからこそ表現しうるものであり、古さを感じさせません。

八犬士を演じるのは『わたしの幸せな結婚』の渡邊圭祐や、『約束のネバーランド』の板垣李光人、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』の水上恒司など新世代のイケメンが勢揃い。また「不適切にもほどがある」『ナミビアの砂漠』で注目を集める河合優実も登場し、ド派手な映像に負けない華をこれでもかと漂わせています。

八犬士を生み出す伏姫役に土屋太鳳、八犬士に立ちはだかる敵の玉梓役に栗山千明と、大事なところにはもはやベテランの域に達した2人を配置するキャスティングの妙が素敵です。

「実」パート

みなさんの周りにいつもハッピーな方はいませんか?いつも明るい人はいませんか?テレビの向こう側の芸人さん、めちゃくちゃ面白い物語を書く漫画家さん、小説家さん、脚本家さん‥‥。彼らは日々、仕事や学校、悩み事で頭がパンパンの私たちを笑顔にしてくれます。江戸時代の人間たちにとってそれが「八犬伝」であり、滝沢馬琴でした。

あの有名な画家・葛飾北斎(また日本史じゃんなんて思わないで!)と馬琴は交流があったことが知られ、今作では「八犬伝」の挿絵を北斎が描き、それにインスピレーションを受けて馬琴の創作の世界が広がっていく様子が描かれます。クリエイター同士の高め合いが人々の笑顔を作っていくのです。

今パートはそんなクリエイターにスポットライトが当てられます。そして彼らも同じ人間であり、人々の笑顔の裏に隠されたクリエイター自身の心情に迫っていきます。正義の物語・「八犬伝」を書きながら、正義を描くこと自体に疑問を持ってしまう馬琴の姿から、エンターテイメントを作るにあたっての苦しみがあることを知ることが出来ます。中には希望に溢れた物語の合間合間にそんな現実の話をされると萎えてしまうなんて方もいるかもしれませんが、正義の光と、この世の中で正義を謳うってどうなの?という陰を交互に映し出すことで、お互いの存在感が際立つんですよね。「八犬伝」の物語が真っ直ぐな正義を謳うほど、馬琴の悩みが色濃く浮かび上がりますし、馬琴が悩めば悩むほど、「八犬伝」の物語が眩しさを増していきます。そこに見えるのは、教科書に載っている人物画ではありません。あらゆる逆境に打ちのめされながらも、情熱の炎を消さず、ひたむきに己と向き合い続けた一人の男です。その姿は何かを頑張る全ての人に刺さることでしょう。

滝沢馬琴に役所広司、葛飾北斎に内野聖陽という大御所俳優2人がどっしり構え、磯村勇斗に黒木華など実力派が集められた、映画ファンがニヤニヤしてしまう激渋キャスティング。ここでも「虚」パートとの対比がしっかりとなされております。

圧倒的映像美、華やかな「虚」と、挫折と情熱が渦巻く「実」が織りなすヒューマンドラマ、超超豪華なキャスティング。

一粒で何度美味しいのかわからない、前代未聞のエンターテイメントに仕上がっています。

そんな『八犬伝』、今週から公開です。ぜひ劇場に足を運んで、八犬士たちの勇姿と、馬琴を突き動かしたものを肌で感じていただけたらと思います。

『八犬伝』
10月25日(金)全国ロードショー

【ストーリー】
江戸時代の人気作家 滝沢馬琴は、友人の絵師 葛飾北斎を前に構想中の物語を語り始めた。里見家の呪いと戦うために八つの珠を持つ八犬士が運命に導かれるように集結し、過酷な旅に出る物語だ。馬琴の紡ぐ物語に引き込まれた北斎は物語の続きを聴くために事あるごとに馬琴の元を訪れ、2人の奇妙な関係が始まる。その連載は「悪が蔓延る世の中だからこそ完全懲悪を貫く」という馬琴のライフワークとなるが、28年の時を経て、遂にクライマックスに迫った時、馬琴の目が見えなくなり始めてしまう。完成が絶望的な状況の中、義理の娘から意外な申し出が。果たして、物語は完結するのか―。

【キャスト】
役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久創、藤岡真威人、上杉柊平、河合優実、栗山千明、中村獅童、尾上右近、磯村勇斗、立川談春、黒木華、寺島しのぶ

【スタッフ】
監督・脚本:曽利文彦
原作:『八犬伝 上・下』 山田風太郎(角川文庫刊)
配給:キノフィルムズ 製作:木下グループ 制作:unfilm
©2024『八犬伝』FILM PARTNERS. 
公式サイト:https://hakkenden.jp
公式X:https://twitter.com/hakkenden_movie (@hakkenden_movie)
公式Instagram:https://www.instagram.com/hakkenden_movie (@hakkenden_movie)

 

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