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『SALAAR/サラール』今年のエンタメ界は“将軍”同士の三つ巴!インドから最強で最恐で最凶で最狂の男が殴り込みをかける!

◆今週公開の注目作

『SALAAR/サラール』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

今年のエンタメ界を賑わせるキーワードはこれに違いない――“将軍”。まずはアメリカより来たりし“将軍”だが、2月にDisney+で配信が始まった真田広之主演のドラマシリーズ『SHOGUN 将軍』は、たった6日で900万再生というとてつもない記録を叩き出し、批評的にも大成功した。次に、我が国より出でし“将軍”。漫画を実写化した大人気シリーズの4作目である『キングダム 大将軍の帰還』の公開が7月12日に迫っており、前作までのようにヒットが見込めるこの夏期待の大作となることは間違いない。そして、それらに続く第3の“将軍”が、思ってもみない国から現れた。――そう、インドだ。

本作『SALAAR/サラール』は今年を代表する1本になるだろう。それほどまでにインパクトは絶大だ。中身の話をするより先に、なぜ本作が“将軍”であるかの説明をしなければならない。予告編を見た方ならお気づきのはず。映像の中で「サラール」という単語が登場するのはタイトルコールのところだけだ。主人公の名前かと思えば、彼の名は「デーヴァ」と呼ばれている。では「サラール」とは一体誰なのか!? 実はこの「サラール」こそ「将軍」を意味する言葉であり、つまりは最強の男を指している。『バーフバリ』シリーズで圧倒的存在感を示し、人気俳優であった伯父と同じく「レベル(反逆の)・スター」と呼ばれているプラバースがこの無敵のサラール、デーヴァを演じているのだ。

舞台となるのは架空の国カンサール。泣く子は迷いなく引っ叩かれそうな非情な場所で、外見は堅牢な要塞。早い話、ギャングが王となって支配しているような武装国家だ。カンサールは元々3つの部族(マンナル族、シャウリャンガ族、ガニヤル族)から順番に王を選ぶルールだったが、現王ラージャ・マンナルは過去にそれを拒否し、他部族を押さえつけ現在まで独裁的に振る舞っている。キーパーソンとなるのは王の第二夫人の息子ヴァラダで、彼の少年時代からの親友がデーヴァだ。ヴァラダは抗争に巻き込まれたデーヴァとその母親を遠くに逃がすことで彼らと25年も離ればなれになるが、大人になったヴァラダは第一夫人の息子(異母兄)や他の候補を打ち倒し次期王となって君臨しようと、制御不能な殺人マシン・デーヴァを呼び戻す……というのが基本的なあらすじになる。

それほど難しい話には聞こえないが、実際に見てみると、はっきり言って非常に複雑に感じられる。映画が始まると、物語の背景も分からない中、複数の勢力が入れ替わり立ち替わり紹介され、また時系列も前後する(そして皆インドのおじさんなので顔が同じに見える)。そのため、いっそのこと上記のあらすじとこれだけ頭に入れておけば良い。「デーヴァの前では誰が誰だろうと関係ない」。誰だろうと、絶対勝てないことに違いはないのだから。

王座の奪い合い(ゲーム・オブ・スローンズ)だけに、見所は男たちが巡らす権謀術数だろうか? 否! もちろん血みどろのアクションシーンだ! 人間離れした怪力の持ち主であるデーヴァにかかれば、並の人間など粘土も同じ。すぐに人の形を保てなくなる。だが単なるグロシーンに終わらず、同時に、インド映画お得意の歌がかかり異常な高揚感を喚起する場面となっている。非常に痛そうな敵たちには申し訳ないが、こちらとしては至極痛快だ。漫画のように大仰な演出・演技も、インド映画においては不思議なリアリティを生む。もう細かいところはどうでも良い! 最初ヒロインかと思ったキャラクターはほとんど登場しなくなるし、上映時間は3時間近くもあるし、(これは細かい点ではないが)実は本作は第1章に過ぎない。やはりインドは規格外である。この夏、最高の刺激を求めているならば、この“将軍”にぶん殴られておけば良い。

 

【ストーリー】
1985年、先祖代々盗賊を生業にする部族によって建てられた国カンサール。王ラージャ・マンナルの第二夫人の息子ヴァラダは、第一夫人の息子ルドラに名誉と権力の象徴である鼻輪を奪われてしまう。ヴァラダの親友デーヴァは、ヴァラダのために闘技場の試合に挑み、みごと鼻輪を取り戻す。しかし国内で部族間の争いが発生し、デーヴァの母親が窮地に陥る。駆けつけたヴァラダは自らに与えられた領地と引き換えにデーヴァの母親を救い、デーヴァは母親とカンサールを去って身を隠すことに。デーヴァは別れ際に、ヴァラダに「名前を呼べば、必ず駆けつける」と誓いを立てる。25年後、ラージャ・マンナルがカンサールを留守にしたことから、国全体を揺るがす抗争が勃発。かつて領地を投げ出したことで権力の座から遠ざけられていたヴァラダは、ついに親友デーヴァを迎えにいき、王座をめぐる争いに身を投じる決意をする。しかしデーヴァのある秘密が、ふたりの友情を引き裂き、カンサールにさらなる激震を引き起こす……。

【キャスト】
プラバース、プリトヴィラージ・スクマーラン、シュルティ・ハーサン、ジャガパティ・バーブ、イーシュワリ・ラーオ、シュリヤー・レッディ 他

【スタッフ】
監督:プラシャーント・ニール

 

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