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『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』「“魔”が差して、人を刺した」実際の事件を描く、ホラー・アクション・ラブストーリー

◆公開中の注目作 
『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』

文:屋我平一朗(日々メタルで精神統一を図る映画ブロガー)

実録ものや伝記ものという言葉には、人をうずうずさせる何かがある。多少の映画的誇張はあれど、本当に起こったこと・実在した人が描かれるからだ。フィクションも良いが、事実を元にした映画にはまた別の頑強さがある。『死霊館』シリーズは、実在の心霊研究家エド&ロレイン・ウォーレン夫妻が手掛けた事件を映画化したものだ。本作は、刺殺事件の犯人アーニー・シャイアン・ジョンソンが、悪魔に操られていたので責任能力は問えないとして無罪を主張した「Devil Made Me Do It(悪魔が私に殺させた)事件」を扱っており、原題もそれにちなんでいる。

州によっても違うが、アメリカでは殺意を持って計画的に人を殺害すれば第一級殺人、殺意があっても突発的な犯行であれば第二級殺人となる。第一級殺人なら情状酌量はなし、死刑または終身刑が下される可能性もあるが、第二級殺人ならそれより罪は軽くなる。また、殺意がなかった場合は故殺罪(≒過失致死)で、さらに量刑は軽くなる。もし法廷で悪魔の存在が証明されれば、アーニーは救われる。劇中で、アメリカの裁判で証人が行う、偽証しないという旨の神への宣誓について言及される。神を認めるなら、悪魔もいるのではないかと。日本語にも、「魔が差す」という表現がある。この「魔」とは、悪魔的な存在を意味している。やはり悪魔は実在するのだろうか?

こんな話をすると、本作は法廷ものだと思われるだろう。違う。これはホラー以外の何ものでもない。…いや違う。単なるホラーでもない。ホラー・アクションとでも呼ぶのがふさわしい。悪魔が現れれば屋内だろうと嵐のように風が吹き荒れ、皿が飛び交う。悪魔憑きと言えば『エクソシスト』のブリッジ階段降りが有名だ。ブリッジは逆U字だが、本作ではそれを超えた“O字ブリッジ”(もはや橋の形ではないが)も拝める。「悪魔は存在するか」? もちろんいるに決まっている。何と言っても、これは心霊研究家が主人公の映画なのだ。そんな問いに意味はない。

本作は単なるホラーではない。本作に限らず、『死霊館』シリーズはウォーレン夫妻のラブストーリーになっている。今回エドは実に中年らしく、自分の体調とも戦わなければならなくなる。作品を追うごとに、観客とともに着実に歳を取っていく夫婦の仲睦まじさを見れば、きっと晴れやかな気分で劇場を出られるだろう。でもその前に、毎作恒例、実際の事件資料が映るエンドクレジットをお見逃しなく。

【ストーリー】
1981年、家主を22度刺して殺害した青年は、悪魔に取り憑かれていたことを理由に「無罪」を主張した。被告人の供述は一貫して「ぜんぶ、悪魔のせい。」法廷に神が存在するなら、悪魔も存在するというのだ。殺したのは、人か?それとも…!?姿なき存在を証明するため、心霊研究家ウォ―レン夫妻が立ち上がる。被告人を救うため、手掛かりをもとに、警察に協力し捜査を進めるウォーレン夫妻だったが、とてつもなく邪悪な〈何か〉に極限まで追い詰められていく。「その存在」をどうやって証明するのか?アメリカ史上初、前代未聞。〈すべて実話〉の殺人事件。衝撃の真相がついに明らかになる――。

【キャスト】
パトリック・ウィルソン、ベラ・ファーミガ、ルアイリ・オコナー

【スタッフ】
監督:マイケル・チャベス

公式サイト:https://wwws.warnerbros.co.jp/shiryoukan-muzai/

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