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『サイダーのように言葉が沸き上がる』“青春映画”では片づけられない!奥深い世界観のアニメ映画

◆公開中の注目作 
『サイダーのように言葉が沸き上がる』

 

文:ハルラ

脳天が焼けるような暑さの中、気持ちが疲れがちの方も多いかもしれません。そんな方にお勧めしたいのが今週公開の『サイダーのように言葉が沸き上がる』。タイトルの“サイダー”が夏らしい、爽やかな雰囲気を演出しています。そしてそのイメージ通り、本作はコンプレックスを抱えた男女が惹かれあう青春映画ですが、実は、本作“青春映画”の一言では片づけられない程、”奥深い世界観のアニメ映画”になっています!

というのも今作の一番のキーポイントは主人公が趣味で詠む「俳句」。青春映画のような明快な物語から程遠いばかりか、時代的にも「俳句」というのは、少し古めかしく難しい感じもします。

ただ、主人公はタイトルの「サイダー」のような現代語も交えながら、詩を詠んでいくので私たちも主人公と同じ視点で「俳句」から見える世界を味わうことができます。とりわけ、一つの言葉に二つ以上の意味を持たせる俳句の技法「掛詞(かけことば)」が本作では重要なカギに。ただの会話だと思っていても裏に意味が隠れている粋な言葉の使い方が、“青春映画”のカテゴリーでは片づけられない程、深みのある世界を創り上げていきます。またその世界にアニメーションの美しさが相乗効果を成し、セリフだけでなく”五感で味わう世界観”が構築されています。

ちなみに監督は、傑作アニメ「四月は君の嘘」のイシグロキョウヘイ。監督自身バンドをやっていたこともあり音楽の造詣に深く、「四月は君の嘘」のような音楽とアニメーションの見事な融合を今作でも楽しませてくれます。暑い夏だからこそ、“サイダー”のように爽やかで、ほんの少し粋な世界観を是非お楽しみください!映画は公開中です。

【ストーリー】
俳句以外では思ったことをなかなか口に出せない少年チェリーは、ヘッドホンで外部との接触を遮断して生きている。ある日彼は、見た目のコンプレックスをマスクで隠す少女スマイルとショッピングモールで出会い、SNSを通じて少しずつ言葉を交わすように。そんな中、バイト先で出会った老人フジヤマが思い出のレコードを探し回る理由を知った2人は、フジヤマの願いをかなえるためレコード探しを手伝うことに。一緒に行動するうちに急速に距離を縮めていくチェリーとスマイルだったが、ある出来事をきっかけに2人の思いはすれ違ってしまう。主人公チェリーの声を声優初挑戦の八代目市川染五郎が務め、スマイルの声を女優・杉咲花が担当。監督は、テレビアニメ「四月は君の嘘」のイシグロキョウヘイ。

【キャスト】
市川染五郎、杉咲花、潘めぐみ、花江夏樹、神谷浩史、坂本真綾、山寺宏一

【スタッフ】
監督・脚本・演出:イシグロキョウヘイ

配給:松竹

映画公式サイト:http://cider-kotoba.jp/

(C)2020 フライングドッグ/サイダーのように言葉が湧き上がる製作委員会

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