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『ハロウィン THE END』あの純粋悪とついに決着!三部作のテーマがこの最終作で明らかになる!

◆今週公開の注目作

『ハロウィン THE END』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

1978年のオリジナル版『ハロウィン』の直接的な続編として作られた2018年版『ハロウィン』から始まった三部作も、これでようやく終わりを迎える。別のホラー映画シリーズを思い出すが、本作はシリーズ通算で非常に不吉な13番目の作品だ。不吉というのは、『ハロウィン』のようなホラーにおいてはもはや良い意味にしかならないけれど。

ハドンフィールドの街にトラウマを残してきた不死身の殺人鬼マイケル・マイヤーズの活躍も、一旦はこれで見納めだ。将来的にまたシリーズがマイケルのように復活する可能性はあるが、少なくともブラムハウス・プロダクションズが関わり、ジェイミー・リー・カーティスが主人公ローリー・ストロードを演じる『ハロウィン』としてはこれが最後とアナウンスされている。だが、以前監督のデヴィッド・ゴードン・グリーンが「これまでとはかなり異なった内容になる」と予告していた通り、本作は多くの観客を戸惑わせる作品になっていると言えるかもしれない。「これって『ハロウィン』なの?」と…。

本作では、新キャラクターのコーリー(名前がややこしい)が大きくフィーチャーされている。コーリーは『ハロウィン』(2018)と『ハロウィン KILLS』の1年後である2019年に、ベビーシッターとして世話をしていた子どもを事故で死なせてしまった青年だ。『ハロウィン THE END』の舞台は、そこからさらに3年後の2022年。ローリーがこれまでの自分の人生を回顧録にまとめ前に進もうとしているのに対し、コーリーはハドンフィールド中で「サイコベビーシッター」呼ばわりされ、過去にとらわれている。ローリーの孫娘アリソンは前作で、マイケルのせいで母カレンや恋人を失った。そんなアリソンとコーリーは孤独な魂同士惹かれ合うも、コーリーがマイケルと接触したことで事態が暗転していく…。

何と、マイケルがメインの話ではないのだ。しかし思い返せば前作でも、マイケルそのものよりハドンフィールドの住民による暴動の恐怖の方がクロースアップされていた。前作が受け入れられた方なら本作も問題ないのではと思う。『ハロウィン』(2018)の冒頭ではマイケルが精神科病院におり、人間としての側面が強調されていた。だがマイケルはだんだん人間とは思えない存在になっていく。ローリーたちに殴られても、刺されても、切られても、撃たれても、燃やされても死なず、前作ではついにローリーの口から「人間ならとっくに死んでるはず」とか「力ずくでは倒せない」とのメタ発言まで飛び出した。マイケルの別名は「ブギーマン(恐怖の化身)」、「ザ・シェイプ(不定の形)」だ。この三部作では、マイケルを殺人鬼というよりもっと概念的な存在として描こうとしているようだ。

「生きているのはそれだけで良いこと」とよく言われる。その“生善説”が正しいのならば、周りに死を撒き散らすマイケルは純粋な悪と言える。つまるところ、今回のマイケルは“邪悪ウィルス”なのだ。関わった者を殺し、または狂わせ、善良な人間を悪に染めてしまう。本作では、ローリーとマイケルよりも、アリソンとコーリーの描写に多くの時間が割かれている。『ハロウィン』(2018)ではローリー、『ハロウィン KILLS』ではカレン、そして『ハロウィン THE END』ではアリソンを中心にして、悪に翻弄される人々を三代にわたって描いたのがこの三部作だったのだ。

もちろん哲学的要素だけではなく、お馴染みの凄まじいバイオレンス描写も健在だ。マイケルの出てこないシーンが長いだけに、むしろ残虐シーンのカタルシスはこれまで以上かもしれない。不死身のマイケルとの決着の付け方も、個人的には腑に落ちるものだった。変わり種ではあるが、マイケルを独自のシェイプで描いた、最終作にふさわしい作品になっているのではないだろうか。もし将来的にシリーズが復活するとしても、この三部作は一目置かれる存在になるはずだ。

【ストーリー】
殺人鬼ブギーマンことマイケル・マイヤーズが再びハドンフィールドを恐怖に陥れた事件から4年が経ち、街は少しずつ平穏な日常を取り戻しつつあった。マイケルの凶刃から生き延びたローリー・ストロードは孫娘のアリソンと暮らしながら回顧録を執筆し、40年以上にわたりマイケルに囚われ続けた人生を解放しようとしていた。しかし、暗い過去をもつ青年コーリーが、4年間、忽然と姿を消していたマイケルと遭遇したことをきっかけに、新たな恐怖が連鎖し始める。ついにローリーは、長年の因縁に決着をつけるべく、マイケルと最後の対峙を決意するー!!

【キャスト】
ジェイミー・リー・カーティス、アンディ・マティチャック、ローハン・キャンベル、ウィル・パットン、カイル・リチャーズ、ジェームズ・ジュード・コートニー

【スタッフ】
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ポール・ブラッド・ローガン、クリス・ベルニエ、デヴィッド・ゴードン・グリーン、ダニー・マクブライド
製作総指揮:ジョン・カーペンター、ジェイミー・リー・カーティス、ダニー・マクブライド、デヴィッド・ゴードン・グリーン
製作:マレク・アッカド、ジェイソン・ブラム、ビル・ブロック
配給:パルコ
2022年/アメリカ/カラー/スコープサイズ/英語/原題:HALLOWEEN ENDS/111分/R15+
Ⓒ2022 UNIVERSAL STUDIOS

2023年4月14日(金)、TOHOシネマズ 日比谷、渋谷シネクイントほか全国公開

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