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『怪談晩餐』熟れて、腐って、飛び散った。罪の蜜で彩られた、世にも不浄な6皿を召し上がれ。

◆今週公開の注目作

『怪談晩餐』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

漫画がバカにされていた時代もあるが、言うまでもなく、現在では漫画原作の映画は数え切れないほど存在する。しかも、日本で公開される作品でも、原作は日本漫画とは限らない。MCUのようにアメコミである場合もあるし、最近では韓国のWeb漫画「ウェブトゥーン」原作の作品も増えてきた。塗ることで顔や身体を好きな見た目に変えられる水がもたらす悲劇を描いたホラーアニメ『整形水』や、韓国に実在する駅を舞台に、隠された暗い過去を暴いていくホラー映画『オクス駅お化け』、憧れの女性がチキンと化してしまう謎のコメディドラマ『タッカンジョン』などがそうだ。そして本作『怪談晩餐』も、ウェブトゥーン原作のホラーとなっている(ピッコマで読める)。

『整形水』や『オクス駅お化け』と違うのは、やはり本作が5人の監督による6つの短編で構成されている点だろう。ホラーオムニバスの先行作品としては『ABC・オブ・デス』シリーズや『V/H/S』シリーズ、『サウスバウンド』などがあるが、まだまだ数は多くない。配信サービス時代とは言え、短編映画は短編小説や短編漫画に比べて、少なくとも日本だと目に触れる機会が少ない割とレアなコンテンツだ。本作は邦題と原作のタイトル(『Tastes of Horror』)が示すように、あたかもフルコース形式で“ホラー料理”を楽しめるような作りになっている。各エピソードには特に繋がりがなく、1エピソードが終わったら次、終わったら次と慌ただしく進んでいく。これはサクッと読めるウェブトゥーンらしさを意識したものと言えるかもしれない。

どれもホラーソースがかかっているが、それぞれの味はきっちり異なる。エピソード1「ディンドンチャレンジ」では、SNSで話題の得体の知れない流行が。エピソード2「四足獣」では、学歴社会が生み出す怪物が。エピソード3「ジャックポット」では、ギャンブルで大勝ちした者の成れの果てが。エピソード4「入居者専用ジム」では、不動産価値を下げまいと死亡事故を隠蔽する闇が。エピソード5「リハビリ」では、密室で繰り広げられる幻とも現実ともつかぬ悪夢が。エピソード6「モッパン」では、大食い配信者同士の何より他人の承認を貪り食おうとする強欲が。どの話も韓国の問題、いや、日本も決して無関係ではない問題を描き、違った後味を残していく。

短編ということもあり、ストーリーよりはビジュアルで勝負している印象だ。これもウェブトゥーン原作ゆえなのかもしれないが、ホラーシーンはジャンプスケアが多い(ウェブトゥーンのホラーも、紙の漫画ではできないジャンプスケアを用いている場合がある)。そこが気に入るかどうかで、評価は大きく分かれるだろう。また、ジャンプスケアとはネットに転がっているいわゆる「精神的ブラクラ」と同じ。映画ファンだけでなく「検索してはいけない言葉」が好きなネットサーファーとも相性が良いのではないだろうか(あるエピソードのラストシーンは「スープ〇〇〇〇」を彷彿とさせる)。フレッシュで気合いの入ったグロシーン、それだけでも好き者には見る価値があるというものだ。どのエピソードも現代における「死に至る罪」を描いているが……おや、ひとつ足りないと? 本作のような毒を好んで喰らおうとする酔狂。それしかないだろう。

【ストーリー】

「ディンドンチャレンジ」
女子高生のボラ、ヨンビ、へユルはダンスユニットを組む配信者でもある。チャンネル登録者数が伸びず、それぞれも悩みを抱えていた。そんな中、ある奇怪なダンスを踊ったら願いが叶うという噂を知り――。

「四足獣」
女子高生のユギョンは、成績優秀な姉と教育熱心な母親からのプレッシャーに耐え兼ねていた。ある日、漢江の橋の下で遭遇した何者かに、「4本足のものを殺せば願いが叶う」と言われるが――。

「ジャックポット」
人生のどん底だったジノは、カジノでジャックポットを引き当てて大金を手に入れる。その帰り道に嵐に遭い、バッグを抱えモーテルに泊まることになるが、その様子を監視カメラで窺う者がいた――。

「入居者専用ジム」
高級マンションに併設されている入居者専用のスポーツジム。利用時間は夜10時まで。以前は24時間利用可能だったのだが、どうやら“ある事故”がきっかけで自治会により変更されたらしい――。

「リハビリ」
救急活動中にウイルスに感染した消防士のジヨン。意識を取り戻すと、無機質なリハビリ施設の一室にいた。脳死を避けるために、ずっと動き続けなければならないというリハビリを課されるが――。

「モッパン」
チャンネル登録者数154万人を誇る、大食い系ライブ配信者のもぐもぐ。同じ大食い系の新星ユラをゲストに呼んでコラボ動画を配信するが、もぐもぐはユラを蹴落とすために罠を仕掛けていた――。

【キャスト】
チャン・スンヨン、オ・スンヒ、チャン・イェウン、シン・ウンス、キム・ホジョン、キム・テフン、チョ・ジェユン、ユン・ヒョンミン、チャン・グァン、イ・ジュヨン、キム・ジュリョン、パク・ジナ、チェ・スイム 他

【スタッフ】
監督:アン・サンフン、ユン・ウンギョン、キム・ヨンギュン、イム・デウン、チェ・ヨジュン

 

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